第30話 勇者です、どうも
勇者は間に合ってます。
でも冒険は、まだまだ間に合ってません。
今日もゆるっと行きます!
リホを。
村に残し。
カンダ。
ジュリア。
アリス。
そして。
レンタル魔法使い。
セイン。
四人は。
王都を目指していた。
「レンタルではない」
セインが。
言った。
カンダ。
「何が?」
「今」
「心の中でレンタル魔法使いと呼んだだろ」
「なんでわかった!?」
「顔に出ていた」
アリス。
「レンタルセイン」
「やめろ」
ジュリア。
「王都までだから」
「期間まで確認するな」
カンダ。
「ちゃんと返すから」
「俺は物じゃない!」
そんな。
四人の。
旅。
だった。
◇
街道。
向こうから。
四人組。
剣。
鎧。
杖。
僧衣。
その先頭。
胸元。
《勇者の証》。
「あ」
カンダ。
「勇者だ」
向こうも。
カンダを見る。
特に。
大きな斧を。
見る。
「あ」
「勇者ですか?」
カンダ。
「はい」
「勇者です」
「どうも」
「どうも」
すれ違う。
「…………」
セイン。
振り返る。
「何だ今のは」
カンダ。
「何が?」
「勇者同士の挨拶だ」
「普通じゃない?」
「普通なのか?」
アリス。
「山みたい」
「山?」
「登ってる人って」
「こんにちはーって言うじゃん」
ジュリア。
「確かに」
カンダ。
「じゃあ」
「勇者も同じか」
セイン。
「同じなのか?」
前方。
また。
一行。
胸。
勇者の証。
カンダ。
「あ、勇者」
向こう。
「あ、どうも」
カンダ。
「どうも」
勇者。
「魔王討伐ですか?」
「まあ、一応」
「お互い頑張りましょう」
「そちらも」
「では」
「どうも」
すれ違う。
セイン。
「…………」
カンダ。
「ほら」
「普通じゃん」
「二組で文化を作るな」
◇
さらに。
進む。
勇者。
いた。
「勇者です」
「どうも」
また。
勇者。
「あ、勇者?」
「はい」
「どうも」
また。
勇者。
「お疲れさまです」
「お疲れさまです」
セイン。
「…………」
アリス。
「いっぱい登ってるね」
「山じゃない」
ジュリア。
「王都近いからかな」
カンダ。
「勇者多いな」
セイン。
「お前の国ほどではないと思うが」
「うちは異常だからな」
「自覚はあるのか」
「パン屋まで勇者だからな」
セイン。
「…………」
「冗談だろ?」
「本当」
「なぜ?」
「王様が壊れた」
「説明が重い」
◇
昼過ぎ。
街道の先。
音。
剣。
魔物。
「戦ってる」
ジュリア。
走る。
その先。
若い。
勇者一行。
四人。
相手は。
大きな。
鎧猪。
硬い。
牙。
勇者。
剣を。
振る。
弾かれる。
「くそっ!」
戦士が。
盾で。
受ける。
押される。
魔法使い。
詠唱。
「ガラ!」
熱。
当たる。
だが。
止まらない。
カンダ。
「手伝う?」
セイン。
「聞く前に行け」
「勇者だろ」
「そうだった!」
カンダ。
走る。
鎧猪。
振り向く。
突進。
「危ない!」
若い勇者が。
叫ぶ。
カンダ。
大地の戦斧。
振る。
ドゴォォォン!!
「…………」
鎧猪。
地面へ。
めり込む。
止まる。
「…………」
若い勇者。
「…………」
戦士。
「…………」
魔法使い。
「…………」
カンダ。
「終わった」
アリス。
「早い」
ジュリア。
「一発だったね」
セイン。
「俺たち何もしてないぞ」
カンダ。
「だって来たから」
若い勇者が。
恐る恐る。
聞く。
「あの」
「はい?」
「今の魔物」
「かなり強いですよ?」
「そうなの?」
「そうなのって……」
若い勇者。
カンダたちを。
見る。
「皆さん」
「レベル」
「どれくらいなんですか?」
「レベル?」
カンダ。
考える。
アリス。
指を。
折る。
ジュリア。
首を。
傾げる。
セイン。
「まさか」
「把握していないのか?」
カンダ。
「最近あんまり気にしてなかった」
「なぜだ」
「普通に倒せるし」
「…………」
若い勇者。
「ギルドで確認できますよ」
「そうなの?」
セイン。
「お前たち今までどうやって旅してきたんだ」
アリス。
「口笛」
「聞いた俺が悪かった」
◇
近くの。
宿場町。
冒険者ギルド。
確認。
「…………」
カンダ。
「高くない?」
アリス。
「高いね」
ジュリア。
「上がったね」
受付。
「かなり高いですよ」
カンダ。
「やっぱり?」
「この辺りを旅する勇者の方々と比べても」
「かなり上です」
「…………」
カンダたち。
顔を。
見合わせる。
思い返す。
口笛。
魔物。
口笛。
魔物。
魔王。
口笛。
魔物。
大蛇。
口笛。
魔物。
イフリート。
クラーケン。
「…………」
カンダ。
「俺ら」
「レベル高くね?」
セイン。
「今気づいたのか?」
アリス。
「いっぱい倒したからね」
ジュリア。
「主に口笛で」
セイン。
アリスを見る。
「原因お前だろ」
アリス。
「成長期?」
カンダ。
「まだそれで押すの!?」
◇
翌日。
王都へ。
街道。
また。
勇者一行。
「どうもー」
「勇者ですー」
「お疲れさまですー」
セイン。
「もう慣れてきた自分が嫌だ」
そして。
すれ違った。
一行。
少し。
進んだところで。
後ろから。
声。
「待って!」
「ん?」
若い勇者が。
走ってくる。
「もしかして」
カンダ。
「何?」
勇者が。
大地の戦斧を見る。
「《斧の勇者》ですか?」
「…………」
カンダ。
後ろを見る。
誰も。
いない。
自分を。
指す。
「俺?」
「はい!」
「違います」
「え?」
「知らない人です」
「でも」
「その斧」
「大きな戦斧を使う勇者」
「魔王を何体も倒したっていう」
カンダ。
「…………」
アリス。
「カンダじゃん」
「黙って!」
勇者。
「やっぱり!」
「《斧の勇者》!」
カンダ。
「何その名前!?」
ジュリア。
「かっこいいじゃん」
「そう?」
「ちょっと嬉しそう」
「嬉しくない!」
勇者の仲間も。
集まる。
「本物?」
「でっかい斧だ!」
「噂通り!」
カンダ。
「どんな噂!?」
「巨大な斧で魔王を真っ二つにした!」
「…………」
カンダ。
「まあ」
「それは」
「だいたい合ってる」
「山を一撃で割った!」
「割ってない!」
アリス。
「地面は割るよ」
「大地割りだからな!」
「魔法が使えないから斧だけで戦ってる!」
「使えるわ!」
バチッ。
カンダの。
手。
雷。
「ほら!」
勇者たち。
「おお!」
「雷まで!」
「斧の勇者すげえ!」
「…………」
カンダ。
「なんか」
「見せなきゃよかった気がする」
さらに。
「三人の美女を連れて旅してるって!」
「…………」
カンダ。
止まる。
アリス。
「今二人だね」
ジュリア。
「一人村に置いてきたから」
セイン。
「その言い方はやめろ」
カンダ。
「あと男一人増えました」
セイン。
「俺を付属品みたいに言うな」
◇
再び。
王都へ。
カンダ。
歩きながら。
ぶつぶつ。
「斧の勇者……」
ジュリア。
「気に入った?」
「別に」
アリス。
「斧の勇者」
「やめろ」
「斧の勇者」
「やめろって」
「斧」
「短くするな!」
セイン。
「有名になるのは」
「悪いことではないだろう」
カンダ。
「面倒だろ」
「王様とかに知られたら」
「また呼ばれるし」
「また?」
「前の王都でも呼ばれた」
「王に?」
「うん」
「会ったのか?」
「向こうから来た」
「…………」
セイン。
「何をしたら王が自分から来るんだ」
「魔王倒した」
「なら当然だ」
カンダ。
「だから」
「今回は」
「絶対」
「王様に会わない」
セイン。
「王都へ行くのに?」
「会わない」
「天雲樹の情報は?」
「酒場」
「図書館」
「商人」
「その辺で調べる!」
「王城には行かない!」
アリス。
「なんで?」
カンダ。
指を。
一本。
立てる。
「王様に会う」
二本。
「依頼される」
三本。
「魔王が出る」
四本。
「死にかける」
「だから!」
「会わない!」
セイン。
「偏見がひどい」
ジュリア。
「でもだいたい合ってる」
「だろ!?」
◇
夕方。
見えた。
巨大な。
城壁。
その向こう。
王城。
西方大陸。
最大の都市。
王都。
カンダ。
「着いた……」
アリス。
「でっかい」
ジュリア。
「人多そう」
セイン。
「まず宿を取るぞ」
カンダ。
「そうしよう」
門。
近づく。
カンダが。
フードを。
少し。
深くかぶる。
セイン。
「何をしている」
「目立たないように」
セインが。
カンダを見る。
背中。
巨大な。
《大地の戦斧》。
「無理だろ」
「なんで?」
「斧」
「…………」
「置いていく?」
「どこにだ」
門。
くぐる。
人。
多い。
店。
屋台。
馬車。
冒険者。
勇者。
カンダ。
小声。
「いいか」
「目立つなよ」
アリス。
「うん」
ジュリア。
「わかった」
セイン。
「一番目立っているのはお前だ」
「静かに!」
その時。
子供。
カンダを。
見る。
「…………」
斧を見る。
「…………」
目。
輝く。
「あーーーーっ!!」
カンダ。
「…………」
嫌な。
予感。
「斧の勇者だぁぁぁぁ!!」
「違います!」
周囲。
「え?」
「斧の勇者?」
「どこ?」
「本物?」
「でかい斧!」
「本物だ!」
カンダ。
「なんでこんな有名なの!?」
アリス。
「有名人」
ジュリア。
「サインする?」
「しない!」
人。
集まる。
カンダ。
逃げる。
「宿!」
「宿探すぞ!」
「早く!」
アリス。
「あ」
「何!?」
前。
兵士。
数人。
こちらへ。
歩いてくる。
立派な。
鎧。
王城の。
紋章。
カンダ。
止まる。
「…………」
兵士。
頭を下げる。
「失礼いたします」
「《斧の勇者》カンダ殿ですね」
カンダ。
「違います」
即答。
「大地の戦斧をお持ちと伺っております」
「似てる人です」
「雷魔法を操うとも」
「似てる人です」
「カンダという名だとも」
「…………」
アリス。
「カンダだよ」
「アリスぅぅぅぅ!!」
兵士。
「やはり」
「カンダ殿」
笑顔。
「国王陛下がお呼びです」
「…………」
カンダ。
空を見る。
「なんで」
「王様って」
「勇者見つけるの早いのぉぉぉぉ!!」
――第30話 終
後書き
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
勇者なのに寄り道ばかり。 それでもカンダたちは、少しずつ前へ進んでいます。
次は何が起きるのか。 一緒に見届けていただけたら嬉しいです。
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それでは、また次の冒険で!




