第15話 連携
リーゼ、ノノア、ルリカは割れた窓へ駆け寄った。
悠真は少し後ろから、隠れるようについてきた。
屋敷の魔法灯に照らされた庭に、骸骨がいた。
背が低い。
細い。
少し曲がっている。
骨は黄ばんでいて、顎の骨はぐらぐらと外れかけ、割れた兜をかぶり、錆びた剣を持っていた。
Party #242の三人の少女たちは、すでに飛び降りる準備をしていた。
悠真以外は。
だが、光輝が止めた。
「わざわざ君たちが手を出す必要はないよ。彼女たちが処理するから」
庭では、リリア、セリア、エレノアが、すでに骸骨と対峙していた。
セリアは、体に沿った優雅な黒い戦闘服を着ていた。薄い手袋をはめ、手首には紫色の紋様が光っていた。
リリアは短めの薄青いドレスを着て、軽いブーツを履き、小さな葉が巻きついた白い杖を持っていた。
エレノアは白と銀の鎧をまとっていた。ランタンの炎を映すほど磨き上げられており、剣はすでに抜かれていた。
悠真は光輝を見た。
「理解した。骸骨はいつだって取るに足らない、簡単に倒せる敵なんだな」
骸骨が剣を上げた。
「その価値があるといいがな。ここへ来る途中で魔王を三体倒してきた」
悠真の頬を汗が一筋伝った。
「いや、違うかもしれない」
骸骨が剣で地面を打った。
庭の地面に、黒い円が開いた。
その中から骨が上がり始めた。
腕。
肋骨。
小さな頭蓋骨。
数秒のうちに、小型の骸骨の軍勢が、セリア、リリア、エレノアを円形に取り囲んだ。
最初は数十体だった。
それから数百体になった。
顎の骨が、乾いた雨のように鳴った。
セリアが片手を上げた。
彼女の影が芝生の上に広がった。
その影の中から、闇の泥でできた黒い兵士たちが現れた。未完成な人間の形をしていて、腕は長く、目は空っぽの紫だった。
音もなく進んだ。
小型の骸骨たちが、黒い兵士たちにぶつかっていった。
庭は砕けた骨と、芝生に飛び散る黒い泥でいっぱいになった。
ルリカは動けなくなった。
「裂け目を一つも開かずに、影の使い魔を召喚している……」
リリアは目を閉じた。
白い杖が地面に触れた。
骸骨本体の足元で、土が震えた。
太い根が一本、芝生を突き破った。次にもう一本。さらにもう一本。数秒のうちに、緑に光る根が足首、腰、腕に巻きつき、骸骨を半分ほど地面から持ち上げた。
骸骨は、その一本を切ろうとした。
根は再生した。
リリアは柔らかく微笑んだ。
「お願いですから、じっとしていてください」
悠真は固く唾を飲み込んだ。
エレノアが走った。
宙に浮いた根の一本を踏んだ。
次の一本へ。
さらに次へ。
それらを階段のように駆け上がり、薄青いマントが背後で広がった。
彼女の剣が光った。
セリアが二本の指を刃へ向けた。
指先から黒魔法が放たれ、エレノアの剣に巻きつき、金属を暗い紋様で覆った。
エレノアの刃と、セリアの黒魔法が絡み合った。
エレノアは根の高みまで到達した。
骸骨が上を見た。
「待て、まだ復讐の台詞が残っていた」
エレノアはすでに降下していた。
刃が肩から腰までを斬り裂いた。
骸骨の体が二つに割れた。
一瞬、骨は黒い影に包まれたまま宙に浮いた。
その後、粉になって崩れた。
小型の骸骨たちも同時に倒れた。
庭は静まり返った。
セリアは落ち着いたまま手を下ろした。
リリアは杖を胸元に寄せ、微笑んでいた。
エレノアは片膝をついて着地し、剣を地面へ向け、マントはまだ背後でゆっくりと落ちてきていた。
三人のポーズは完璧に決まっていた。
息が合っていた。
腹立たしいほど、そのままプレミアムフィギュアとして売れそうだった。
ノノアが目を見開いた。
「わあ」
ルリカは後ろを見た。
悠真は紙に何かを書いていた。
「何をしているんですか?」
悠真は書くのを止め、考え込んだ。
「ルリカさん、リーゼさんの剣に魔法を流し込めるか?」
「できません」
ノノアの方を向いた。
「何かの属性を操れるか?」
「できないよ」
リーゼを見た。
「誰かが剣に魔法を付与してる間、宙に浮いた根の上を走れるか?」
リーゼは真剣な顔になった。
「その根が不快であれば走れます」
悠真は紙へ目を落とした。
「お前ら、自分の能力を制御できるやついるか?」
三人は黙った。
悠真は紙を食堂の暖炉へ投げ込んだ。
「理解した」
ルリカが叫んだ。
「では、あなたは何をするんですか?」
悠真は自分を指さした。
「俺? 俺はもっと……」
遮られた。
リリア、セリア、エレノアが、再びテーブルに座った。
誰一人として疲れているようには見えなかった。
ましてや、食欲を失ってもいなかった。
光輝が片手を頭に当てた。
「ごめん。昔、彼とは戦ったことがあるんだ」
(過去? お前、ここに来てまだ数日だろ!)
彼は続けた。
「その時は彼を許して、逃がした。なぜだろう」
セリアは、頼まれもしないのに、水を注いだ。
「ご主人様がお優しいからです」
光輝はコップを見た。
「ああ。そうか。きっとそうだったんだね」
残りの夕食は、何事もなく進んだ。
だが、Party #242の三人からは、一言も出なかった。
全員がそれぞれの部屋へ戻った。
悠真はベッドに仰向けに横になった。
頭の中では、ルリカに触れた時に見たものを思い返していた。
子どもの頃のルリカ。
空の裂け目。
セリアが彼女を上から見下ろしていた。
(あれは何だったんだ?)
起き上がった。
(水を一杯取りに行こう)
扉を開けた。
屋敷の使用人が、水の入ったコップを手に持って待っていた。
「こちらがお水です、悠真様」
悠真はコップを受け取った。
そして部屋の中へ戻った。
(変だな。声に出した覚えはないんだけど)
もう一度、扉を開けた。
廊下は空だった。
だが、花瓶の陰へ隠れる影が見えた。
ゆっくりとその場所へ歩いていった。
「ノノアさん?」
「あ、ごめん。今が一番盗みやすい時間なんだよ。リリアさん、寝てるみたいだし」
悠真は真顔になった。
「盗んだものを返せ。この夢みたいな屋敷から追い出されたくない」
ノノアは渋った。
だが、ポケットに入っていたものを差し出した。
硬貨五枚。
髪飾り。
それから、くしゃくしゃになった紙。
悠真はそれを見た。
「お前、変なものばかり盗むな」
「大事なのは、盗む瞬間のあの最高の感覚だから」
悠真は紙を開いた。
目を見開いた。
そこにはこう書かれていた。
スキル:連れて帰って
心が揺らいでいる相手に直接触れた時、所持者は、本来見えてはいけない過去の断片を見ることがある。
(あ? これ、俺のか? こんな紙、一度も見たことないぞ)
ルリカに触れた時に見たものを思い出した。
「どこで盗んだんだ、ノノアさん?」
彼女は頭をかいた。
「覚えてない。全部の部屋に入ったから」
「怖いな」
悠真はもう一度、紙を見た。
廊下は静かだった。
(誰かが、これを俺に隠していた)
壁の魔法灯が一度揺れた。
悠真はゆっくりと紙を折った。
(でも、誰が?)




