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地球よ、永遠に  作者: ヒルナギ


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聖愚者の旅立ち 04-03

 ホフマンは、全天周型スクリーンに映し出されたインドラクラスにほうとため息をあげる。

 天空から自分たちに向かい振りかざされた神の槍は、三つの砲口に赤く燃えさかるエネルギーの輝きを宿していた。

 その輝きは、凶悪な殺戮の意志に満ちていると思える。

 ホフマンは、炎の刺青が入った顔でにやりと笑う。


「いいねぇ、連邦のやつら、やる気まんまんじゃあねか。こちとら、逃げ続けろって作戦指示なのによ」


 ホフマンは、そう言い放つと艦長席に深く沈み足を投げ出して高く組む。

 操舵レバーを手にしたルーイ・ノヴァーリスが、少し苦笑しながら声をあげた。


「ロスヴァイゼから、ランダム運動への同期指示がきました。本艦エイリークも、自動追尾モードに入ります」


 ホフマンは、腕を組むと不満そうに鼻をならす。


「おれの船にノヴァーリス家の若君を航海士として向かえた初戦が、逃げ回るだけとは情けない話だ。ルーイ、残念だが

君の腕を披露できる機会は、今回ないかもしれんな」


 ルーイの隣に座っている砲手のおとこは、肩をすくめる。


「操舵手はまだ操艦がありますけど、逃げてるだけじゃあ砲手が配置につく必要すらないですかね?」


 ルーイは、笑い声をあげる。


「逃げ回っているだけで勝てるのであれば、それにこしたことはありません」


 ホフマンは、頷く。


「勝てるんなら、おれも文句はないがな」


 ホフマンは燃える炎が貼り付けられた顔に、凄絶な笑みを浮かべる。


「逃げるだけで勝ったなんてぇ話は、聞いたことがない」


 そのとき、スクリーンの片隅にアラート表示があらわれた。

 ルーイはアラート表示を拡大し、声をあげる。


「連邦艦隊インドラクラスのエネルギー反応が、上昇。敵艦の主砲発射予想時間は、100秒後です」


 第一機動艦隊はランダム運動に入っており、荒波に揉まれているように頭上のインドラクラスたちの姿が揺らいでみえる。

 その砲口は、神槍の雷を放つべく宇宙の星々の輝きを殺すような強い光を放っていた。

 スクリーンに映る映像は、インドラクラスたちの放つ光以外は闇に呑まれていく。

 それは嵐を前にして暗雲に呑み込まれた空を、思わせた。

 ルーイたちの乗る船エイリークは、戦艦ロスヴァイゼの展開するバリアの影に入っておりロスヴァイゼの動きにあわせて自動的に動いている。コントロールはロスヴァイゼ側にあるため、ルーイとしてはすることがない。

 ただ、成り行きに身をまかせるばかりだ。

 スクリーンに、カウントダウン表示が出た。ルーイは、声をあげる。


「敵艦隊主砲発射予想時間まで、十秒」


 ルーイは、続けてカウントダウンする。


「5、4、3、2、来ます!」


 破滅の雷が宇宙を支配し、エイリークの全天周型スクリーンは光に包まれる。

 インドラクラスの主砲がデコイのスクリーンに直撃し、デコイのバリアが突然闇の中から星が出現したように七色の輝きをみせた。


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