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第二章 真実 その16「再臨」

話を進めたくて、投稿するペースを優先しているのですが自分の文章力に不安を抱いています。

自分の文章は読みにくくないか、意見が欲しいです。

感想や意見、どうかよろしくお願いします。



 「――助けてッ!!お願いッ!!」


 目の前で大量の涙を流し、縋りついてくる黒髪の少女。

 必死に助けを求める彼女の、普段なら見れない姿に一瞬ドキッとしてしまう戦哉だったが、彼女の足に視線を向けたことで、そんな浮ついた気持ちは一瞬の内に消え去った。


 ボロボロの靴から伸びる、ひどいやけどを負った足首。爛れて赤黒く変色したその足は歩くのもままならないような状態だった。

 良く見れば、その身に着ている柔道着も所々が黒く焼け焦げている。

 まるで火災現場から逃げ出してきたような状態だった。


 少女は泣きながら後方を指さす。

 その先には激しく燃えている体育館の姿があった。


 (あそこに......先生が)


 戦哉は、少女が言わんとしていることを察して息を飲む。


「……分かった、絶対に助ける」


 少女の顔に再び向き直り、戦哉は真剣な眼差しで少女の目を見つめながら告げる。


「ぅぅぅぅ……ぅぅ……」


 それに対し少女は、言葉にならない呻きを漏らし、頬を流れる涙の量を増しながら、戦哉にコクンと、ありがとう……お願いと、告げるように頷いた。


「いや~、今のは良いパンチだったな~」


 スタッ


 すると背後から、暢気な声と地面に着地する音が聞こえてくる。

 見れば上空から、ディアが地面に下りてきていた。


「ディア、彼女の怪我の治療、あと頼んだ‼」


 ディアの着地を確認した途端、戦哉は少女の腕を振りほどいて一目散に体育館へと駆けだす。


「は?」


 それに対して、下りてきたディアはポカーンと口を開けて呆然と、駆けていく戦哉の背中を見つめた。


 戦哉としてはいち早く体育館へと向かい、楠木教師の生存を確認したかった。

 燃え盛る体育館から見て、楠木教師の救助は時間との勝負。時間をかければかけるほど楠木教師の命は危ぶまれる。

 よって、少女はディアに預けて自分は即救助に向かう、これが最善策と戦哉は判断した。

 少女はディアに預けてもおそらく大丈夫。

 これは勘に近い考えではあるのだが、ディアの

「救える命は救う、駆除できる害は駆除する、それが強者として生きる者の美学ってもんだ」

 という発言からしても、おそらくディアは、怪我をした何の関係もない、巻き込まれただけの少女を見捨てるような真似はしない人間だろうと戦哉は踏んだ。


(ディアには治癒能力も、馬鹿げた強さもある自分のそばより安全だ)


 そう自分に言い聞かせ、戦哉は全力疾走で体育館へと走った。


 目に見えるほどの距離にある体育館。

 戦哉はすぐさまその中へと飛び込んだ。

 幸い、体育館上部に火は燃え広がっているものの、入り口が火で塞がっているということはなかった。


 煙が充満している中を戦哉は進む。


「楠木先生ーー‼」


 大声で教師の名を呼ぶも返事はない。

 変わりに、


「うがぁぁぁぁぁあああああああああああああ」


 獣のような咆哮が聞こえてきた。

 突風を巻き起こす程の咆哮に煙が晴れ、視界が開ける。


 ふと、煙の隙間から楠木教師の顔が見えた。


「先生ッ‼」


 しかし、希望は一瞬で絶望へと変わる。


 開けた視界に映ったのは楠木教師の首を締めあげ持ち上げる白衣を着た化け物の姿だった。


 口から血を流し、だらっと垂れ下げた力のない手足。

 その様子から察するにもうすでに意識はなく、指が食い込むほど締め上げられた首は、今にも折れてしまいそうな様子だった。


(くッ……‼)


 ボンッ


 その有様を見た戦哉の中で、再び怒りの感情が爆発する。

 周りの炎をかき消す程勢いで、化け物の元へと飛び込んだ。


「何やってんだ、このクソ野郎‼」


 化け物の元へ飛び込み、すぐさま足を蹴り上げる戦哉。

 蹴り上げた足は、楠木教師の首を締め上げる両腕の肘の部分に直撃し、そのまま腕をへし折った。


「があッ」


 突如として現れた敵に化け物は驚きの声を漏らす。


 しかし、その声を漏らすのと同時に戦哉の2発目の赤い光を帯びた蹴りが化け物の腹部に刺さった。


 後方へと勢いよく吹き飛ばされる化け物。


 その場には、首を掴んでいた腕をへし折られ解放された楠木教師と戦哉が残った。


 楠木教師の身体が地面に落ちる前にその手で抱き寄せるようにキャッチする戦哉。


 手の中の楠木教師の顔を見れば、その色が薄紫色に変色していた。


「ぐふッ」


 戦哉の腕の中で大量の血を吐き出す。

 まだ息はあるようだが、一刻を争う程の重傷だった。


 戦哉は急いで炎の燃え盛る、この場から離れようと入ってきた出口に視線を向けた。


 その時、


「うがあああああああああああああああ」


 吹き飛ばした化け物の方向から、唸り声が響いた。


(チッ、まだ死んでなかったか)


 戦哉は出口から化け物の方へと視線を移動させる。


 化け物は視線の先で立ち上がっていた。

 その両腕は使い物にならない程ひしゃげ、蹴りをもらった腹部には大穴が開いていた。

 着ている白衣に火が燃え移り、今にも火だるまになりかけている。

 普通ならほおっておいてもいずれ死にゆくであろう有様。

 しかし、化け物は確かに両足で立って、こちらを向いていた。

 全くその脅威が薄れない。


 不気味な白目でこちらを見つめる化け物。

 戦哉は化け物がそのボロボロの身体でどう攻めてくるかじっと見据えていた。


「う……うがぁぁぁぁぁぁああああああああああ」


 化け物はこちらに攻めてくるでもなくただ唸り声をあげた。

 そしてその身体に変化を催した。


 腹部に空いた大穴。そこからみるみると緑色の炎が立ち上る。

 緑色の炎は白衣に燃え移った火よりも早く化け物の身体を包み込んだ。

 唸り続けながら、緑色の光に包まれる化け物。

 その炎の光はだんだんと化け物の身体を燃やしながら大きくなっていった。


(ッ‼これはあの時と同じ‼……まさか)


 戦哉はその光景に既視感があった。

 橋の上で突如として燃え上がったホームレス、その光景が思い出される。

 そして、その後に登場したのは……


 戦哉の目の前で大きくなる炎。

 それは形を変え、大きさを変え、あのときと同じ、とある生き物へと変化していく。


(ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい‼)


 戦哉は額から、その場の熱気によるものとは別の冷や汗を流す。


「グガゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ」


 耳に響く、明らかに獣と化したその唸り声。


 戦哉の目の前に巨大な影が佇む。

 体育館の天井スレスレにまでのぼる巨大な影。

 緑色の炎が変貌した、その姿。

 それはあの時と同じで、戦哉に命の危機を感じさせ、死ぬかもというトラウマを刻み付けた姿、そのものだった。

 戦哉の目の前に立つそれは、緑色の巨大な虎の姿をしていた。




















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