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捨て置かれた第二王子を助けたら王太子が婚約者になりました  作者: とぅーのすけ


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ゴーレムの計画

やはり、王妃はこの件に関わっていたのね…。


黒いローブを纏ったゴーレムが静かに笑っている。

ゴーレムの後ろから5人の男たちも現れた。


「あなたはノルン帝国の者ね…。」


「…おや、バレていましたか…。やはり、あなただけは殺してしまわないといけないですね。」


今日は天気がいいですねという様に、さらりと何でもないように言う。

この男は…危険だわ…。

前に会った時はどうやっていたのか、魔力の色が違ったのに、今は真黒だ。

魔力を隠すのか、抑えるのが相当上手いのかもしれない。


ただ、解呪できたことを思うと、ルーファス様よりは闇魔法の力も弱いはず。

でも、今、彼はいないし、私には聖魔法しか使えない。


明らかに屈強そうな男たちに取り囲まれ、アイシアはジタバタすることをやめた。

ルーファス様の魔石の効果がどれくらい持つかわからない今、あえて攻撃を受けて残された時間を減らすのも、悪手だろう。


「ゴーレム。ノルン帝国の目的は侵略なの?そのために、ガルシア帝国へウイルスを撒いたの?」


あえて、毒だと知っていることは伏せた。


「なんですか?もう、逃げることは諦めたのですか。つまらないですね…。いいでしょう。あなたのその無駄な時間稼ぎに少々つき合ってあげましょう。」

武器を構えた男たちの後ろで薄く笑う。


「先ほどの質問の答えですが、そうですよ。

以前の侵略では失敗しましたからね。まさか、敵対関係にあったフェイレイ王国に助けを求めるとは思わなかった。」


以前の侵略で失敗…。アイリーン王女が側妃として嫁ぐことになった、あの謎のウイルスも、ノルン帝国の策略だったという事…。

「だから、今回はその前に聖魔法士を攫ったの?彼らは無事なの?」

心臓がありえない程の速さでドクドクと鳴っていることを悟られないよう、落ち着いた声を出す。


「ええ。まだ生きてはいらっしゃいますよ。聖魔法士に闇魔法が効かないとは、知らなかった。本当はその聖魔法士達を操って、さらに混乱させようと思っておりましたが、彼らは精神魔法が効かなかった。まぁ、どの程度の力があるのかは把握出来たのでよかったですが。」


「ノルン帝国には聖魔法士は生まれないの?」


「…そうですね…。我が国は、残念ながら、フェイレイ王国の中心にある聖なる泉から湧き出る水が流れる川が、繋がっておりません。フェイレイ王国に聖魔法士が沢山生まれるのは、その恩恵を受けているからですよ。農業国であるルースファレンにも、ガルシア帝国にもその流れは繋がっているというのに…。我が国にあるのは魔物が湧き出る黒湖という、汚染された湖だけ。そのため山岳地帯に張る氷水で民は水源を確保しているのです。」


「魔物が湧き出る湖…?」


フェイレイ王国は創世記というのが伝え残されていて、王都の近くにあるフェネルの森にある、ルーンの泉に、女神が降り立ち、人々を疫病や飢饉から救ったという伝説がある。

その森を守るように、王都が作られたとも言われていて、ルーンの泉の近くに建てられた教会で、王族や貴族は結婚式をする習わしがある。

ルーンの泉は枯れることがなく、もともと近くに流れていた川に流れ出て行く。


王都の近くを流れる川は清流で、そのままガルシア帝国や北のルースファレン王国へつながっている。

確か、モルディモア国にも、国境のサルム山の地下水脈を通って繋がっているとも言われていたわ。


「ずっと鎖国状態にあったノルン帝国はその恩恵を受けていなかったのね…。なぜ、他国に助力を求めなかったの?侵略より遥かに人道的でしょう。」


アイシアの言葉にフッと馬鹿にしたように笑うと、大げさなため息をついた。


「教会でお会いした時も思いましたが、あなたの頭は本当に平和に出来ているのですね。魔物が湧き出る湖のある我が国と誰が正式に国交を結びたいと思うのです?」


「でも!魔物は我が国にも他国にも出現するわ。魔物の被害はどこの国にとっても脅威。協力すればその湖を押さえることが出来るかもしれない。魔物の数が減れば、どの国も安全が手に入り、押さえてくれているノルン帝国にも感謝するでしょう。」


「どうやっておさえるというのです…?それが出来れば我が国も…。そんな方法などない。」


「ゴーレム…あなた…、もしかして王族なの?」


「…なぜ…?」

「”我が国”という言葉を当たり前のように使うから。」

アイシアの静かな問いに、皮肉気に口角を上げた。

「ええ。私はノルン帝国の王弟です。私はこの国で誰よりも闇の魔力がが強いのです。我が国がこの先生き残っていく為に、領土拡大し、聖なる泉を手に入れる…。」


”聖なる泉を手に入れる”…?


「おしゃべりが過ぎましたね…。では時間です。死んでもらいましょう。」

ゴーレムがゆっくり手を上げ、男たちが動き始める。


「あんた…目的はフェイレイ王国なのね!?だから…王妃に近付いたの?どうやって…。」


「あなたの聖魔法は、とても美しかったです。もう二度と見ることが出来ないのは残念です。

さようなら、光の聖女様。」


男たちに合図を送ると、ゴーレムは空間へと消えていく。

また、逃げられる!この男の移動範囲が相当広いことがわかる。このフェイレイ王国のあちこちにゲートがある。この男を逃がしてはダメ…。でも、どうすれば…!


ゴーレムが消える直前急に動きが止まった。

「グッ…ッ!?」

え…??

瞬間、凄まじい魔力がアイシアを包んだ。



そして目の前にはゴーレムの消えて行こうとした空間の向こうから人が現れ、ゴーレムがそのままこちらへ倒れてきた。


「王弟陛下!!」

男達がザッと、空間に向かって剣を構える。


「無事でよかった…、シア。」

「…ルーファス様!!」


アイシアの目の前にはルーファスと、アーサーが立っていた。











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