Eランク昇格
まだ日は高い。俺は問屋で解体用ナイフを買い
またギルドにやってきた。
掲示板を見るがFランクが受けれる依頼はなかった。
「カイさん!Fランクの依頼は受付から直接受けることが出来ますよ!」
ミラが受付カウンターから声を出す。
「薬草採取は常設で置いてます!あとは...ゴブリン一体の討伐とホーンラビットの討伐がありますね。」
「なら全部受けます。あと3つでランク上がるんですよね。」
ミラは一瞬驚いた表情を見せるが納得の表情を浮かべる。
「確かに...。カイさんは薬草採取も完璧でホーンラビットをもう既に倒してるんでしたね。
分かりました!ではよろしくお願いします!」
受注承認印を押して依頼書を渡す。
それを袋に入れて街を出る。
「東の森で全部片付きそうだな。」
俺は歩きつつ薬草を採取する。もう慣れたものだ。
5分くらい歩くとホーンラビットがいた。
「光魔法Lv1《シャイン》」
手から閃光が放たれ兎の目を奪う。
その隙に解体ナイフで首を割いた。
鳴き声すら出ずに絶命する。
俺はそのまま解体ナイフで素材の回収を始めた、《精密作業Lv1》のおかげかスムーズに進む。
「....待てよ。」
兎の肉を回収しないまま置いとけば次の獲物が来るのではないか?
そう思い、肉だけ置き、身を潜める。
数分後。
案の定、血の匂いに誘われてゴブリンが群がってやってきた。ゴブリンたちはなんの疑いもなく肉を食べ始めた。
「支援魔法Lv1 《敏捷強化》」
カイの身体が淡く光った。
地面を蹴り距離を詰める。
「光魔法Lv1《シャイン》」
手から閃光が放たれそのままナイフで切る。
ゴブリンたちは自分の身に何が起きているのか分からないまま。腹を裂かれ呆気なく死んだ。
「.......。」
無言で素材の回収に入る。
依頼3つが数十分で終わった。
『光魔法がLv2に上がりました。《ライトボムを習得しました。》』
頭の中で声が聞こえる。
素材回収をしていると1匹のゴブリンが寄ってきた。
「光魔法Lv2《ライトボム》」
腰を下ろした状態のまま発射する。
光の楕円がゴブリン目掛けて一直線、
ゴブリンの体に当たりそのまま倒れる。
その間わずか数秒。
俺は残りの素材回収を終え、ギルドに戻った。
「わ!カイさんもう終わったんですね!まだ開始してから数十分しか経ってないのに!」
ミラは討伐証明となる素材を見て依頼完了の印を押す。
「これでカイさんはEランクとなりました!1日目でEに行く人は中々いませんよ!おめでとうございます!」
真鍮のカードが置かれる。
「規定に則り、これでカイさんはEとなったので冒険者カードが変わります。口座機能が使えるようになりました。使いますか?」
頷く。
「わかりました。申請しておきますので1日ほどお待ちください。」
素材買取をして貰い。宿に戻った。
手持ちの銅貨は100枚、これは銀貨1枚に該当するらしい。
ベッドに座ってステータスを確認する。
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名前:カイ
種族:人間
年齢:20
職業:なし
Lv:5
HP:1800
MP:900
攻撃力:C
守備力:A
魔法攻撃力:S
敏捷力:B
運:A
魔法:光魔法Lv2、回復魔法Lv1、支援魔法Lv1
スキル:《鑑定》《成長加速》《言語理解》
《薬草知識Lv1》《精密作業Lv2》
所持金:銅貨100枚
称号:《異世界転移者》《感情欠落者》《欲求欠落者》《カレイドスの加護》
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自分のLvといくつかのスキルレベルの上昇を確認する。
ステータスを閉じ。目を閉じる。
このまま寝ようとすると体の中心から先まで流れる魔力を感じた。
光魔法を発動する時も手のひらに魔力が集まっている感じはするが微量だ。
試しに手のひらに魔力をかき集めるようにする。光が激しく明滅している。
これを放てば同じ魔法でも威力の高いものを打てそうだ。
俺はその魔力を体の奥に流し循環させる。
その後も魔力効率の最適化をし続ける。
腹も空かない、眠気も来ないということで
明け方までやり続けていた。
『スキル《魔力集中》《魔力最適化》《魔力解放》を習得しました。』
続けて
『更に《魔力操作》の習得条件が揃いましたのでこれら3つのスキルを《魔力操作》に統合します。』
《魔力操作》:自身や周囲の魔力を自由に扱えるようになる。
その声を聞き届けた瞬間ベッドに倒れ込む。
どれくらい眠っただろうか。
目を覚ますともう昼近くになっていた。
宿を出て新しい宿に向かう。
『踊る麦穂亭』
入ると宿の女将がこちらを見る。
「1晩泊まりたい。」
「はいよ。1泊だけなら銅貨30枚。食事付きは40枚だよ。」
銅貨を40枚置くとムッとした顔をする。
「あんた、冒険者カード持ってないのかい?」
口座の事を言ってるのだろう。
「ありますが新人なので。今作ってもらってます。」
そう言うとニコッと笑った。
「なんだ!新人さんかい!頑張ってくれよ!」
身分証を持っていないと思い警戒したのだろう。
女将は鍵を渡す。
「1階の奥が酒場だ、飯はここで出す。
あんたの部屋は2階だよ。」
「ありがとうございます。」
203号室の部屋に行く。
部屋は簡素だったが昨日とは違いちゃんとした
木のベッドにシーツがかかっており毛布もあった。
窓の横には作業机がありここでなにか作れそうだ。
「なにか食事をしなければ」
異世界転移生活2日目だが安定しているとは言えない。
眠気がなくても気絶したことを考えると
腹は空かないが体になにか入れないと倒れることが想定される。
俺はギルド併設の酒場に行き料理を注文する。
喉も潤す必要があったがメニューには酒しかなかったので仕方なくパンとスープを選んだ。
「はい、お待ちどうさん。」
皿に置かれたパンをスープに浸して食べる。
美味し....くはあるのか?
味はする、優しい味だ。が喜びや楽しさは感じられない。
満足に食事を楽しめないのはこの世界でも変わりなさそうだ。
食事という名の栄養補給を終え受付に向かう。
「カイさん!お待ちしておりました。口座開設完了しましたので本日からそちらのカードで決済が出来るようになりました。」
ミラが簡単な説明をする。
内容は現実世界とさほど変わらなかった。
「今日も依頼ですかね?カイさんはEランクになりましたので受けられる依頼の数が大幅に増えました。そちらの掲示板に貼ってありますよ!」
左手の掲示板を指さす。
「次のDランクの昇格にはEランクの依頼を20件達成することが必要です!仮に依頼失敗しても降格はないのでご安心してください!」
ミラに案内された掲示板を見る。
【ゴブリンの討伐】
目的:西の街道にいるゴブリン5体の討伐
報酬:銅貨30枚
【商品の運搬護衛】
目的:西の街道で商品の運搬をするので
その護衛をお願いします。
報酬:運搬日数×銀貨1枚
【地下水道の調査】
目的:地下水道に魔物がいないかの調査。
チェックシートの記入。
報酬:銀貨1枚
魔物の討伐によって追加の報酬あり。
など、他にも様々な依頼があった。
俺はゴブリン討伐と護衛の2つの依頼書を剥がし
ミラに渡す。
「はい。また同時受注ですね!今度は西街道のゴブリンと護衛任務ですね!」
受注承認印を押す。
「護衛任務は明日の明朝に開始だそうです。頑張ってください!」
....明日の朝ならまだ時間があるな。
「すみません、地下水道の調査を今日行ってもいいですか。」
ミラは目を丸くする。
「え!?カイさん無理はしないでくださいね...。」
だがその表情はどこか嬉しげだ。
「正直あの依頼は人気がなくて...。カイさんが行ってくださるのなら助かるんですが本当に大丈夫ですか?」
頷く。
「そうですか....。無理だなと判断したら途中で戻ってきてくださいね!」
ミラは掲示板の依頼書を剥がして受注承認印を押し、依頼書を差し出す。
俺はそれを受け取りギルドを出る。




