↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『勇者は間に合ってます』 ~歴代最高の勇者の息子、商人と盗賊と遊び人を連れて旅に出る~  作者: 凡夫 成


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/43

第29話 商人、村に残ります

勇者は間に合ってます。


でも冒険は、まだまだ間に合ってません。


今日もゆるっと行きます!


西方大陸。


港町を出て。


数日。


カンダたちは。


王都へ向かっていた。


「遠くない?」


カンダ。


地図を見る。


リホ。


「まだ三分の一」


「嘘だろ」


アリス。


「ラルーは?」


「行ったことない場所には無理」


「便利そうで不便」


「それ前も言ったな」


ジュリア。


前方を指す。


「煙」


「ん?」


森の向こう。


細い。


煙。


「村かな」


カンダ。


「ちょうどいい」


「今日はそこで休もう」


◇


小さな。


村だった。


家。


十軒少し。


畑。


小さな。


倉庫。


井戸。


まだ。


建てかけの家もある。


人は。


多くない。


カンダ。


「ほんとに小さいな」


リホ。


「…………」


村の入口。


土の道。


荷車。


積まれた。


野菜。


「…………」


アリス。


「リホ?」


「何?」


「急に静か」


「見てるの」


「何を?」


「村」


カンダ。


「村は見ればわかるだろ」


リホ。


「そういう意味じゃない」


その時。


「……カンダ?」


声。


「ん?」


振り向く。


大きな。


身体。


剣を。


背負った。


男。


「…………」


カンダ。


「ロイド!?」


「やっぱりカンダか!」


戦士。


ロイド。


以前。


蛇の魔王に。


仲間の勇者を。


殺された。


あの。


パーティーの。


戦士。


「なんでここに!?」


「それはこっちの台詞だ」


「俺たちは王都に――」


その時。


村の奥から。


声。


「あなたー!」


「薪どこ置けばいいのー?」


「…………」


カンダ。


止まる。


ロイド。


止まる。


アリス。


止まる。


ジュリア。


止まる。


リホ。


見る。


走ってくる。


女。


明るい。


笑顔。


踊り子。


ミレナ。


「ん?」


「……あ」


「カンダたちじゃん!」


アリス。


「ミレナ!」


「久しぶりー!」


ミレナが。


手を振る。


そして。


ロイドを見る。


「あなた」


カンダ。


「…………」


ロイド。


「…………」


カンダ。


指をさす。


「今」


「あなたって言った?」


ミレナ。


「言ったよ?」


「…………」


「お前ら」


「結婚したの!?」


「したよ?」


「早くない!?」


アリス。


「早い!」


ジュリア。


「早いね」


ロイド。


頭をかく。


「いろいろあったんだ」


カンダ。


「最近それ聞いたぞ!」


「誰からだ?」


「別の勇者!」


「?」


◇


ロイドと。


ミレナは。


旅を続けていた。


セイン。


ノエル。


四人で。


この大陸まで。


来た。


そして。


この場所を。


見つけた。


もともと。


数軒しか。


なかった。


集落。


魔物。


街道。


遠い。


商人も。


ほとんど。


来ない。


「で」


ロイド。


「ちょっと手伝うつもりだったんだ」


カンダ。


「うん」


「気づいたら」


ミレナ。


「住んでた!」


「で」


ロイド。


「結婚した」


「途中省略しすぎだろ!」


アリス。


「でも幸せそう」


ミレナ。


「幸せだよー」


ロイド。


少し。


照れる。


カンダ。


「なんだよ」


「その顔」


「別に」


「勇者いなくても旅できるって言ってたけど」


ロイドが。


村を見る。


「旅を続けるだけが」


「道じゃないと思ってな」


「守る相手がいるなら」


「ここで剣振るうのも悪くない」


カンダ。


「…………」


少し。


黙る。


アリス。


「かっこいい」


ロイド。


「そうか?」


ミレナ。


「でしょ?」


「あなた強いし」


「やめろ」


カンダ。


「もう夫婦やめろ!」


「何で!?」


◇


村を。


案内される。


畑。


井戸。


倉庫。


家。


小さな。


集会所。


リホ。


ずっと。


静か。


「…………」


歩く。


見る。


止まる。


「この畑」


ロイド。


「ん?」


「収穫量どれくらい?」


「え?」


「野菜」


「多分」


「多分?」


「かなり採れる」


「売ってる?」


「村で食べる分以外は」


「余ることもあるな」


リホ。


「…………」


次。


倉庫。


「小さい」


ロイド。


「え?」


「これだと収穫期に入りきらない」


「まあ」


「外に積むこともある」


「傷むでしょ」


「傷む」


「なんで大きくしないの?」


「金がない」


「商人は?」


「ほとんど来ない」


「宿は?」


「ない」


「街道まで?」


「歩いて半日以上」


「橋は?」


「川を迂回する」


「橋作れば?」


ロイド。


「簡単に言うな」


「木はある」


「人もいる」


「材料もある」


「技術がない」


「呼べばいい」


「誰を?」


「職人」


「どうやって?」


「商人に頼む」


「商人が来ないって言っただろ」


「来るようにするの」


ロイド。


「…………」


カンダ。


「リホ」


「何?」


「楽しそうだな」


「そう?」


アリス。


「楽しそう」


ジュリア。


「目が違う」


リホ。


「…………」


再び。


村を見る。


「もったいない」


ロイド。


「何が?」


リホ。


「全部」


「これだけ畑があって」


「水もある」


「森も近い」


「王都へ向かう道から」


「少し外れてるだけ」


「橋を作って」


「道を整えて」


「宿を作って」


「市場を置けば」


「商人が止まる」


「商人が止まれば」


「人も物も来る」


「人が来れば」


「村で作った物を売れる」


「売れれば」


「金が回る」


「金が回れば」


「もっと人を呼べる」


ロイド。


「…………」


カンダ。


「…………」


アリス。


「リホが止まらない」


ジュリア。


「商人だから」


リホ。


さらに。


村を見る。


「ここ」


「もっと大きくできる」


◇


夕方。


村の。


小さな家。


「で」


カンダ。


「セインとノエルは?」


ロイド。


「あいつらもいるぞ」


「え?」


扉。


開く。


「騒がしいと思ったら」


魔法使い。


セイン。


「やっぱりお前たちか」


その後ろ。


僧侶。


ノエル。


「お久しぶりです」


アリス。


「みんないる!」


カンダ。


「旅やめたの?」


セイン。


「俺とノエルは」


「まだ決めていない」


ノエル。


「今はこの村を手伝っています」


ミレナ。


「便利だよー」


「魔法使えるし」


セイン。


「便利屋みたいに言うな」


ロイド。


「実際便利だろ」


「お前まで言うな」


アリス。


「レンタルできる?」


セイン。


「何を?」


アリス。


「セイン」


「俺は道具じゃない」


カンダ。


「…………」


見る。


セイン。


「何だ」


「いや」


「王都まで」


「魔法使い一人いると楽かなって」


「帰るぞ」


「まだ話終わってない!」


◇


夜。


食事。


簡単な。


煮込み。


パン。


村の人たちも。


一緒。


リホは。


村人へ。


いろいろ。


聞いていた。


「麦は?」


「どれくらい採れる?」


「織物できる人いる?」


「狩りは?」


「保存食は?」


「荷車何台?」


「冬は?」


カンダ。


少し離れて。


眺める。


「…………」


ジュリア。


「気づいた?」


「何が?」


「リホ」


「…………」


アリス。


「ずっと楽しそう」


カンダ。


「うん」


28話。


船の上。


三人だけが。


新しい力を。


手に入れた。


あの時。


リホは。


笑っていた。


けど。


今。


全然。


違う。


「…………」


カンダ。


「そっか」


ジュリア。


「何?」


「いや」


「なんでもない」


◇


食事のあと。


リホが。


カンダを。


呼んだ。


「カンダ」


「ん?」


「話がある」


「金?」


「違う」


「怖い話じゃん」


「何でよ」


村の。


外れ。


夜。


小さな。


灯り。


リホ。


村を。


見る。


「私」


「ここに残る」


「…………」


カンダ。


「は?」


アリス。


「え?」


ジュリア。


「…………」


リホ。


「この村」


「大きくしてみたい」


カンダ。


「村を?」


「そう」


「市場作って」


「宿作って」


「道を整えて」


「商人呼んで」


「人を呼んで」


「物を流して」


「ここが」


「どこまで大きくなるか」


「やってみたい」


「…………」


カンダ。


「今?」


「今」


「天雲樹は?」


「あなたたちで探して」


「魔王は?」


「あなたたちで倒して」


「金の管理は!?」


「自分でして」


「無理!」


リホ。


「できる」


「できない!」


アリス。


「カンダすぐ使う」


「使わねえよ!」


ジュリア。


「斧」


「必要経費!」


リホ。


笑う。


「ほら」


「心配」


「じゃあ来いよ!」


「行かない」


「即答!」


少し。


沈黙。


カンダ。


「…………」


「戦闘で」


「みんなが強くなってるから?」


リホ。


少し。


驚く。


「…………」


「それも」


「考えなかったわけじゃない」


自分の。


手。


見る。


「私は」


「魔法も増えてない」


「新しい武器もない」


「戦い方も」


「そんなに変わってない」


「でも」


村。


見る。


「ここ見たら」


「そんなの」


「どうでもよくなった」


カンダ。


「…………」


リホ。


「私」


「これやってみたい」


「商人として」


「どこまでできるか」


「試してみたい」


アリス。


「賢者は?」


リホ。


首を振る。


「まだならない」


「今は」


「商人をやりたい」


「ちゃんと」


「やってみたい」


カンダ。


黙る。


そして。


「…………本当に?」


「うん」


「帰ってこないとかないよな?」


「わからない」


「わからないの!?」


「でも」


リホ。


笑う。


「この村が大きくなったら」


「自慢しに行くわ」


カンダ。


「…………」


少し。


笑う。


「じゃあ」


「やってこい」


リホ。


「うん」


◇


翌朝。


出発。


カンダ。


ジュリア。


アリス。


三人。


「…………」


カンダ。


「少なくない?」


アリス。


「三人だね」


ジュリア。


「三人だね」


「わかってる!」


ロイド。


「なら」


「セイン連れてけば?」


セイン。


「は?」


カンダ。


「いいの?」


セイン。


「よくない」


ロイド。


「王都までだろ?」


「一緒に行ってこいよ」


セイン。


「なぜ勝手に決める」


ノエル。


「いいんじゃないですか?」


「ノエルまで!?」


ミレナ。


「いってらっしゃーい」


「話を聞け!」


アリス。


「レンタル魔法使い」


「やめろ!」


ジュリア。


「何日?」


「宿じゃない!」


カンダ。


「じゃあ」


「王都まで貸して」


「貸すな!」


ロイド。


「頼んだ」


「お前が言うな!」


アリス。


「レンタル成立」


「してない!」


「でも行くんでしょ?」


「…………」


セイン。


頭を。


抱える。


「王都までだ」


カンダ。


「よし!」


「戦力補充!」


セイン。


「言い方!」


◇


出発前。


リホ。


カンダに。


小さな。


袋を。


渡す。


「何これ?」


「旅費」


「おお!」


「使いすぎないで」


「子供扱いすんな」


「あと」


「食料」


「薬」


「火薬」


「予備の縄」


「地図」


「宿代」


「全部まとめてある」


カンダ。


「…………」


「やっぱ来ない?」


リホ。


「行かない」


「ですよね」


アリス。


リホへ。


抱きつく。


「町にしてね」


リホ。


「村よ」


「町にするんでしょ?」


「…………」


少し。


笑う。


「そうね」


ジュリア。


「戻った時」


「宿代取らないでね」


「取るわよ」


「友達価格」


「割増ね」


「ひどい」


カンダ。


「じゃあ」


「行ってくる」


リホ。


「行ってらっしゃい」


「王都着いたら」


「ちゃんと情報集めて」


「わかってる」


「無駄遣いしない」


「わかってる!」


「あと」


「変な物買わない」


「俺何歳だよ!」


リホ。


笑う。


◇


村を。


離れる。


カンダ。


ジュリア。


アリス。


そして。


セイン。


カンダが。


振り返る。


リホ。


村の入口。


手を。


振っている。


その後ろ。


小さな。


村。


「…………」


カンダ。


「どれくらい大きくなるかな」


アリス。


「でっかく」


「具体性!」


セイン。


「まず王都を目指せ」


カンダ。


「そうだった」


ジュリア。


「ちゃんとしたパーティーっぽい」


カンダ。


「え?」


見る。


勇者。


盗賊。


賢者。


魔法使い。


「…………」


カンダ。


「おお」


「普通っぽい!」


セイン。


「何が?」


アリス。


「でも私元遊び人」


ジュリア。


「私盗賊」


セイン。


「俺帰っていいか?」


カンダ。


「帰るなぁぁぁ!!」


――第29話 終

後書き

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

勇者なのに寄り道ばかり。 それでもカンダたちは、少しずつ前へ進んでいます。

次は何が起きるのか。 一緒に見届けていただけたら嬉しいです。

「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、感想・評価・ブックマークで応援していただけると励みになります!

それでは、また次の冒険で!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。