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明賢の物語(日本建国物語)正式版  作者: 大和草
第六章 覇権国のさらなる発展

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321/323

321話 2号機の打ち上げ

次なる目標 2号機打ち上げ


暁星1号の成功は、日本中に大きな衝撃と自信をもたらした。


人工衛星は確かに宇宙へ到達し、そして確かに機能した。


その事実は、宇宙軍の長年の研究が正しかったことを証明していた。


そして同時に、次の計画へ進むための、正式なGOサインでもあった。


目標は2号機。


日本初の衛星通信試験機である。


前世でいう通信衛星の原始的なモデル。


しかし、この時代においては、あまりにも先進的な存在だった。


その目的は明確である。


軍。


外交。


災害時の長距離通信。


それらを地球規模で結び付ける、新しい通信手段を確立すること。


宇宙軍にとっても、極めて重要な計画だった。


1641年9月3日 2号機打ち上げ準備


羽合のロケット発射場では、再び巨大な組立棟の扉がゆっくりと開いていた。


重々しい駆動音が響く。


朝日が差し込み、その光の中から巨大な機体が姿を現した。


二段式ロケット。


白い外装が、陽光を受けて静かに輝いている。


機体側面には、「暁星2号 通信試験機」と、大きく書かれていた。


前回の打ち上げを経験した整備員たちは、黙ってその姿を見上げている。


宇宙へ向かう巨大な機械の前では、自然と背筋が伸びる。


ゆっくりと運搬されるロケットは、やがて発射台へ据え付けられた。


発射塔の隣に立つその姿は、まるで空へ伸びる白い塔のようだった。


コントロールセンター


地下のコントロールセンターには、再び関係者が集結していた。


空軍。


宇宙軍。


それぞれの幹部が、持ち場へ着いている。


大型スクリーンには、発射台の映像。


各種計器。


通信状況。


気象データ。


あらゆる情報が映し出されていた。


そこへ、静かな足音が響く。


明賢だった。


全員が立ち上がる。


明賢は正面へ進み、巨大なスクリーンを見上げた。


そこには、発射台に立つ暁星2号が映っている。


しばらく見つめた後、静かに口を開いた。


「衛星通信の確立は、日本軍の未来に直結する。」


「今回も、頼んだぞ。」


その一言だけだった。


しかし、その言葉には大きな期待が込められていた。


技術者たちは、静かに頭を下げた。


「はい。」


「必ず成功させます。」


緊張と興奮。


二つの感情が、管制室の空気を満たしていた。


発射


10秒前。


発射台の巨大なバルブが開く。


ドオオオオオオッ――。


大量の水が、発射台の周囲へ流れ込んでいく。


滝のような水流が、ロケットの周囲を覆い始める。


蒸気と衝撃波を吸収するための、巨大な水の壁。


前回と同じ光景だった。


宇宙へ挑む瞬間の緊張は、何度経験しても変わらない。


大型モニターに、数字が表示される。


9


8


点火装置が振動を始める。


ロケット内部では、液体燃料がゆっくりと送り込まれていく。


7


6


5


計器はすべて異常なし。


4


3


管制室に、静寂が満ちる。


2


1。


「点火!!」


その瞬間。


ゴオオオオオオオオオオッ!!


ロケット下部から、白い炎が噴き出した。


発射台が震える。


大地が低く唸る。


膨大な推力が、機体を押し上げていく。


巨大な白い影が、ゆっくりと、


そして空へ向かって動き始めた。


「離昇確認!」


管制室に声が響く。


「暁星2号、上昇中!」


窓の外では、ロケットが青空へ向かって昇っていく。


白い炎。


白い煙。


そして、眩い光の尾。


その軌跡が、ハワイの空へ長く描かれていった。


分離、そして軌道投入


ロケットは、前回と同じように上昇を続ける。


高度が増していく。


速度も上がる。


やがて、


「第一段分離!」


「分離確認!」


すぐに報告が続く。


「第二段エンジン点火!」


「推力正常!」


全員が、次々と表示される数値を見つめていた。


そして


「軌道修正、正常!」


「予定軌道へ接近!」


数秒後。


通信担当官が、大きく顔を上げた。


「通信試験機、分離成功!」


間を置かずに、さらに報告が続く。


「送信アンテナ展開完了!」


その瞬間。


管制室へ、小さな電子音が流れ始めた。


ピ……


ピ……


ピ……


全員が、その音へ耳を傾けている。


そして。


「暁星2号、電波受信!」


声が響いた。


「通信安定。連携確立!」


管制室の空気が、一気に変わった。


宇宙軍司令は、思わず拳を握る。


顔には、抑えきれない喜びが浮かんでいた。


「これで、世界中どこにいても、日本と連絡が取れる。」


その言葉に、何人もの技術者が静かに頷いた。


まさに、


外交。


軍事。


気象。


科学研究。


あらゆる分野を変える、新しい時代の始まりだった。


2号機が送る最初の通信データ


暁星2号は、静かに地球を周回していた。


やがて、地球の影を抜ける。


太陽の光が、機体を照らす。


展開されたアンテナ。


太陽電池パネル。


それらが、宇宙の闇の中で鈍く輝いていた。


そして。


最初の試験信号が送信される。


データは、羽合へ。


琉球へ。


そしてフロリダへ。


ほぼ同時に到達した。


通信担当官が、興奮した声を上げる。


「通信感度、規定値の150%!」


別の担当官も、信じられないという表情で数値を見つめる。


「想定より遥かに良い状態です!」


歓声が上がる。


拍手が起こる。


暁星2号は、確かに機能している。


宇宙を経由して、情報が送られている。


明賢は、表示されるデータを見つめながら、深く満足そうに頷いた。


そして、静かに言った。


「これで、衛星通信網の構築ができるな。」


その言葉とともに、管制室の全員が、自分たちが今まさに歴史の転換点へ立っていることを、改めて実感していた。

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