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捨て置かれた第二王子を助けたら王太子が婚約者になりました  作者: とぅーのすけ


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ルーファスの戦い

エレナは夕食後、アイシアを部屋へ送ると、すぐに動き出した。

部屋の前にはこの時間はシーザーが護衛についている。日が変わる頃、レンブラントと交代予定だ。


夕刻からは、村の者が2名、教会周辺を警護している。

昼間は患者がひっきりなしに来るだろうことを考えると、何か起こす予定なら、夕刻から朝方にかけて…。

とにかく早く神父様を見つけないと。


アイシア様は魔力を感じる力がすごいと聞いている。

どんなふうに感じているのかはわからないが、ゴーレムの魔力が強いから気を付けてとおっしゃっていた。

神聖な魔力をこの教会からも感じるから、きっとまだ神父様は生きていらっしゃると思うとも…。


エレナは素早く教会の祭壇の下や、今日、患者を診ていた個室なども確認する。

どこにも隠し扉のようなものは見当たらない…。

どこか…何か見落としがあるはずだわ…。

諜報は得意だ。まずはゴーレムの現在地を把握してあいつの周辺を探してみるしかない…。




ルーファスは知らせを受けてすぐにマグノリア教会へ馬を走らせていた。

シア…

頼む、無事でいてくれ。

出発の日程から考えると。シアが到着するころにはマグノリア教会へ着くはずだ。

大丈夫、間に合う。


自分に言い聞かせながら、ルーファスは馬を急がせる。

後の処理はジョゼット侯爵に任せて、先にルーファスが1人で向かったのだ。


王妃が僕の不在中に何か仕掛けてくるだろうとは思っていた。

こちらを狙ってくるのか、シアを狙うのか…。

ただ、僕がシアの傍を離れて、こんなに早く行動するとは思わなかった。

しかも、、行き先がマグノリア教会!!

そこは聖魔法士の行方不明になった原因の場所だ。


王妃は…まさかこの聖魔法士の行方不明に関わっているのか?

彼女はこの王国の医療を整えた立役者だ。

その王妃が?

もしそうなら一体、何のために…。

ただ、この件には闇魔法が深く関わっている。

そして、あの王宮には闇魔法士が、間違いなくいた。

感じた。

シアは魔力を見ることが出来るが、僕は感じることでその属性も大体の判断できる。

自分の持つ風と火と闇は間違いなく正確に。

闇魔法は危険だ。

この国には闇魔法がほとんど存在しない。

精神に干渉して操り、”しるし”をつけた場所なら影を移動することも出来る。


…影を移動出来る……?

そうだ…影を移動できるのだ。

この世界の裏側というべきか、同時に存在する空間。闇魔法はその空間を移動する術がある。

各地で起きた行方不明事件は、ある日突然、消えたというのがほとんどだ。

それは闇魔法で、空間へ引きずり込まれているからではないのか。

”しるし”は一度つけると、そこは闇魔法使いにとってはいつでも行ける場所となる。

ただ、空間移動の魔法は、想像以上に魔力消費が激しく、使える者はほとんどいないと言われている。

だがもし、そんな魔力の多い闇魔法使いがいたなら、

シアは間違いなく危険だ。


その時、ルーファスの頭上にブワッと凄まじい魔力の塊が襲ってきた。

素早く馬を操って躱し、走りながら見上げる。

「!!」

真っ黒い塊がものすごい勢いでこちらに向かっている。

なんだ?!

魔物…まさか、ドラゴン?!

馬を巧みに操りながら、ルーファスがその存在を目で確認する。

頭上には真黒のドラゴンが火を吐きながらこちらにグングンと近づいてくる。


ルーファスがドラゴンに向かって手を翳し呪文を唱える。

すると風が集まりドラゴンに向かって刃のような鋭利さを持った突風が突き刺さる

轟音が鳴り響き、ドラゴンの右翼に傷がつくが、魔物の中でも最強クラスといわれるドラゴンには効いていない。

クソッ

凄まじい咆哮を上げて、ルーファスに向かって炎を口から吐き出した。

結界を張り、寸前で防ぐと、ルーファスは違和感を感じる。

こいつ…僕を狙っている。

ドラゴンが相手に執着するのは、自分の子供を攻撃された時だ。

ここは王国の南端に位置する、所々に森が混在する広大な草原で、ドラゴンの住むような山岳地帯ではない。

突然ドラゴンが現れ攻撃してくることも不自然だ。

だが、ドラゴンなど、上位魔物などを使役出来るなど聞いたこともない。

王妃の差し金ではないのか?

どういうことだ!?

こんなところで足止めをくらっている場合じゃないのに…。


近くの森へ駆け込み、ルーファスは一旦、馬を降り、近くの木へ繋ぐ。

「動くなよ。」

興奮する馬をなだめ、馬の周りに結界を張る。

足がなくなればシアの元へ駆けつけることが出来ない。

木々の上を黒い塊が旋回しているのが見える。


ルーファスは開けた場所へ移動すると、ルーファスを追ってドラゴンがその上空で旋回を始めた。

やはり、僕を狙っている。

いや、僕の何かに反応して敵とみなしている。

ここで時間を使うわけにはいかない。

ドラゴンにはただの炎は効かない。

両手をパンッと合わせ風魔法を仕掛ける。

ルーファスの周りに上昇する風が巻き起こり、そのままルーファスの体をぐんぐんと高く持ち上げる。

巧みに風を操作しながらドラゴンに近づくと、闇魔法と火魔法をかけ合わせた黒い炎の塊を放った。


ドラゴンの胴体に命中した闇の炎はそのままその体全体を包み始めた。

苦し気に咆哮を上げながらルーファスに体当たりする。

吹き飛ばされたルーファスは、地面にたたきつけられる前に風魔法で衝撃を減らしたが、背中を強く打ち付けた。


…く…っ。また攻撃が来る…!

急いで身を起し、構えると、ルーファスは目を見張った。

なぜが、そのままドラゴンは自分自身を攻撃するかのような動きを始めたのだ。


どうなっている?!

自身を爪でかきむしるように攻撃し、上空に向かって炎を吐く。

訳が分からない。だが、好機。

魔法で方向様々な旋風を巻き起こすとドラゴンに向けて攻撃する、

近くの木々や石などを巻き込みながらの鋭利な風の攻撃は闇の炎にまかれたドラゴンを深く傷をつけた。

ひと際大きな声を上げた後、ドラゴンはそのまま動かなくなりゆっくりを炎で焼かれていった。

その場には大きな魔石が残された。


一体…なんだったんだ…。

様子がおかしかった。黒いドラゴンなど、この王国では見たことがない。

一体何が起こっているんだ?


ルーファスは痛む体を引きづるように、馬の元へ戻ると、もう一度マグノリア教会へ向かった。








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