第22話 何回倒せばいいんだよ
勇者は間に合ってます。
でも冒険は、まだまだ間に合ってません。
今日もゆるっと行きます!
島へ着いた。
「…………」
カンダが。
島を見る。
「小さいな」
「小さいね」
アリスも見る。
船着き場から。
島の反対側まで。
歩いて行けそうなくらい。
「本当にここ?」
ジュリアが。
周囲を見る。
リホは。
地図を確認する。
「間違いないわ」
「財宝」
「そこじゃねえ」
カンダが言う。
「まず大蛇だからな?」
「わかってるわよ」
「お宝」
ジュリア。
「お前もだ」
アリスが。
杖を掲げる。
「大蛇!」
「お前はそれしか覚えてないな!」
四人は。
島の奥へ。
進んだ。
◇
祠は。
すぐに見つかった。
島の中央。
木々に囲まれた。
古い石造りの建物。
「ここか」
カンダが。
入口を見る。
扉は。
開いている。
「誰か入った跡がある」
ジュリアが。
しゃがむ。
地面。
いくつもの足跡。
古いもの。
新しいもの。
「結構いるね」
「勇者たちか」
「たぶん」
カンダが。
祠を見る。
ここへ。
何人もの勇者が来た。
そして。
帰ってこなかった。
「行くぞ」
「うん」
四人が。
祠へ入る。
◇
暗い。
「ルミ?」
アリスが。
杖を構える。
「やめろ」
カンダ。
即答。
「なんで?」
「前に全員の目を潰しただろ」
「潰してないよ!」
「何も見えなかったわよ」
リホも言う。
「じゃあ」
アリスが。
《星導の杖》を掲げる。
杖の先。
ほんのり。
光る。
「光るスティック」
「こういう時は便利だな」
「光るスティックだからね」
「星導の杖な」
「光るスティック」
「もういい」
奥へ。
進む。
だが。
大蛇はいない。
財宝も。
ない。
しばらく進むと。
行き止まり。
古い祭壇。
それだけ。
「…………」
リホが。
固まる。
ジュリアも。
固まる。
「ない」
「ないね」
カンダ。
「何が?」
「財宝」
「お宝」
「大蛇を探せ!!」
リホが。
祭壇を見る。
「騙された?」
「財宝の噂?」
「許せない」
「大蛇より怒ってない!?」
その時。
ジュリアが。
顔を上げる。
「待って」
「ん?」
《お宝サーチ》。
ジュリアが。
目を閉じる。
そして。
指を差した。
「下」
「下?」
「何かある」
四人が。
祭壇を見る。
調べる。
リホが。
側面に。
小さな窪みを見つける。
「これ」
押す。
ゴゴゴゴゴ……。
祭壇が。
ゆっくり。
横へ動いた。
その下。
階段。
地下へ。
続いている。
アリスが。
覗き込む。
「深そう」
ジュリア。
「お宝も下」
リホ。
「行きましょう」
「お前ら急に元気になったな」
カンダが。
戦斧を担ぐ。
「まあ」
階段を見る。
「大蛇も下だろうな」
四人は。
地下へ降りた。
◇
階段は。
長かった。
「まだ?」
アリスが言う。
「まだ」
「ラルー使う?」
「行ったことない場所に飛べるの?」
「知らない」
「やめとけ」
さらに。
降りる。
石造りだった壁が。
いつの間にか。
岩肌へ。
変わっていく。
「祠の地下っていうより」
リホが。
壁を見る。
「天然の洞窟ね」
ポタッ。
水滴。
空気も。
湿っている。
そして。
ようやく。
階段が終わった。
「…………おお」
カンダが。
立ち止まる。
広い。
巨大な。
地下空間。
その中央。
黒い水を湛えた。
地底湖。
アリスの杖の光が。
水面に映る。
「湖」
「島の下にこんなのがあるのか」
ジュリアが。
湖の向こうを見る。
「…………あ」
リホも。
見る。
二人の目が。
輝いた。
「カンダ」
「なんだ?」
リホが。
指を差す。
湖の。
向こう側。
「…………」
金。
銀。
宝石。
武器。
防具。
積み上がった。
大量の財宝。
「財宝」
リホが。
一歩。
「お宝」
ジュリアも。
一歩。
カンダが。
二人の肩を掴む。
「待て」
「何?」
「離して」
「大蛇忘れてるだろ」
「忘れてないわよ」
「じゃあ何で行くんだよ!」
「確認」
「回収」
「正直だな!」
アリスが。
湖を見る。
「大蛇いないね」
「だから余計に怪しいんだよ」
カンダが。
戦斧を構える。
静かな。
地底湖。
何も。
動かない。
「…………」
一歩。
進む。
その時。
ゴポッ。
「ん?」
水面。
泡。
ゴポッ。
ゴポゴポゴポ……。
「カンダ」
ジュリアが。
短剣を抜く。
「ああ」
リホも。
弓を構える。
アリスが。
杖を握る。
黒い水面。
巨大な影。
近づいてくる。
そして。
ザバァァァァン!!
「うわっ!」
水。
巨大な何かが。
地底湖から。
立ち上がった。
長い。
胴体。
巨大な頭。
開かれた口。
人間など。
簡単に丸呑みにできる。
大蛇。
「…………でか」
アリスが。
見上げる。
大蛇の目が。
四人を見る。
そして。
カンダで。
止まった。
『…………』
「…………」
大蛇が。
口を開く。
『また来たか』
低い声が。
洞窟に響く。
『勇者』
カンダが。
戦斧を担ぎ直す。
「本当に喋った」
アリス。
「大蛇!」
「見ればわかる!」
リホ。
「財宝の前にいる」
「そこ重要!?」
ジュリア。
「邪魔だね」
「お前も!」
大蛇が。
鎌首をもたげる。
『また一人』
舌が。
伸びる。
『我が腹を満たしに来たか』
「…………」
カンダが。
眉をひそめる。
「食う気満々だな」
『勇者は』
巨大な口。
牙。
『美味い』
カンダ。
「感想いらねえよ!」
大蛇が。
襲いかかる。
「来る!」
アリスの声。
カンダが。
前へ。
踏み込む。
大蛇の口。
真正面。
《大地の戦斧》。
握る。
「おらぁぁぁ!!」
振り抜いた。
ドガァァァァン!!
大蛇の頭へ。
直撃。
『ぐ――』
巨体が。
横へ。
吹き飛んだ。
バッシャァァァン!!
湖へ。
沈む。
「…………」
静かになった。
「…………」
カンダ。
戦斧を担ぐ。
「…………」
アリスが。
湖を見る。
「終わり?」
「…………」
ジュリア。
「弱くない?」
リホも。
「勇者を何人も食べたのよね?」
カンダが。
戦斧を見る。
「俺も今」
首を傾げる。
「同じこと思ってる」
アリス。
「カンダが強すぎるんじゃない?」
「それは否定しないけど」
リホが。
湖を見る。
「でも、一撃?」
「話盛ってた?」
ジュリア。
「やめろ」
カンダが。
言う。
「仲間食われた奴の話を疑うな」
「じゃあ」
リホが。
財宝を見る。
「終わったなら」
一歩。
「回収を」
ゴポッ。
止まる。
「…………」
全員。
湖を見る。
ゴポッ。
ゴポゴポゴポ……。
カンダ。
「…………おい」
水面。
影。
「まさか」
ザバァァァァン!!
大蛇。
再び。
水面から現れた。
「生きてる!」
アリス。
「頭治ってる!」
カンダが。
戦斧を構える。
「いやいやいや!」
確かに。
潰した。
手応えもあった。
だが。
目の前の大蛇。
傷一つ。
ない。
『…………』
大蛇が。
カンダを見る。
『痛かったぞ』
「感想言えるくらい元気じゃねえか!」
リホが。
目を凝らす。
《鑑定》。
「…………再生してる」
「再生?」
「かなり強い再生能力」
カンダが。
戦斧を見る。
「じゃあ」
アリスが。
杖を構えた。
「今度は魔法?」
リホ。
「やってみる価値はある」
カンダも。
手を前へ。
「よし」
魔力。
炎。
「ボア!」
火球。
大蛇へ。
ドンッ!!
『ぐっ……!』
「効いてる!」
アリス。
「じゃあいっぱい!」
杖を。
構える。
「ボア!」
ドン!
「ボア!」
ドン!
「ボア!」
ドン!
「ボア!」
ドン!
カンダ。
「撃つなぁ!」
「効いてる!」
「そうだけど!」
大蛇の身体が。
炎に包まれる。
『ぐぉぉぉ……!』
「アリス!」
リホが叫ぶ。
「まとめて!」
「うん!」
右。
ボア。
左。
ボア。
二つの炎。
重ねる。
ギュゥゥゥン……!
大きな。
火球。
「ボア!」
ドゴォォォォン!!
炎。
爆発。
大蛇の巨体が。
焼ける。
黒く。
崩れる。
そして。
バッシャァァァン!!
再び。
湖へ。
沈んだ。
「…………」
アリスが。
杖を下ろす。
「今度こそ?」
カンダ。
「やめろ」
「何が?」
「そういうこと言うと」
ゴポッ。
「ほらぁぁぁ!!」
ゴポゴポゴポ……。
ジュリア。
「来るね」
リホ。
「来るわね」
アリス。
「また大蛇?」
カンダ。
「もういいって!」
水面。
影。
だが。
「…………?」
カンダが。
目を細める。
影が。
さっきより。
大きい。
いや。
違う。
一つじゃない。
ザバァァァァン!!
水柱。
「…………」
一つ。
巨大な頭。
その横。
もう一つ。
さらに。
もう一つ。
三つ。
「…………」
カンダたちが。
見上げる。
アリスが。
指を差す。
「増えた」
ジュリア。
「三匹?」
「違う」
リホが。
《鑑定》。
顔が。
強張る。
「一体」
カンダ。
「一体!?」
三つの首。
一つの。
巨大な胴体。
「頭増えてんじゃねえか!!」
三つの頭が。
カンダたちを見下ろす。
中央の頭が。
口を開いた。
『物理』
右。
『魔法』
左。
『なるほど』
「…………」
カンダが。
嫌な顔をする。
三つの頭が。
同時に。
笑った。
『覚えたぞ』
『勇者』
「覚えた?」
リホが。
再び。
《鑑定》。
「…………!」
「リホ?」
返事がない。
「どうした?」
リホが。
大蛇を見る。
そして。
小さく。
言った。
「魔王」
「…………」
カンダが。
振り返る。
「え?」
「こいつ」
リホが。
弓を握る。
「魔王よ」
三つの頭が。
同時に。
笑う。
『今さら』
『気づいたか』
『勇者』
「…………」
カンダが。
《大地の戦斧》を。
構え直す。
一回目。
斧で倒した。
復活した。
二回目。
魔法で倒した。
また。
復活した。
しかも。
頭が三つ。
「なあ」
「何?」
アリスが。
杖を構える。
カンダは。
三つ首の魔王を見上げた。
「これさ」
嫌な予感しか。
しない。
「倒すほど」
三つの口が。
大きく開く。
「強くなってねえ!?」
三つの咆哮が。
地底湖を。
震わせた。
――第22話 終
後書き
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
勇者なのに寄り道ばかり。 それでもカンダたちは、少しずつ前へ進んでいます。
次は何が起きるのか。 一緒に見届けていただけたら嬉しいです。
「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、感想・評価・ブックマークで応援していただけると励みになります!
それでは、また次の冒険で!




