表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨て置かれた第二王子を助けたら王太子が婚約者になりました  作者: とぅーのすけ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/75

計画

「至急、王妃との謁見の時間をもうけて欲しい。」


ヴァンシル殿下の命令で、ジークフリートは急いで動いた。

事は一刻を争うのだ。

幸運にも王妃は直ぐにヴァンシル殿下に会うという。

指定されたのは、翌日の昼過ぎ、王妃の私室に来る様にとの事だった。

「共は付けずに、殿下お一人でとのことです。」

「わかった。」


朝食の後、執務室でジュリアスとエリオットの三人で話し合いをしていると、アイシアの侍女より急ぎ集まって欲しいとの連絡が入った。


「王妃に会う前に、確認したいこともある。すぐに向かう。」


集まった昨日と全く同じ顔触れはアイシアを中心に説明を受ける。

その内容に、魔力の高いエリオットも目を見張った。

そんな魔力の遣い方が出来るのかと。

その時、急ぎ来城したアーサー・ジョゼット侯爵が入室した。


「遅れて申し訳ございません。シア、無事でよかった。」

「お父様!!」

嬉しそうに顔を綻ばせたアイシアに、優しい目を向けてから、ヴァンシルの前に膝まづくと、深く頭を下げた。

「殿下、この度は娘を助けていただき、誠にありがとうございます。殿下が居なければ、愛する娘の顔を、二度と見ることは叶わなかったでしょう。」

「侯爵…。いや、自分のためにしたことだ。アイシア嬢は私の大切な婚約者だ。」

「婚約者候補ですぞ、殿下。」

ふと顔を上げたジョゼット侯爵にヴァンシルは苦笑いをこぼす。

「細かいぞ、侯爵。それよりもだ。あなたが来てくれてよかった。アイシア嬢の計画にはあなたは必須だ。」

「むろん、理解しております。」


ニヤリと笑ったジョゼット侯爵に、ジークフリートがフッと笑う。

何もかもわかっている様子。

やはり、この親子、すばらしく頭が回る。


アーサーは、すでに執事からアイシアの状況を確認していた。

ソレンタールの花について調べていたことも聞きおよんでいて、そこから考えを巡らせ、自分で答えを導き出していたようだ。


「では、お父様、いえ、最強の風魔法使いである魔術師団長がいらっしゃるので、詳しい計画をお話します。」


それは、ルーファスの闇魔法と、エリオットと、ヴァンシルの水魔法、アーサーの風魔法、そして、ガルシア帝国で備蓄しているソレンタールから作られた薬を使う解決方法だった。



「ただ、これには穴があります。」

ルーファスが言葉を挟む。

「そうですね…。神父様の症状を見ても、きっとこの方法で完治するのはあくまで初期症状の方。呼吸不全の進んだ重度の方はそのうえで私が聖魔法をかける必要があるかと思います。」

ルーファスとアイシアがお互いを見つめて頷く。


「わかった…。とにかく試してみる価値はあるな。午後から王妃と会うことになっている。その時にノルン帝国との関係確認と、ガルシア帝国への出発の許可をもらう予定だ。」

「兄上、”ここ”にいる闇魔法使いを探すことも忘れないでください。」

「ああ、わかっている…。」

頷くヴァンシルにアーサーが提案する。


「闇魔法使いを探すなら、適任がおります。」

「…適任…そうか…。副師団長か。」

「はい。」


魔術師団の副師団長は魔法の探知探索が得意で、初めて会った時に、ルーファスの闇魔法について感知したのも彼だ。今まで感じたことのない魔力をお持ちだと。

魔法剣士であるアーサーと違い、副師団長レイリー・テイルズは魔術師だ。

属性も3つ、風と水、そして聖魔法だ。


一番強いのが風魔法で、水もそれに近いくらい強い。

そして、聖魔法も使えるため、アイシアに聖魔法の基礎を教えれてくれたのもレイリーだ。

魔術師なのに、剣も強い。もちろん、剣の腕はアーサーには及ばないが、魔法剣士と言っても差し支えない程、剣も強いのだ。

「レイリーなら、闇魔法使いを見つけることもたやすいでしょう。それに、聖魔法も使えるため、万が一の時も操られることはない。」

そうなのだ。聖魔法使いは闇魔法使いの精神魔法に唯一対抗できるのだ。

闇魔法使いの強さにもよるが、基本的に聖魔法を使える者は闇魔法にかかりにくい。

そして術者以上の力のある闇魔法を使える者もその精神魔法にはかからない。


「見たところ、エリオット様、あなたは解呪する必要はないでしょうが、少しながら闇魔法がかかりやすい状態になっております。あなたは闇魔法使いの捜索にはむかないでしょう。魔力の弱いジュリアス殿と、レイリーでそちらは担当した方が良い。ジークフリートは王妃殿下の監視を。」

ジッと全体を観察したアーサーの言葉にアイシアとルーファス以外のものが息を飲んだ。


一瞬でその場を判断し、決断出来る才能。

これが魔術師団長を長く任されてきた所以なのだろう。


「ヴァンシル殿下とエリオット殿、二人はガルシア帝国には入らないほうが良いでしょう。

王太子という大切な立場です。万が一のことがあっては困ります。ガルシア帝国に近い東のトーア砦で待機してください。私とルーファス殿下、アイシアの三名で帝国には向かいます。セラフィーヌ王女、案内と、薬の手配をお願いします。全ての準備が整いましたら、トーア砦で合流し、計画を実地しましょう。」


素早く予定を立てると、有無を言わさぬその力強い瞳に、ヴァンシルも何も言えない。

流石だ…。状況判断と、経験による予測と決断力。アイシア嬢はこの男に似たのか。

敵にすると厄介な男だ。天才と言われるモルディール宰相が、本当の天才はあの男だと一目置くアーサー・ジョゼット侯爵。

普段の甘い父親の顔以外の実力を垣間見た気がして、ヴァンシルはニヤリと笑った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ