決闘の行方
「微かなる灯火よ我が力に応え、奪い尽くすがよい、パルヴァ・ルーメン」
普段の自分なら、相手の出方を見る。
でも今は違う。
考えるより先に体が動いていた。
「ッチ」
(これがあいつの練習してた魔術か。威力も3歳にしてはかなりのもんだな)
-力に応えせせらぎを恵みたまえ。
「ハイルング」
回復魔法か
こいつも心の中で詠唱することで魔法を発動させてやがる
「なんでテメェみたいなガキがそれを使える?」
「言うわけないだろ」
「そうか」
-淀みなく、滑らかな円環
-微かなる灯火よ我が力に応え、奪い尽くすがよい
「パルヴァ・ルーメン」
パルヴァ・ルーメンを無詠唱で使用したのか。
しかもこいつ、さっきまで魔法を使ってたのに魔術を使い始めやがった
舐めプか?
「後悔させてやる」
(てめえが魔術を使うなら、魔術を使って倒してこそ、完全勝利!)
-印を結びて、質量にベクトルを与えよ。
「プロストゥラーレ」
まずい…避けきれ──
「痛っ!」
マレのパルヴァ・ルーメンは、床の一部を塵へと変えるほどの威力を誇っていた。
「まだまだ!」
ヤツがそう言い終えるや否や、俺の腹に強い衝撃が走った。何回も、何回もだ
痛え。腕が焼ける匂いがする。熱い。痛い。感じたことのない痛み。
ヤツのパルヴァ・ルーメンをもう一回受けたらおそらく俺の腕は壊れるだろうな。
「なんだ?もう終わりか?そんだけか?お前の力はよ」
こんな終わり方で納得できるわけねえだろ。
もうあの時みたいに後悔しながら死ぬのはごめんだ。
「光を抹消し、その存在を遮断せよ」
「おま──」
「クジフィチャ」
1つ目 ・・・『クジフィチャ』詠唱 -光を抹消まっしょうし、その存在を遮断せよ。-透明化する魔術
(透明化か… すごい魔術だが、その分魔力消費が激しい。こいつの魔力が切れる前に俺を倒せばアフラの勝ち、だが、逆を言えばそれまで俺がやられなければ俺の勝ちっつーことか)
「容易い!」
この魔術の弱点に気づいたか。この魔術は最大でも20秒程度しか持たない。
他の魔術を使うことを考慮すればせいぜい10秒が限界だろう。
俺の勝利条件はこいつの防御を俺が10秒以内に崩し、魔術を叩き込むこと。
ヤツの勝利条件は20秒間防御を崩さず、俺の攻撃を耐え抜くこと。
残り時間:7秒
「まだ攻撃を仕掛けて来ねえのか!来るならとっとと来い!それともここから逃げようとしてるのかなぁ〜?」
「…」
(ッチ返事なしかよ。まさかもう脱出済みなのか?んなわけねーか。この教室は魔法・魔術に対して高い耐性のある木で作られてんだ。あいつ如きに脱出は不可能)
残り時間6秒
「路傍の微粒子よ、飆に乗り、舞い上がれ」
「そこか!」
マレは拳を勢いよく突き出したが、それがアフラに届くことはなかった。
「ハレノーサ」
2つ目 ・・・『ハレノーサ』詠唱 -路傍の微粒子よ、飆に乗り、舞い上がれ。-埃を舞い上げる魔術
(こいつはどこまで行ってもムカつくぜ。前が見えねぇ…だが)
「もう透明化状態を維持するのも限界なんじゃねえのか?アフラァ!」
残り時間:4秒
「温め、逃げ、補い、循環せよ。ゲイル・ブラスト」
そうヤツが言い終えると澄んだ空気の匂いがした。
風だ。ハレノーサを吹き飛ばす気なのか
これは少し賭けになるな
残り時間:3秒
「集め、削り固めよ」
残り時間:2秒
「フォルムング」
「どこにいる!出てこい!」
残り時間:1秒
マレの背後に影が現る
「そこか!」
ドゴン
「ザマァみやがれ!お前が決闘を受ければこんなことにはならなかったんだぜ」
マレは見誤っていた。
三浦蓮の、強さを
突如、マレの背後に人影が現る
-淀みなく、滑らかな円環
-微かなる灯火よ我が力に応え、奪い尽くすがよい。
-印を結びて、質量にベクトルを与えよ。プロストゥラーレ
3つ目 ・・・『フォルムング』詠唱 -集め、削り固めよ。-柔らかいもの、小さな物を造形する魔術
「パルヴァ・ルーメン」
ピキピキピキピキ
ヒュン
(なんだこれ?氷か?硬え。動けねえ。クソクソクソ何発喰らったんだ?こいつが?どうやって?無詠唱で使えないんじゃなかったのか!?)
「終わりだよ。クソ野郎」
-温め逃げ、補い循環せよ。
「終わるのはお前の方だ!」
「何言って──」
「こい! ゲイル・ブラスト!」
バリバリ
氷が砕けた!?まずい!!避けきれない
暴風が一直線に襲いかかる。
バンッ!
アフラは勢いよく壁に叩きつけられた。
その隙にマレはアフラに向けて走り出していた。
しかし、
(もう限界か…)
ドサッ
しかし、その足はアフラへ届く前に止まった。
「まだだ…」
魔力…切れか…?
いや、嘘の可能性がある。もうヤツにトドメを刺す魔術を使う魔力も残ってない。
近づかないようにしよう。
トコ、トコ
「これで……終わりだ」
そんなことよりヴィゲ達を回復魔法が得意な先生の元へ連れて行かなければ。
こんなやつに構ってるんじゃなかった
「聞いてんのか。答えろ。てめえどんなイカサマをした」
「お前に教える義理はない。せいぜい誰かに見つかるまでそこで寝ておくんだな!」
ガチャ
ガチャガチャッ
鍵が閉まってる!?これじゃあ外に出れない…!?
ヴィゲ達を助けないといけないのに…
「バーカ、それは俺が閉めたんだ。その鍵は俺が持ってるからお前には解除できない。もしどうしてもって言うなら、『お願いします。解除してください』って言ってみろ」
……この期に及んで…コイツ
でも、それでヴィゲ達が助かるなら
「お願いします。解除してください」
「へ?」
ガチャ
扉がゆっくりと開く。
廊下から差し込んだ光が、血で汚れた床を照らす。
「これは一体…」
今回は歯医者と遊園地、注射、あとサボりたかったので3日サボりました。




