↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明賢の物語(日本建国物語)正式版  作者: 大和草
第六章 覇権国のさらなる発展

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

397/427

397話 区画整理

新たな区分け


日本が国内基盤の整備を急速に進める中、明賢は国土交通省本庁舎の大会議室を訪れていた。


部屋いっぱいに広げられた巨大な国土図。


その上には、色分けされた無数の区域が描き込まれている。


挿絵(By みてみん)


居住区。


工業地帯。


農地。


行政区域。


研究施設。


それぞれが異なる色で塗り分けられ、一目見ただけで都市全体の計画が分かるようになっていた。


会議室には国土交通省だけでなく、


都市計画局。


農林水産省。


経産省。


防衛省。


鉄道局。


主要省庁の責任者が集まっていた。


明賢は静かに地図へ手を置く。


「技術も、人材も、資本もある。」


「だが、それだけでは国家は豊かにならない。」


室内が静まり返る。


明賢は地図をゆっくりとなぞりながら続けた。


「都市をただ大きくする時代は終わった。」


「居住。」


「産業。」


「物流。」


「行政。」


「教育。」


「防衛。」


「研究。」


「それぞれが独立しながら互いに循環する都市を作るのだ。」


こうして、日本第二次国家大改造計画の中心となる「用途別都市区分計画」が正式に実行される。


1629年。


政府は全国共通となる都市区分基準を制定した。


都市計画図に描かれた色には、それぞれ明確な意味が与えられる。


もはや都市は自然発生的に広がるものではない。


国家が設計し、国家が管理する時代へ入ったのである。


港・空港地区(ピンク)


最初に整備されたのは、海と空の玄関口だった。


東京湾沿岸。


千葉沿岸。


瀬戸内海。


シドニー。


山番市。


主要港湾には巨大な埠頭が建設される。


大型船舶が同時に何十隻も接岸できる岸壁。


巨大クレーン。


荷役設備。


燃料施設。


さらに将来航空機が一般化することを見越し、広大な平地が空港予定地として確保された。


当時、その用途を理解できる者はほとんどいなかったが、明賢だけは数十年先を見据えていた。


居住地区(薄緑)


都市の中心を取り囲むのは、人々が暮らす住宅地区だった。


しかし、それは従来の住宅街ではない。


二十階建て集合住宅を基本単位とし、一つの区画だけで生活が完結する「グリッドセル型都市」が採用された。


住宅。


学校。


診療所。


商店。


公園。


保育施設。


広場。


それらすべてが徒歩圏内へ配置される。


どの区画へ移り住んでも同じ生活水準を維持できる。


日本全国が一つの統一された都市となることを目標としていた。


農業地区(オレンジ)


都市が巨大化するほど重要になるのが食料供給だった。


そこで都市近郊には広大な農業地帯が帯状に配置された。


水田。


畑。


果樹園。


酪農施設。


さらに研究用として屋内農場や工場型農業も試験導入される。


都市から最短距離で食料を運び込めるため、鮮度も輸送効率も飛躍的に向上した。


機械工業地区(濃橙)


重工業の中心となる区域には、


工作機械。


大型重機。


鉄道車両。


建設機械。


自動車。


船舶部品。


様々な工場が集中的に配置された。


港と直結することで鉄鉱石や石炭を効率よく受け入れ、製品を全国へ送り出せる構造となっていた。


造船・港湾重工地区(青)


湾岸部には巨大な造船ドックが並ぶ。


民間船。


貨物船。


大型フェリー。


海軍艦艇。


それらを同じ地域で建造・整備できる、日本最大級の海洋工業地帯である。


巨大クレーンが休みなく動き、昼夜を問わず船舶が建造されていく。


日本の海運と海軍を支える心臓部だった。


化学工業地区(濃紫)


石油化学。


肥料。


塗料。


医薬品。


合成樹脂。


危険物を扱う工場群は、安全確保のため都市中心部から離して配置された。


専用道路。


専用鉄道。


防火帯。


巨大な貯蔵施設。


万一の事故にも備えた、日本で最も厳格な管理区域である。


官公庁地区(薄桃色)


江戸城周辺には行政中枢が集められた。


各省庁。


最高裁判所。


議会。


中央銀行。


研究機関。


本土を管理する国家の意思決定機関が一か所へ集約され、行政効率は飛躍的に向上する。


宇宙開発地区(水色)


当時、その意味を理解できた者はほとんど存在しなかった。


ロケット部品工場。


通信施設。


観測施設。


巨大試験棟。


宇宙軍関連工場。


これらは一つの巨大な産業として整備され始める。


地上で製造された部品は、将来の打ち上げ基地へ送られることを前提として設計されていた。


物流地区(灰色)


巨大倉庫。


冷蔵施設。


貨物集積場。


鉄道操車場。


港と工場、住宅街を結ぶ中継基地として機能する。


日本全国へ物資を絶え間なく送り続ける血管のような存在だった。


こうして都市全体は、用途ごとに帯状、そして放射状に配置されることとなった。


産業と居住。


物流と行政。


防衛と研究。


すべてが最短距離で結ばれる、日本独自の未来都市構想が現実となり始めていた。


居住区の物語「一つの区画が、一つの街」


最初に完成したモデル住宅区では、多くの国民が新しい生活を始めた。


二十階建て集合住宅。


広い歩道。


上下水道。


都市ガス。


電力。


学校。


診療所。


それまで夢物語だった設備が、一つの街へまとめられている。


こうした区画は、単なる住宅街ではなかった。


学校。


医療。


保育。


商業。


福祉。


生活に必要な機能すべてを備えた、一つの小さな自治都市として機能していたのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。