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まもなく、調査会社が到着。涼村の義体は民間の研究所預かりとなり、研究所付けのバンによって運ばれていった。
アスカ、エレン、そして恭介の三人は、ようやく落ち着くことが出来た。現場は封鎖されているものの、野次馬も少なく、静かだった。
「やっと終わったわ……何だったのよあの義体……」
エレンは停めたハルに横たわって言った。
「まあ、それはこれから研究機関が調べるっていうし。問題のハッカーが捕まるのも時間の問題じゃないかな」とアスカ。
「だと良いんだけどさ。でも、あの義体ヘンじゃなかった?」
「何もかもヘンだったよ。潜ったヒトが言うんだから間違いないよ」
アスカは鼻を鳴らしたが、まったく何の自慢にもならなかった。
「まあいいわ。キョウスケ、ウチはもう撤退しよう。アタシ、疲れた」
「はいはい。ハルを積んだら帰るよ」
夜がすぎていく。
エレンはいつものように豪快にハルに飛び乗り、バンのハッチへと進ませようとした。しかし、彼女は気づかなかった。いつもの革ジャンにチノパンという姿ではなく、まだ学生服のままだったということに。
グレーのプリーツスカートがふわりと浮いて、白い三角州が闇の中に映えた。恭介は目を伏せようとしたが、もう遅かった。
「このヘンタイがっ!」
「不可抗力だろ、今のは!」
*
シティ・ホテルでのパーティは終わりを迎えようとしていた。登壇した資産家の男性が軽い閉幕の挨拶を述べてから、出席者は徐々に退席していく。
なにも出席者のすべてが、物理的身体を会場まで持ち込んできている訳ではない。リモート義体で来る者もいれば、拡張現実表示でその場に居合わせるものもいる。もちろん彼らは、その現場に居る者たちのようにモノを食べるということは出来ない。しかし、それを取ったフリをして、脳内に欺瞞信号を送ることぐらいはできる。
そうして、続々と出席者は姿を消していった。電脳空間からも、物理空間からも。
やがて残されたのは、女教皇と審判だけ。二人は物理身体を会場に持ち込んでおり、実際に感覚を得ることが出来ていた。
「どうやら失敗したみたいね」
女教皇は、嘲笑するようにほくそ笑み、右頬に大きなえくぼを作った。
「世界がか?」
「まあ、失敗という言葉の定義付けにもよるかもしれないけれど。ともかく、義体は確保されてしまったみたいね。このままだと民間の研究所に運ばれて、バラされるでしょうね」
「どうするつもりだい? 我々の存在が世間に露呈してはならない」
「知ってるわ。カバーストーリーぐらいは用意してある。ヤクザから流れた義体に飛び込んだ――って筋書きの予定。カンタンでしょ?」
「確かに、じゃあ、そう書き換えるんだな?」
「ええ。世界が私に泣いて頼んできたらね」
女教皇は言って、もう一度右頬に大きなえくぼを作った。
ログアウト。彼女の物理身体は、会場の出口へと向かった。
夜ごと鳴く子猫たち〈了〉




