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第二章 真実 その13 「学校襲撃――救出へ」

「学校の襲撃ってどうゆうことだよ?」


 ディアの発言に対し、困惑の表情を浮かべて詰め寄る戦哉。


 ディアはそれに対し、めんどくさそうに返答した。


「あ~、言ったとおりだ、病院でお前の回収に失敗したあちらさんは、お前にとって身近な学校ってやらを襲撃、お前を釣るための脅しに使うつもりらしい。お前、おそらくすでに記憶でも覗かれてるぞ」


「き、記憶?」


「うん、お前、一時的に身体に向こうさんの力混ぜ込まれてただろ、たぶんそん時だ」


「な、なんで、あんたがそんなこと知ってるんだよ?」


 あたりまえのように話すディアに戦哉は、疑問を投げかける。


「なんでって、それはなぁ、向こうから送られてきたんだよ……お前の身体に混ざっていたあちらさんの力、私が全部吸い上げてやったろ。向こうはそれに気付かず、お前に対して送るはずだった脅しのメッセージを、力を介して間違えて私に送ってきやがったんだよ」


 全く、間抜けなやつらだと、戦哉の疑問にディアは呆れたように返した。


「どうやら向こうさんは私の事を相当警戒しているらしい。お前ひとりで来なければ学校にいる連中皆殺しだとさ、あとついでに映像も送られてきた、ほれ、見せてやる」


 そう言って戸惑う戦哉の頭に、ディアは手をかざしてくる。

 手が赤く光り、それを介して戦哉の頭に直接映像が流れ込んできた。


「な、なんだ、これ」


 映ったのは地獄と化した学校の姿。


 無数のカラスが飛び交う学校はほとんどの窓ガラスが割れ、そこから廊下に倒れる血まみれの生徒達が散見出来た。こちらから見る限り、倒れた生徒のほとんどがもうすでに命を失っているであろう外相を追っていた。

 いまだ校舎内を徘徊するカラス達は、生き残りを探しているのだろう。次から次に教室に入り込み、荒らしては出るなどを繰り返していた。


「う、オエッ」


 あまりの光景の悲惨さに、戦哉は思わずその場で嘔吐いてしまう。


「はぁ......なんだよこれ⁉学校が、めちゃくちゃになって......皆、もう死んじまってるじゃねえか‼」


 起こった事態が信じられず、地面に向かって怒鳴るしかない戦哉。

 それに対しディアは、


「なぁ、それは私も思った。脅しに使う人質をほとんど殺して、こいつら何がしたいんだ?自分たちの本気度でも見せつけたいのか?」


 全く感情を揺らがせることなく、ひたすらに暢気に喋り続けていた。


「ッ‼」


「ッと、あぶねぇ~、何急に走り出してんだ、お前」


「離せッ、俺が行かねぇと......俺のせいで人がたくさん死んでるんだ!早く行って止めねぇと」


 急に駆けだそうとした戦哉をディアは首根っこを捕まえて持ち上げた。

 掴められた戦哉は顔に焦燥を浮かべながら、宙に浮いた手足をばたつかせる。


「アホか、相手の思惑道理に行ってどうすんだ。それに、あの様子だとお前が今から全力疾走したとして、おそらく全部手遅れだ」


「だからって、放っておけるか。俺のせいなんだ!俺が行かなきゃダメだろ‼」


「うるせー、落ち着け」


 バチンッ


「ゴフッ!」


 一刻も早く学校に向かおうと騒ぎ立てる戦哉の顔にディアの張り手が飛ぶ。

 脳みそが激しく揺れる程の衝撃に、嫌でも静かにならざるを得なくなる。

 揺れる頭を必死に両手で抑えながら戦哉はディアを睨みつけた。


「そんな目で見るなって。大丈夫、ちゃんとこの件に関しては片づくまで、私も尽力する。放っておくつもりはない」


 ディアの発言に戦哉は少し驚いた。

 てっきり、事態を無視して目的地に向かうものだと思っていたから。


「……いいのか?でも、なんで?」


 戦哉は疑念の眼差しを向けながらディアに尋ねる。


「ああ?そんなもん決まってんだろ、こんな何の関係もない一般市民を巻き込むようなやり方をする奴ら、人として放っておけねぇ。救える命は救う、駆除できる害は駆除する、それが強者として生きる者の美学ってもんだ」


 言いながら体を肩に担ぐディア。

 その言葉を発した時のディアはいつになく陰険な眼差しをしていた。


(ただの暴虐武人自己中女だと思ってたけど、案外そうでもないのか?)


 ディアの発言を聞いて、戦哉の中でほんの少しディアの認識が変わった。


「……よいしょッ、それじゃあ向かいますか、学校とやらに」


「え?」


 戦哉を肩を担ぎ直し、辺りをキョロキョロと見回しだすディア。

 デイアの踵部分を見下ろしながら、聴こえてきた言葉に戦哉は嫌な予感を抱く。


「……お、感じる気配的にこっちかな?」


「あ、あの......この状態で行くんですか?出来れば下ろして一緒に走るなんてことって出来ませんかね?」


 冷や汗を顔にたたえながら、言外に下ろしてと懇願する戦哉だったが、そんな願いをディアが了承するわけもなく、


「言っただろ、お前のスピードじゃあ、全力疾走でも遅すぎて手遅れになるって、私が最速で向かうから、お前は私の背中にでもしがみついとけ」


と、あっさり断られた。


(え、このバケモン女の最速ってどんだけ――)


 ちなみに、戦哉はアトラクションの絶叫系のたぐいは苦手だった。


「それじゃあ、行くぞー」


「あ、ちょ、待っ、心の準備が、あああああああああああああああ」


 ボンッ


 戦哉の絶叫と、地面を蹴る音だけをその場に残し、ディアは目にも止まらぬ、残像を残す勢いのスピードで駆けだした。











































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