396話 超高機能都市
人口2000万人を超える巨大都市、東京を維持するため、日本政府は住宅だけでなく、都市機能そのものを徹底的に計画した。
緑に囲まれた巨大都市
高層住宅がどれほど整備されていても、人々の心に安らぎがなければ都市は息苦しいものとなる。
そのため、日本政府は都市計画の初期段階から「緑地率」を厳格に定めていた。
およそ二十区画ごとに、一か所の大型公園を配置する。
どの住宅からでも700メートルほど歩けば必ず広大な公園へ到着する。
園内には大きな芝生広場が広がり、四季折々の花木が植えられていた。
桜並木。
紅葉の林。
人工池。
噴水。
遊歩道。
運動場。
子ども向け遊具。
誰もが自由に利用できる憩いの空間である。
休日ともなれば、家族連れが芝生へ寝転び、子どもたちは元気よく走り回る。
高齢者は散歩を楽しみ、学生は木陰で本を読む。
都市人口は世界最大規模でありながら、人々は常に自然を身近に感じながら生活していた。
日本では、自然と都市は対立するものではなく、共存するものとして計画されていたのである。
巨大商業施設と地下物流網
都市生活を支えるもう一つの柱が商業施設だった。
建物の内部には、
食料品売場。
衣料品店。
家具店。
家電売場。
書店。
飲食店。
薬局。
銀行。
郵便局。
診療所。
生活に必要な施設が一か所へ集約されている。
住民は仕事帰りに立ち寄るだけで、生活に必要な買い物をほぼすべて済ませることができた。
さらに、この巨大商業施設の地下には物流倉庫が設けられていた。
地下物流道と直結しており、大型貨物車は地上へ姿を現すことなく商品を搬入する。
そのため地上道路は混雑せず、歩行者の安全も保たれていた。
店頭から商品がなくなれば、地下倉庫から補充される。
この効率的な物流システムは、日本の社会を支える重要な基盤となっていた。
子どもたちの毎日
子どもたちの生活も大きく変わっていた。
住宅街には学校が密集して配置されており、徒歩五分から十分で到着できる。
そのため、自転車を利用する必要すらほとんどない。
朝になると、リュックを背負った子どもたちが友達と笑いながら学校へ向かう。
授業が終われば公園で遊び、そのまま安全な歩道を通って帰宅する。
保護者たちは安心して子どもを送り出せる社会が実現していた。
夜景という新しい文化
日が沈み始めると、都市は昼とはまったく違う姿を見せる。
放射状道路沿いに設置された街灯が一斉に点灯する。
黄金色の光が道路を照らし、高架鉄道の窓から漏れる明かりが夜空を流れていく。
商業施設の照明。
住宅の窓明かり。
駅前広場の街灯。
それらすべてが一体となり、巨大な都市はまるで光の芸術作品のような姿へ変わった。
上空から見れば、江戸城を中心として幾何学模様のように放射状の光が広がる。
その光景は、自然に形成された都市では決して見ることのできない、人工都市ならではの美しさだった。
宇宙軍の観測衛星から撮影された夜景写真は、後に「世界で最も美しい都市」と称されることになる。




