影の支え
「何があったのじゃ」
どういうことじゃ...
血だらけのヴィゲ、エリザ、ノクス、魔力切れで気絶したアフラ、魔力切れじゃが気絶しておらんマレ
一体何があったのじゃ...
誰が?アフラが?わしが攻撃魔術を教えたのがよくなかったのか?
「とりあえず、回復魔法をかけないといけないわな」
「待ってください。レジテンスさん。まずは観察房に入れてから回復魔法をかけましょう。天使が憑依してる可能性があります。すぐに運んで天使が憑依してるか確かめましょう」
「…それもそうじゃな。観察房に運ぶとしよう」
〜〜
「よし。これで大丈夫かの」
回復魔法をアフラ、マレ、ヴィゲ、エリザ、ノクスにかけたのでじきに目を覚ますじゃろう。
ヴィゲ、エリザ、ノクスが血だらけだったのはどうやら魔法で生み出された血のようじゃ
それより、
「天使が憑依してる可能性についてじゃが…」
「どうですか…?」
魂についておる加護を見て判断するんじゃが
ヴィゲくんは…大丈夫じゃな
エリザちゃんは…大丈夫
ノクスちゃんも大丈夫
マレも大丈夫
アフラは…
「なんと…!」
「何があったのですか!?やはり、天使が憑依してるのですか!?」
「これは…」
すまないアフラ。
お前を救うことはできないかもしれん…
しかし、先生として、公平な判断をしなければいけないのじゃ‥
「裁判行きじゃな。わしだけでは判断できないのじゃ…」
〜〜
「これより、事件No.1030番と1031番の裁判を始める。裁判官は校長先生である、この私が務めさせていただきます。それではまず1030番から。これについてはまずレジテンス君に何があったか聞こうか」
「アフラの魂を見ました。結論から言いましょう。アフラの魂は加護を飲み込んでいます」
「なんと!‥?」
「ありえん…」
考えられる可能性は2つ
天使が憑依してアフラを乗っ取っている可能性と
加護が追いつけない速度でアフラが成長している可能性
しかし…
「色が変わっていない以上、天使が憑依する可能性も低い、ということですか?」
「そうじゃ。色も過去のアフラと完全一致しておる」
「加護が追いつけない速度で成長する可能性は極小。そして魂の色が完全一致する可能性はさらに極小。しかし過去にいくつか同じ事例がありますが…」
「わかった。それに関しては私がなんとかする」
(ここで2つの意見を言い合うのは不毛。これは一旦保留だな)
「それでは、事件番号1031番、校内決闘についてだけど…」
すまないアフラ…
すまない。本当にすまない…
「満場一致で退学だね」
「…」
「少し、いいですかな?」
「いいけど、決闘についての校則に反した者は全員退学。そこに例外はないよ」
「わかっております。しかし、彼には知識が必要です」
「つまり、何かな?」
「退学を取り消しとまでは言いません。ただ、ここの図書館をアフラに使わせてはやれないでしょうか?」
「何を言う!そんな例外を作るなら‥!私の子だって…」
「そうですぞ!裁判官!今まで例外はないはずでした!」
「それに前例を作れば他の退学者にも同じ処置を求められるようになるのでは?!」
「そうですよ!例外などを作ればここが無法地帯になってしまうやもしれぬ」
知っていた。
そんなことが許されるわけがないと。
「鎮まれ!!レジテンス以外の者は口を慎め。私は今、レジテンスと話しているんだよ?」
「「すみませんでした」」
「レジテンス、君は本気でこれを言っているのかい?」
「はい。今、彼を退学にするのは野垂れ死んでくれと言っているも同義です。この過酷な世界で、知識が3歳止まりの子がどうやって生きていけるでしょうか?裁判官。あなたが1番、知識の大事さを知っているはずです」
「よろしいでしょうか…?」
「いいよ」
「今まで、例外はなかったはずです。彼に図書館を使わせるということは校則を捻じ曲げるも同義では…?」
(ここは退学処分にする。それが最善なはずだ。ただ、頭が理解してしまうんだ。レジテンス君の主張も…)
「レジテンス君。ここは残念だけど…」
こうなることは容易に予想できた。
しかし、わしは、それでも
「それは、王が定めたルールだからですか?」
「…それもあるね。校則を捻じ曲げれば君の処分は免れない」
知っていたはずだ。
「承知しております。あの子に学ぶ場を残せた、それで十分です」
「「…」」
「僕は止めないけど、レジテンス、君はこの職に何年も、何十年も、情熱を注いできたはずだ」
「そうですぞ!ここで辞めたらどこで働くんですか!ここ以上にいい職業はありませんぞ!」
「…確かにわしはこの教師という職に長年、情を注いできました。確かにこれ以上の職はないでしょう」
「ならばなぜ…」
「私はC組の先生です。自分のクラスの子1人救えないで、何が先生ですか!」
「しかし…」
「わかった。レジテンス・パウペルタス、君を王の名の下に解雇する!これより閉廷します」
「…ありがとうございます」
〜〜
「やあ」
「なんのようですかな?校長先生?」
「その呼び名はいい。僕と君の仲だろう?それより、もう行くのかい?」
「ええ。もうここにわしの居場所などないのでな」
「そうか。残念だよ。君ほど教師らしい教師は今まで見たことがなかったよ。またいつか出会ったら、今度は一緒に美味い飯でも食べような」
「そうですね。また、いつか」
「もう時間か。それじゃあまたね。レジテンス!」
「ええ。フェルラもお元気で」
ああ。これがわしの教師人生の終わりか。
ただ、後悔はない。
アフラよ。お主には、お主だけの運命がある。
これから先、何度も立ち止まりたくなる日が来るじゃろう。
その時は足を止めても構わん。
じゃが、学ぶことだけはやめるな。
学ぶ者は立ち止まっても、決して歩みを失わぬのだから。
学ぶことをやめた時だけ、本当に立ち止まるのじゃ。




