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『勇者は間に合ってます』 ~歴代最高の勇者の息子、商人と盗賊と遊び人を連れて旅に出る~  作者: 凡夫 成


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18/42

第18話 遊び人にもできること

勇者は間に合ってます。


でも冒険は、まだまだ間に合ってません。


今日もゆるっと行きます!


「北にダンジョンがあるぞ」


酒場で。


そんな話を聞いた。


「ダンジョン?」


カンダが。


酒を飲んでいた冒険者を見る。


「ああ」


「何がある?」


「知らん」


「魔王?」


「知らん」


「宝?」


「知らん」


「珍しい魔物?」


「知らん」


「…………」


カンダは。


しばらく男を見た。


「何を知ってるんだよ」


男は。


酒を一口。


「北にダンジョンがある」


「最初から情報増えてねえ!」


ジュリアが。


立ち上がった。


「行こう」


「なんで!?」


「ダンジョンなら、お宝ありそう」


リホも。


少し考える。


「古い遺跡なら、珍しい物が残ってる可能性はあるわね」


「リホまで……」


アリスが。


光るスティックを掲げる。


「冒険っぽい!」


ピカッ。


「俺たち今まで何してたの!?」


「山登り?」


「砂漠越え?」


「魔王討伐だよ!」


結局。


行くことになった。


◇


町から北へ。


森を抜け。


岩山の麓。


巨大な石造りの入口が。


姿を現した。


半分ほど崩れた。


古い遺跡。


入口の上には。


文字。


リホが読む。


「《迷宮グラナ》」


「迷宮」


カンダが。


中を見る。


暗い。


「名前からして迷いそうだな」


「迷宮だからね」


アリスが。


光るスティックを掲げる。


ピカッ。


暗闇が。


明るくなる。


「こういう時だけは便利だな」


「こういう時だけ?」


「すごく便利です」


四人は。


迷宮へ入った。


◇


最初は。


順調だった。


「右!」


アリスの声。


カンダが。


右から来た魔物を。


戦斧で受ける。


「ジュリア、後ろ!」


「了解」


風。


ジュリアが。


一気に回り込む。


「リホ、左のやつ!」


「《鑑定》!」


弱点。


火。


「カンダ!」


「ボア!」


ドォン!!


炎が。


魔物を包む。


「効いた!」


アリスが。


スティックを振る。


ピカッ。


「ボアの時代!」


「まだ終わってねえからな!」


残った魔物へ。


カンダが踏み込む。


「《大地割り》!!」


ズガァァン!!


魔物が。


吹き飛んだ。


ついでに。


石床も。


割れた。


「…………」


リホが。


床を見る。


「また壊した」


「敵倒したからいいだろ!」


「王家の墓でも聞いたわね、それ」


「今回は王家じゃない!」


「そういう問題?」


戦闘終了。


ジュリアが。


短剣をしまう。


「アリスの指示、かなり使えるね」


「でしょ?」


アリスが。


胸を張る。


「私、遊び人だから」


「関係ある?」


「たぶん」


「便利な職業になってきたな……」


◇


さらに。


奥へ。


分かれ道。


罠。


魔物。


それでも。


四人は進んだ。


「カンダ前!」


「おう!」


「ジュリア、次右!」


「いる」


「リホ、後ろから来るよ!」


「見えてる!」


ピカッ。


ピカッ。


アリスが。


光るスティックを振る。


戦場が。


よく見えている。


誰が狙われているか。


次に。


何が来るか。


なぜわかるのか。


聞いても。


「なんとなく」


それだけ。


それでも。


三人は。


もう迷わず。


アリスの声に従っていた。


◇


中層。


魔物が。


変わった。


獣型ではない。


杖を持った。


黒いローブの魔物。


その前を守る。


鎧の魔物。


リホが。


《鑑定》。


「後ろのやつ、魔法を使う!」


「魔法?」


黒い魔物が。


杖を上げた。


その瞬間。


アリスが叫ぶ。


「広がって!」


三人が。


左右へ。


炎。


ドォン!!


石床が。


焼ける。


「危なっ!」


「もう一回来る!」


アリスには。


見えていた。


次。


黒い魔物の杖が。


カンダへ向く。


「カンダ、右!」


「おう!」


炎。


かわす。


「ジュリア、今!」


「了解!」


風。


一気に。


後衛へ。


アサシンダガー。


ザシュッ!


黒い魔物が。


倒れる。


「よし!」


残った鎧の魔物を。


カンダが。


戦斧で吹き飛ばした。


「終わり!」


アリスが。


スティックを上げる。


ピカッ。


「完璧だったな」


カンダが言う。


「うん!」


アリスも。


笑った。


◇


だが。


深く進むほど。


敵の数が。


増えていく。


前。


横。


後ろ。


魔法。


矢。


突進。


「右!」


「わかった!」


「後ろ!」


「いる!」


「リホ、下がって!」


三人は。


アリスの声で動く。


避ける。


防ぐ。


反撃する。


それでも。


全部は。


避けられない。


「カンダ!」


「ぐっ!」


爪が。


カンダの腕を切る。


「ヒル!」


自分で治す。


「ジュリア、後ろ!」


「っ!」


かわした。


だが。


肩を。


少し斬られる。


「平気」


「リホ!」


矢。


リホが。


身体を捻る。


一本は避ける。


だが。


もう一本。


「きゃっ!」


脚を。


かすめた。


「リホ!」


アリスが。


駆け寄る。


「大丈夫?」


「これくらいなら」


「でも血出てる」


「薬草で十分よ」


アリスが。


薬草を渡す。


リホが使う。


傷は。


少しずつ塞がっていく。


「…………」


アリスは。


その様子を見ていた。


「アリス!」


カンダの声。


「次!」


「!」


アリスが。


顔を上げる。


「左から三体!」


「了解!」


戦闘は。


まだ終わっていない。


◇


最深部。


大きな部屋。


中央に。


巨大な石像。


四本の腕。


剣。


槍。


斧。


盾。


「これは」


カンダが。


戦斧を構える。


「ボスだな」


「ボスだね」


「鑑定するわ」


リホが。


目を細める。


その前に。


石像の目が。


光った。


ドンッ!


「動いた!」


四本の腕が。


一斉に動く。


「カンダ、左!」


剣。


ガァン!!


戦斧で。


受ける。


「ジュリア、跳んで!」


槍。


足元を。


薙ぎ払う。


ジュリアが。


跳ぶ。


「リホ、今!」


リホの。


火薬矢。


ドォン!!


石像の。


肩が砕ける。


「効いてる!」


「もう一回!」


戦闘。


アリスの声が。


飛ぶ。


「右!」


「下!」


「後ろ!」


「今!」


指示は。


当たる。


三人も。


動く。


でも。


石像の攻撃は。


速い。


「カンダ!」


盾。


ドガァン!!


「ぐっ!」


カンダが。


壁へ叩きつけられる。


「カンダ!」


「大丈夫!」


立つ。


「ジュリア!」


「わかってる!」


槍をかわす。


しかし。


切っ先が。


肩をかすめる。


血。


「ジュリア!」


「平気!」


アリスには。


見えている。


次に。


何が来るか。


誰が。


危ないか。


だから。


叫ぶ。


「リホ、下がって!」


リホが。


後ろへ。


その直後。


斧。


石床を砕く。


「危なかった……!」


「次、カンダ!」


「おう!」


また。


カンダが。


前へ出る。


アリスは。


見ている。


カンダが。


仲間を守る。


ジュリアが。


敵の懐へ入る。


リホが。


攻撃の隙を探す。


自分は。


後ろから。


それを見て。


声を出す。


「…………」


石像の。


四本の腕が。


大きく開いた。


「!」


アリスが。


顔を上げる。


「来る!」


「どこ!?」


「全部!」


四本。


同時攻撃。


「散って!」


三人が。


動く。


でも。


間に合わない。


「リホ!」


斧が。


リホへ。


カンダが。


割って入る。


ガァン!!


「ぐっ!」


「カンダ!」


「平気!」


「でも――」


「アリス!」


カンダが叫ぶ。


「次どこだ!」


「…………!」


今は。


戦闘中。


アリスが。


石像を見る。


「三秒後!」


「どこ!?」


「真ん中!」


カンダが。


走る。


一。


二。


三。


石像が。


四本の武器を。


振り上げる。


その瞬間。


胸。


一瞬だけ。


光った。


リホが。


《鑑定》。


「核がある!」


「ジュリア!」


「行く!」


風。


ジュリアが。


胸元へ。


アサシンダガー。


装甲の隙間へ。


ザシュッ!


「カンダ!」


「おう!」


戦斧を。


握る。


踏み込む。


「《大地割り》!!」


ズガァァァァン!!


衝撃。


亀裂。


胸の核。


バキンッ!!


巨大な石像が。


止まる。


そして。


崩れ落ちた。


◇


「…………終わった」


カンダが。


その場に座る。


「疲れた」


ジュリアも。


肩を押さえる。


「私も」


リホも。


脚に。


傷。


「ヒル」


カンダが。


ジュリアを治す。


「ヒル」


リホも。


治す。


最後に。


自分の傷。


「ヒル」


光。


三人の傷が。


消えていく。


「…………」


アリスは。


少し離れたところで。


見ていた。


カンダが。


気づく。


「アリス?」


「ん?」


「どうした?」


「何が?」


「静か」


ジュリアも。


「珍しい」


「失礼だなー」


いつもの。


笑顔。


でも。


アリスは。


三人を見る。


「ねえ」


「ん?」


「私の指示」


少しだけ。


間。


「役に立ってる?」


三人が。


顔を見合わせる。


カンダが。


すぐ答えた。


「当たり前だろ」


ジュリアも。


「ないと困る」


リホも。


「かなり助かってるわ」


「そっか」


アリスが。


笑う。


「よかった」


「急にどうした?」


「ううん」


光るスティックを。


見つめる。


「ただ」


「うん」


「今日ね」


アリスが。


少し考える。


「いっぱい見えたんだ」


カンダが。


黙って聞く。


「カンダが攻撃されるのも」


「ジュリアが斬られるのも」


「リホが怪我するのも」


見えていた。


だから。


教えた。


三人は。


動いてくれた。


それでも。


傷ついた。


「私」


アリスが。


小さく言う。


「危ないって言うことしかできないんだなーって」


「…………」


「別に」


アリスは。


すぐに笑う。


「それがダメってことじゃないよ?」


自分の指示が。


役に立っていることは。


わかっている。


「でも」


リホの脚。


ジュリアの肩。


カンダの腕。


もう。


傷はない。


カンダの。


ヒルで。


治ったから。


「もう一個」


アリスが言う。


「できたらいいなって思った」


「もう一個?」


「うん」


光るスティック。


ピカッ。


「助ける方も」


◇


迷宮を出た頃には。


夕方だった。


町へ。


戻る道。


アリスが。


カンダの隣を歩く。


「ねえ」


「ん?」


「賢者って」


「うん」


「ヒル使える?」


カンダが。


アリスを見る。


「使えるんじゃないか?」


「ボアも?」


「たぶん」


「他の魔法も?」


「賢者だからな」


「そっか」


歩く。


少しして。


アリスが。


また聞く。


「私が賢者になったら」


「うん」


「カンダが前で戦ってる時でも」


「うん」


「ジュリアが怪我したら」


「うん」


「私が治せる?」


「ああ」


「リホが危なかったら?」


「助けられるかもな」


「そっか」


アリスが。


前を見る。


遠く。


夕日に照らされた。


白い神殿。


《アルカ神殿》。


昨日。


答えを出さなかった場所。


カンダが。


聞く。


「戻るか?」


「…………」


アリスは。


光るスティックを見る。


遊び人は。


楽しい。


好きなことをして。


好きなように生きる。


今でも。


それは変わらない。


でも。


今日。


やりたいことが。


一つ増えた。


「うん」


アリスが。


顔を上げる。


「戻る」


「決めた?」


「まだ」


「まだなの!?」


「でも」


アリスは。


笑った。


「もう一回、ちゃんと聞いてみる」


ピカッ。


光るスティックが。


夕暮れの道を照らす。


四人は。


もう一度。


アルカ神殿へ向かった。


――第18話 終

後書き

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

勇者なのに寄り道ばかり。 それでもカンダたちは、少しずつ前へ進んでいます。

次は何が起きるのか。 一緒に見届けていただけたら嬉しいです。

「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、感想・評価・ブックマークで応援していただけると励みになります!

それでは、また次の冒険で!

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