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脱出成功!作戦成功?

※この世界での名は、現実での人と同じ意味を持ちます

「お主ら。聞いておるか!」

「「聞こえてま〜す!」」

「いいか?これから我々はここから脱出する!戦えるものは解放に走り、戦えないものはその援護に徹するのじゃ」


 戦えない人が援護?

 足手まといになるだけじゃないのか?

 それとも何か作戦があるのか?いや、今は脱出することだけを考えよう


「ヴィンさん。じゃあ僕は何をすればいいんですかね?」

「アフラ、お主には戦力が足りなそうなところに行ってもらおうかの」

「了解です」

「それでは、行くとしよう」


 作戦開始だな。

 いや、脱獄開始か?


「それでは、行くぞ。攻撃に備えよ!」

「「はい!」」


 門を開けた瞬間、魔法が飛び交うと思っていた。

 だが違ったんだ。


 驚くほど人が居ない。

 もう逃げたのか?


 あれ?

 脳内によくわからない記憶がある。何だこれ?

 ここの地図(マップ)か?! 脳内に直接描かれる、見たこともない階層の立体図。

 まるでカーナビのように現在地とルートが浮かんでいる。

 こんな芸当、普通の冒険者にできるわけがない。

 これこそ敵の罠じゃないか?


 ヒューン


「っな!」


 バンッ!


「攻撃魔法だ。気をつけろ」

「あ、ありがとうございます」


(力の領域を特定せよ。ヴィシオ)

 これはすごいな。絶え間なく攻撃魔法が降り注いでいる。

 一体誰が防御してるんだ?それにこのままだとジリ貧で負けるだろう。

 こっちで戦えるのは多くて20、戦えないのが50以上。


「で、お前はこの地図についてどう思う?」

 見たこともない場所の地図が、どうして頭の中にあるんだ...

「信じれないですが、現状これを信じるしかありませんね...」


 他の人にも届いてるのか...


「信用、出来ませんが、現状これに頼るしかありません」

 もしコレで罠だったらどうしよう


「そうだな。これが嘘かどうかは自分の目で確かめるべきだろうな」

「ですがもし罠だったらどうします?」

「その時は死ぬだろうな」


 覚悟決まってるな...

「お主ら!!その地図はワシが作ったものじゃ。決して罠なのではない」

「...」


 ここにいる全員の言いたいことを俺が言おう

 お前が作ったとしてどうやって信じたらいいんだ?

 ということだろう。というよりこの爺さん万能か?どうやって地図を作ったんだ?通った場所を記録し、地図にする魔術や魔法はあるが、見たこともない場所で地図を作れるもんなのか?もし作れたとして、正しいのかという疑問はどうしても残ってしまうな。


「いいかお主ら、信じる信じないは自由。信じないのなら、無計画に突き進み、死ぬがよい。こうするうちも攻撃されておるじゃろう?このままでは負けるぞ(死ぬぞ)」

「...」


 確かにこれ以上作戦もないな...

 信じるしか無いか。


「もう待てねえ。お前ら。ここはこの爺さんに賭けてみようぜ」

「そうと決めれば地図通り、次の奴隷が捕まってる場所に行くのじゃ」

「おいおい爺さん。会話の隙もあた...」

「それでは行くぞ。戦えない者と回復役(ヒーラー)は後ろに下がるがよい」


 こうしてほとんどの人が、素直にヴィンについて行った

 のだが...


 〜〜

 攻撃が激しいな...

 一体、敵は何人いるんだ...?

 そもそもこのマップが正しくても、あまりにも俺たちが不利だ。

 出口へと続く道は1つしかない。そこで待機されたら、こっちは正面突破以外手段がなくなってしまう。正面突破に失敗すればすなわち...


「行くぞ!」

「はい。集め、削り固めよ。フォルムング」


 ひとまず、耐えて進まなければ。

 ここからはアドリブと言ったが、かなり役割がわかってきた。

 1人は壁を作り、1人はそのサポートを。

 フォルムングで作った壁はそんなに長持ちはしない。

 時間稼ぎのためだ。


「ッ!」


 やっぱり攻撃魔法は慣れんな...

 高所と同じように、本能的に恐れてしまうのかもしれないな...


「次」

「はい」


 ヒュン!


「っう...」


 まずいな

 進めなかった。攻撃魔法の速度、威力がさっきまでとは違う。

 もう近いぞ。敵との距離が!


「お前、魔力探知は得意か?」

「まあ普通ですかね」

「まあそれでもいい。してくれないか?俺は苦手でな」

「了解」


 -力の領域を特定せよ。ヴィシオ


「どうだ?敵の数と位置はわかったか?」

「ええ。おそらく敵は6名、この曲がり角にいます」

「そうか。やはり近いんだな。しかしどうするか。この場で全員にそれを伝える手段なんざ、俺にはないんだ」

「僕もです」


 どうしようか?こっちには負傷者も出てる上、魔力も底を尽きてきた。

 そう頭を悩ませていたのだが...


「外気の水胞を冷却せよ。ヴィス・ネブラ」


 魔力の霧か!

 魔力探知を阻害する気だな


「マズイな。魔力探知がうまくいかない。お前はどうだ?」

「こっちもです。近くのものしか探知できません」


 こうするうちにも攻撃は激しくなる一方。

 他の人は壁を維持するだけで精一杯だ。

 反撃する余力も残っていない。

 死ぬのか?ああ。なんで路地裏に来たんだ。

 なんであんな依頼を受けたんだ。なんで退学になったんだ..!


 「攻撃が止まっ..た?」


 どういうことだ?

 何のために?なぜ?


 攻撃が止まったその安心からか、逃げられる、攻撃が止まった、生き残れる。

 という思いに縋りたかったのか、油断してしまったんだ。

 俺も、みんなも


「まだ顔を出すな!気を抜くな!防御魔法を緩めるな!出るな。罠じゃ!!」


 ヴィンの叫び声がここら一帯に響く。


「もう遅い!」

「え?」


 奥で魔力反応が急上昇。

 これはまるで、セリーンシルフのような...


「寸刻の合間。膨張し、生むがよい。ディス・デモリ」

「あぶ──」


 -

「...」

 見覚えがある。懐かしさすら感じる。

 あ(・)の(・)夢の場所。

 歩けば歩くほど、知っていたことが、走馬灯のように蘇る。

 歩けば歩くほど、身長が変わる。

 大きく、小さく。


 進めば進むほど、難しくなる。


「いた」


 壁だ。あれは、これはなんだろう?

 ここに、ナニカ大事なものがある気がする。


 -

「...」

 これが...

 走馬灯か。長くも、短い人生だった。

 焼けるような、苦い痛み。それもここで終わりか...


「我が力を...糧にせせらぎをこの者...に与えたまえ...ヒーリング」


 やっぱり、初級回復魔法じゃそんなに回復しないなぁ

 視界もぼやけすぎて何が何だかわからない...


「ヴィン..さん...」


 すまないヴィンさん...

 罠に掛かって、死にかけて、助けてもらうなんて...


「結成を解釈、復元せよ。レノヴァーション」


 体に魔力が行き渡る…

 回復した。だが、まだ体が動かない。まだまだ痛え... が魔術は使える。

 他人(ヴィン)の魔力を馴染ませるのに時間がかかってる状態。

 最大で馴染むまであと5〜10分はかかるな。

 もう俺はただ、他人(ヴィン)を信じることしか...


「ムラージュ・フォルムング」


 〜〜

「あ゙ぁ」


 お?体が動く!!

 視界が戻..


「え..?」

 俺の鼓動が、どんどん早くなっていく。

 生存者がいると分かり、一瞬ホッと胸を撫でおろした。だが──


「どう..い.うこと..だ...?」


 なんで...倒れてる?

 ポタリ、ポタリ。滴り落ちる音がする。

 フォルムングの瓦礫が、染まっている。


「動..かな..い」


 死んだ?そんな?嘘だろ?なんで?

 俺より強いはずじゃ?


「待つのじゃ」


 死体に近づこうとしたアフラをヴィンが静止する。

 ヴィンの声が聞こえ、生存者がいることがわかり安堵するアフラであったが...


「..え?なんで..?!」


 そこには、傷だらけの人たちが居た。

 たった一人。ヴィンを除いて


「ここに置いているのは、助かる可能性のある人たちのみじゃ」

「じゃああそこの人たちは?」

「もう助からん。試すだけ無駄じゃ」


 なんで..?!

 そんなに冷静で居られるんだ...?


「じゃあ...ここにいる4人だけが..助かるってことですか...?!」

「力がある者(戦闘要員)で、助かる可能性があるのはこの4人のみじゃが、回復役(ヒーラー)の大多数は生き残ってる」

「じゃあ、戦えない人は..?」

「ヒト?は聞いたことがないが、戦えない者(非戦闘要員)は17名、生き残れる可能性を秘めておる」


 そうだった。

 この世界にヒトは、居ないんだった...

 そんなことより良かった。ここにいる人達以外に助かる人がいて


「ヒトは言い間違いです。どうやら焦りすぎたようです」

「そうか。少し現状が飲み込めていないようじゃし、話すとしよう」


 〜〜

「...」


 つまり。

 大多数は死んで、ヴィンが壁を立て、守り、回復したということか...

 ヴィンが居なかったら全員ここで死んでいたかもしれないな...

 応戦して無傷。それなのになんで...


「助けてくださりありがとうございます」

「ワシに感謝する必要など無い。全ては、ワシのせい..なのじゃから...」

「いえいえ。そんなこと、ありませんよ」

「これからどうしますか?」

「生き残った者で、進む」

「戦えない名(人)はどうしますか?」

「連れて行く。そのまま逃げるのでな」

「死んだ人たちは... どうしますか?」


 聞く前から、薄々答えがわかっていた。

 おいていくのだろうと。

 ここにいる人達は、すでに満身創痍の人だらけだ

 持っていくと、全滅するかもしれない。


「置いていく。だが。生きて脱出できたら。回収しに来よう」

「了解です」

「そう話している間に、どうやら何人か、動けるようになったようじゃの」

「話は聞いていましたよ。行こうぜ。ここにいる全員で」

「僕は...戦えないですが、邪魔は..しません」

「話す前に体を動かすのじゃ。行くぞ」

 それもそうだな。

 この僅かな時間差が、命運を分けるのかもしれないしな

 〜〜

「逃げたか...!」

 あのあと、隅から隅まで探してみたが、敵は全く見つからなかった。

 おそらくもう撤退したのだろう。

 金にならない人を置いて


「...」

 みんな複雑だろう。

 何人も仲間が死に、相手に負傷者は居なく、解放できたのは一部のみ。

 ただ、生き残り、逃げれた喜びもある。だから複雑なんだ。


「もう暗いの。それでは、この近くで一晩過ごすとしよう」

「了解です。この数ですよ?どうやって統率を取ります?まだ混乱している名もいるようですし、はぐれたりなんてしたら...」

「それはアフラ(お前)に頼むとしよう。ワシは大声を出すのが苦手でな」


 まあそれはそうか。

 お年寄りは酷使するもんじゃないしな


「聞こえてますかー!今から、この近くに泊まりたいと思います!ここにいれば奴らが戻ってくるかもしれないからです!もし迷子になった場合、死ぬつもりでお願いします!それでは僕についてきてください!」


 よし!

 これで完璧だな!


「それじゃあ行きましょう。ヴィンさん」

「ああ。行くとしよう」


 〜〜〜

「ここでいいですかね?」

「ああ。ここなら奴らが戻ってきてもバレないだろうな」


 それじゃあ...

「それじゃあみなさん!ここで一晩過ごします!もしいない人がいれば報告を」

「質問がありますー!寝床はどうやって作るんですか?」

「ふかふじゃな草を生み出す魔法•魔術を使うんだよ」

「分かった!」


 その夜は暗い夜だった。

 みんなでわちゃわちゃしていたように見えるが、体はボロボロだ。

 食料もなく、親は子になけなしの食料を分け与えるくらいだ。

 俺は身体強化でなんとかなるが、子供はそうはいかん。かと言って親も無敵ではない。

 

「なので、みんな、いい子にするように!それじゃあおやすみ!」


 俺が絵本(記憶の中の)を読み聞かせることにした。

 上司に嫌というほど読まされた、会社のルールブック(少し変えたけど)を読み聞かせてあげた

悪い子はサービス残業最低でも月100、上司のミスも自分のミス、お前の手柄は俺の手柄、上司の気分を害さないためにトイレは排出ということ、上司には敬語必須、俺はお前と違って忙しいので代わりに仕事をしないといけないからいい子にするんだよ。と言っておいた。そしたら素直に寝てくれた。あぁ〜疲れた疲れた。


 〜〜

「こんな夜遅くに見張りですか?」

「あぁ。お主はなんでここに来たのじゃ?」

「お年寄りは酷使するものじゃありませんからね。見張りです」

「そうか...」

 余計なお世話だったかな?


「アフラよ」

「なんですか?」

「お主は、怒らないのか?」

「怒らないとは?」

 何について怒らないときいているんだ?


「お主は今日、殺されかけ、他の者も大勢死んだ。なのになぜ、お主は怒っていないのじゃ?」

 確かに今日、殺されかけたが、それをヴィンさんにぶつけるのはお門違いだし...


「たしかに怒りもありますが、それ以上に生きるのに必死、だからですかね」

「そうか。お主はもし、奴らに復讐するチャンスがあるのなら、どうする?」

 誘拐犯に復讐するチャンスか...


「復讐... 難しいですね... 正直、自分から仕掛けて、死にたくはありませんし、これ以上誰かを犠牲にしたくありません。ですが、やってみたい気持ちは残りますかね」

 上司なら迷いなくYESだったんだがな。


「そしたら、お主は誰かを守るためなら、戦うのか?」

「まあ、それなら...」

「そうか。少し話がズレてしまったが、ワシを助けに来たんじゃったな。それなら、あの施設が見えるじゃろ?」

「まあはい。ついさっきまで捕まってたところですからね」

「そこを注意深く見ておくれ。奴らが戻ってくる可能性がある」

「わかりました」


 もし誘拐犯達が戻ってきたら嫌だな〜

 もう痛い思いをしたくない...


「力の領域を特定せよ。ヴィシオ」

 そう静かに詠唱するのだった。

 〜〜

「...ッ!」

「本当に来たのぉ」

「隠れましょう。ヴィンさん」


 まじで戻りやがった。

 どうする?戦えるのは数名だけだぞ...


「無理じゃ。バレる。足跡で簡単に追跡されるじゃろうな」

「じゃあ...」

「戦うぞ」

 (マジですか、このおじいさん...!?)

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