第14話 夕食
ノノアはテーブルに頬杖をついていた。
もう限界だった。
目の前では、リリアが、盗むことがどれほど悪いことなのか、そして正しい方法は、ただお願いすることなのだと話していた。
食卓はすでに用意されていた。
長いテーブルだった。十人の使用人がその周りに控えていた。深い木目は、高い天井から吊るされた魔法のシャンデリアの下で光っていた。白い皿、銀のナイフとフォーク、薄いグラス、そして馬鹿みたいに優雅な形に折られたナプキンが、恐ろしいほど正確に並べられていた。
壁には、古い英雄たちの絵が部屋を見下ろしていた。
奥には巨大な窓があり、魔法灯に照らされた庭が見えた。
食堂全体が、焼いた肉と温かいパンとスープの匂いに満ちていた。
ノノアはすでに、テーブルからパンを一切れ盗もうとしていた。
だが、すぐにリリアに止められた。
「お食事は、ご主人様がいらしてからでなければ始められません」
ノノアは空っぽの手を見た。
食堂の扉が開いた。
ルリカと悠真が、ゾンビみたいに入ってきた。
二人とも上の空だった。
二人は隣同士に座った。
ノノアは衝撃を受けた。
「隣同士? 午後に何かあったでしょ!」
リリアは席に座ったまま背筋を伸ばした。
「リリアです。よろしくお願いします!」
「ああ、俺は悠真」
悠真は、ほとんど感情のない声で言った。
「あ……」
ルリカはそれだけ答えた。
悠真の頭の中では、一つの言葉だけが響いていた。
童貞。
ルリカの頭の中では、四文字だけが響いていた。
制御不足。
扉がもう一度開いた。
最初にリーゼが入ってきた。
すぐ後ろから、光輝がセリアを伴って入ってきた。
彼女は、ちょうどよく体に沿う優雅な黒いドレスを着ていた。長い袖、高い襟、そして縁には紫の装飾。黒い髪は、一本の乱れもなく、完璧に背中へ流れていた。
さらに後ろから、もう一人の女性が続いた。
背が高く、金髪で、身ぎれいで、穏やかだった。薄い青のドレス、正しい姿勢。青い目は静かだった。肌は汚れひとつなく、食堂の光の下で輝いていた。
リーゼは彼女を見た。
それから、自分の少しだけしわになった袖を見た。
彼女の中の何かが、静かに苦しんだ。
光輝はテーブルの上座に着いた。
テーブルの片側には、Party #242。
反対側には、屋敷の女たち。
上座では、光輝が威厳のある顔つきをしていた。
空っぽの表情で。
彼はテーブルに身を乗り出した。
「ええと、僕はとても……」
光輝の言葉が喉で止まった。
テーブルに沈黙が落ちた。
セリアが、彼に足りなかった言葉を続けた。
「感謝しております」
光輝は食堂の奥を見つめ続けた。
「それだ。君たちが来てくれたことに」
また沈黙。
それから彼は、何もなかったように笑った。
「食べ始めていいよ」
使用人たちが、完璧な連携で動き出した。
大皿の蓋が開かれた。
濃いソースのかかった焼き肉。
香草を添えた焼き魚。
金色のスープ。
つやつやした野菜。
温かいパン。
チーズ。
果物。
宝石みたいに並べられた小さな菓子。
悠真はテーブルを見つめた。
「私の名前はエレノア・ブランシュです。お会いできて光栄です」
青いドレスの女騎士が、全員に料理を取り分けながら言った。
「お口に合えばよろしいのですが」
ノノアは彼女を見た。
「君が作ったの?」
彼女は少し恥ずかしそうに見えた。
「お手伝いをしました」
ノノアは笑った。
「ああ、私も料理が大好きな騎士を一人知ってるよ」
すでに目の下に隈が出始めているリーゼを見た。
「ちゃんと眠れた時はね」
リーゼは皿へ目を落とした。
光輝が笑った。
「知ってる? 悠真は僕と同じ場所から来たんだ」
彼の三人の女たちは、ぽかんとした。
エレノアの目が輝いた。
「ご主人様のお話は、いつも本当に興味深いです」
「ありが……」
光輝は途中で止まった。
一瞬、彼の笑みが動かなくなった。
エレノアは悠真を見た。
「お二人の故郷には、きっと素晴らしいご馳走があるのでしょうね。いつか食べてみたいです」
悠真は作り笑いをした。
「ああ、そうだな。俺の好物はラーメンっていうんだ……インスタントラーメン」
一筋の汗が、彼の頬を伝った。
リリアが目を丸くした。
「あら。ご主人様と同じお料理です!」
悠真は凍った。
彼女は続けた。
「ただ、あちらにしかない魔法の道具が必要なのが残念です。マイクロ……マイクロ……」
考え込んだ。
「そこまででいい」
悠真が遮った。
それから光輝を見た。
彼はうなずいた。
悠真もうなずき返した。
その瞬間、二人の間で、その話題は二度と掘り下げないことに決まった。
リーゼは、フォークを持つルリカの手が震えていることに気づいた。
彼女はセリアを見ていた。
黒魔導師の一つ一つの動きが、計算されているようだった。
セリアは音もなく料理を切った。
急がずに飲んだ。
必要な時だけ答えた。
ルリカは背筋を伸ばそうとした。
彼女のフォークが、強く皿をこすった。
セリアが横目で見た。
ルリカは、余裕のある仕草をしようとした。
手がグラスに当たった。
グラスは床に落ち、割れた。
床に触れる前から、使用人の一人がもう箒を手にしていた。
大きな音が響いた。
食卓全体が静まり返った。
ルリカは硬直した。
リーゼは、ルリカの視線を追って窓を見た。
外では、夜空に小さな裂け目がもう見え始めていた。
リーゼが立ち上がった。
「ルリカ様、外へ出た方が――」
轟音に遮られた。
大きな窓のガラスが粉々に砕けた。
黒い何かが食堂の中へ投げ込まれた。
それは、闇の泥でできた人型だった。長い腕、滑らかな頭、空っぽの紫の目。体には切り傷の跡があり、空中を飛びながら、黒い雫になって崩れていた。
セリアの影の使い魔の一体だった。
黒い兵士は、まっすぐ光輝へ飛んでいた。
セリアが手を上げた。
立ち上がりもせず。
表情も変えず。
使い魔は光輝の顔に届く寸前で空中にほどけ、黒い煙となってシャンデリアの間に消えた。
使用人たちは動かなかった。
リリアは両手を口に当てた。
エレノアはすぐに光輝のそばへ駆け寄った。
ノノアは本能でパンをつかんだ。
悠真は割れた窓を見つめていた。
(夢の夕食、終わったな)
外から声が聞こえた。
「ここが、お前の住処か」
声はしゃがれていて、怒りに満ちていた。
庭からだった。
「復讐に来たぞ、勇者」




