第12話 屋敷
Party #242は、屋敷の大きな門の前で立ち止まった。
(街の中に、いつからこんな規模の屋敷があったんだ?)
高く白い塀が、敷地を通りから切り離していた。滑らかで清潔で、泥の染み一つなかった。
門は黒い鉄でできていて、金色の装飾が施され、中央には紋章があった。
金色の王冠。
そして、その下に、小さな終止符。
光輝は門を押してみたが、開かなかった。
(まあ、レベル999にも弱点はあるらしい)
ルリカが彼を見ていた。
「引いてみましたか?」
彼女は正しかった。
それでも門はあまりに重く、光輝でさえ、自分の家の門を開けるのに少し苦労した。
「ようこそ、ルミナリア邸へ」
門の向こうには、長い庭が広がっていた。
石の道が正面玄関までまっすぐ伸び、その両側には薔薇の茂み、刈り込まれた木々、小さな魔法灯、そして水面に金色の光を返す噴水が並んでいた。
庭の右側には、訓練場があった。
魔法のかかった的が勝手に動き、木製の人形は折れた腕を再生し、いくつもの武器が磨かれた台の上で光っていた。
左側では、屋外サウナが熱い蒸気を空へ吐き出していた。
ノノアは窓を見た。
「この敷地、街の人間より鍵の方が多いね」
リーゼは自分のみじめな枕を胸に抱きしめた。
「この場所は危険です」
「なんでだよ」
「快適そうだからです」
屋敷の扉が一斉に開いた。
中には、十人ほどの使用人が待っていた。
全員が声を揃えた。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「ありがとう!」
すぐに、そのうち四人が光輝の鎧のパーツを外し、磨くために持っていった。
光輝は自然に両腕を上げた。
「ミラ、サーシャ、ノエル、ルッツ、客人たちに部屋を案内してあげて」
四人は小さく礼をした。
「かしこまりました」
玄関ホールはあまりに大きく、悠真はまだ家の中にいるのだと受け入れるまで数秒かかった。
二つの階段が上階へ伸びていた。光の結晶が天井の近くに浮いている。赤い絨毯が磨かれた床を横切っていた。古い英雄たちの絵が壁を埋めていた。
すべてが、清潔な木と新鮮な花の匂いをしていた。
メイドが悠真の部屋の扉を開けた。
悠真は目をこすった。
まだ夢ではないかと怖かった。
部屋は悠真の夢から出てきたみたいだった。
大きく、清潔で、きちんと整えられたベッドが中央を占めていた。シーツは白く、太陽の匂いがして、悲しい人間に一度も触れたことがないように見えた。窓のそばには小さな机、座り心地のよさそうな椅子、長椅子の上には畳まれた服、ベッドのそばには柔らかいスリッパ、そして新鮮な水の入った水差しがあった。
枕の上には、白鳥の形に折られたタオルが置かれていた。
悠真は手を口に当てた。
目元が震え始めた。
(これが、俺の欲しかった全部だ)
メイドは微笑んだ。
悠真はベッドを見た。
「バスタオルが二枚?」
彼女は小さく礼をした。
「はい、悠真様。混浴温泉をご利用になる場合に備えております」
悠真の目が、最低な方向に輝いた。
「こ……こ……混浴……温泉?」
「はい。普段は光輝様と……」
見ると、悠真はもうタオル姿だった。
「じゃあ、ちょっと試してくる」
走って出ていった。
リーゼは自分の部屋の扉を開けた瞬間、倒れかけた。
夢のような部屋だった。
薄いピンクのカーテン、天蓋つきの巨大なベッド、ふわふわの枕、穴のない毛布、丸いテーブルの上の新鮮な花、柔らかい絨毯、全身鏡、そしてメイドを呼ぶための小さなベル。
そのベッドはあまりに快適そうで、全員に眠るよう説得するだけで軍隊を倒せそうだった。
リーゼはメイドを見た。
「ここには馬がいますか?」
「はい、厩舎がございます」
リーゼは微笑んだ。
「もう眠れない場所が見つかりました」
彼女はつぶやいた。
ノノアは、自分の部屋で、盗賊が幸せになるために必要なものをすべて見つけた。
ベッドは他の部屋のものより小さかったが、そのぶん、本物の犯罪天国にするだけの空間が空いていた。
訓練用の錠前が並んだ机、二重底の引き出し、丁寧に吊るされた新しい黒い服、軽いブーツ、薄い手袋、巻かれた縄、小さな鏡、屋根へ出られる窓、そして、こんなラベルの貼られた謎の箱でいっぱいの本棚があった。
「開けないこと」
「絶対に開けないこと」
「物を開けがちな来客用」
ノノアは部屋の中央で立ち止まった。
そして、ゆっくり笑った。
「この家、私のこと分かってる」
机の上の鍵の一つを盗もうとした。
鍵は彼女の手から消え、勝手に台へ戻った。
ノノアから笑みが消えた。
「今の褒め言葉は取り消す」
ルリカは自分の部屋の中を見ていた。
隅々まで調べていた。
それは全員の中で一番簡素な部屋だった。
普通のベッド。
普通の机。
普通のカーテン。
礼儀作法、日常会話、そして『若い令嬢のための自然な挨拶』の本が並ぶ棚。
ルリカは召使いを見た。
「この部屋は……ふ、普通です」
目に涙が浮かんだ。
「今まで見た中で、一番美しい部屋です」
「ルリカ様、よろしければ、当家の温泉でおくつろぎになってはいかがでしょう。」
彼女は二秒考えた。
「あ、はい。それは普通の女の子がすることですね。もしかしたら、向こうで、誰か女の子と話せるかもしれません。」
タオルを手に取り、部屋を出た。
ルリカはタオルを胸に抱きしめながら、屋敷の長い廊下を通った。
壁には英雄的な絵、背の高い花瓶、高い窓があった。
分かれ道で迷うと、もうそこに使用人がいて道を示してくれた。
案内板を見ると、それが少しだけ読みやすくなった。
絨毯につまずきそうになると、絨毯が勝手に真っ直ぐになった。
ルリカは心の中でメモした。
(普通の屋敷は、とても親切です)
ようやく、明るい木でできた脇の扉に着いた。
その向こうには広い脱衣所があり、衣類用の籠、磨かれた長椅子、そして水の柔らかな音があった。
ルリカは着替え、体にタオルを巻いて、風呂へ入った。
屋敷の温泉は巨大だった。
白い石が湯を囲んでいた。湯気が薄い層になって立ち上り、空へ開いた天井の下に吊るされた魔法灯に照らされている。奥では、小さな滝が滑らかな岩の上へ落ちていた。水面には花が浮かび、縁には木の桶が置かれていた。
湯はわずかに輝いていた。
温かい。
澄んでいる。
誘っている。
「ああ、ようやく、普通の女の子にふさわしい、落ち着いたお風呂です」
ルリカは指先で温かい湯に触れた。
それから入った。
湯の熱が体を包み、肩の力が抜けていく。
彼女は湯船の端に背を預けた。
「ああ、落ち着きます」
空気には湯気が漂っていた。
ルリカは前を見た。
「何が起きているんですか?」
浴槽の奥、鼻先まで湯に沈んだ悠真が、目の前にいるように見えた。
ルリカは瞬きをした。
「ふむ、湯気に耐えられなくて幻覚を見ているようです」
彼女はささやいた。
「いいえ、あの男性は本当にそこにいます」
声は二人の間から聞こえた。
ルリカは振り向いた。
一人の若い女性が、湯の中に静かに座っていた。
長い黒髪は毛先が濡れていて、濃い紫の目と、湯気にほとんど隠れた白い肌をしていた。姿勢は完璧だった。
ルリカは凍りついた。
女性は彼女に微笑んだ。
「ルリカさん、お久しぶりです」
悠真は、もう少しだけ湯の中に沈んだ。




