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第96話 栗毛聖女、プレイスタイルが違います。早く解散させましょう!?

 私とミコさんは〝カソッタ村〟へとたどり着き、村の中を探索しながらクエスト受注と行いました。


「それにしても……」

「人がおらんのぅ!」


 え? ギルドメンバーの勧誘? そんなの人がいないと話になりませんよ。


「とりあえずクエストを受けてはみたものの、どれもパッとせんのぅ」

「ノドカナ村のと似たり寄ったりだね」


 討伐対象モンスターもノドカナ村と距離が離れておらず、マップに変化もないせいかほとんど被っていますし、なんなら〝畑の防衛〟と言う迎撃クエストや〝鍬の修理〟といった素材集めすらもそのままの内容で村の存在意義が薄すぎました。


「おいおいなんだよ、つまんねぇクエストしかねぇじゃねーか。こんな村さっさと抜けて次に行こうぜ?」


 少し前からいる四人組のパーティ、軽装の剣士の男が魔法使いの男女二人と聖職者の女一人を引き連れて村のNPCへと話かけ、同じような感想を抱いたようで愚痴を言いながら村の出口へと向かおうとしています。


「受注しないんですか?」

「あぁ? するわけねーだろ! こんなしけた報酬で貴重なプレイ時間を奪われるのは俺はごめんだね」

「けど、もしかしたら連続クエストが……」


 引き止めようとする魔法使いの男と口論が始まりました。


「ちょっと行ってくるのじゃ」

「え? ちょっと―――、ミコさん?」


 ミコさんは口論している二人に近づいて行き、仲裁に入ると思ったらまさかの行動に出ました。


「そうじゃな。その剣士殿の言うように次の町へと進むのがいいじゃろう」

「え? キミだれ?」

「誰かしらねーがやっぱりそう思うよな!」


 横暴な剣士の人を援護し始めたミコさんは言葉巧みにパーティ内の空気を悪くしていきます。


 ピコンッ


[次の村へとさっさと進んで解散させた方が《《全員のため》》じゃ。お主はそっちの女共をなんとかせい]


 ミコさんからの短めのメールを見て、意図を把握し口論している男二人を眺めている魔法使いと、聖職者である修道女の女性に声を掛けました。


「あの、ちょっといいですか?」


 そこからの展開は予想を斜め上に越えてスムーズに運んで疑うこともされずに二人は私の提案に乗りました。


「だよね~。ウチらはサンダー、あ、あの魔法使い君に賛成なんだけど前衛がいないとどうにもならないから」

「いっそアイツを見捨ててあなたたちが入ってくれない?」

「それは無理かな。だって《《あの》》ラピスちゃんだよ? だからちゃんと見送ってみんなが気持ちよく解散できるように気を回してくれてるんだよ」


 見ていて気持ちのいいものじゃないですが、見捨てるという選択肢を私たちは取りません。さっさと次の村へ行ってパーティを解散させた方がお互いの、そして、私たちのためになるのが私にもわかりました。


「じつはのぅ、わっちらはこの村でパーティを解散したのじゃが見ての通りクソクエしかなくてのぅ」

「他のプレイヤーも来なくて村から出れなくなったと?」

「……たしかに情報を持ってる奴なら立ち寄らねーもんな。俺だって知ってたらこねーよ」


 私たちは過疎った村に閉じ込められたプレイヤーの二人という設定を吹き込み、受注できる全てのクエストがノドカナ村と同じだったことを教えてとどめを刺します。


「じゃあ、決まりだな。俺たちは南から来た。西に進んでも同じような村があるなら東へ進むで異論はないな?」

「そうじゃな。それがよい」

「勝手に話を進めないでくだ―――、分かりました。僕はここでパーティから抜けます」


 魔法使いの男、サンダーさんが何かを見て態度が急変し、恐らくはミコさんがメールで手をまわしたのだと私には分かりました。


「それじゃ、《《またね、サンダーさん》》」


 私にはメールが来てませんけど、ミコさんならそうすると思ったので、去り際に再会を願ってこの言葉を送っておきました。




――――――


「それじゃ、たすかったのじゃ」

「ありがとうございました」


 動く案山子や円盤反射丸、フワマル亜種といった見慣れたモンスターしか遭遇しなかったため、私たちは効率よくモンスターを撃破して最速で街道を進みました。そして、たどり着いたアレナシティで私たちはお礼を言って別れを告げます。


「あんたら強いな。もしよかったらこのまま組まないか?」

「嬉しい誘いじゃが待ち人がおるでのぅ、このまま抜けさせてもらうとする」


 私たちは町を軽く散策して、三人が去ったのを確認してから《《西の出口》》へと向かいます。


「……ほんとに来たよ」

「でしょ? やっほー。あのあと結局解散して私たちもフリーになちゃった」

「わざとらしいのぅ」

「まぁまぁ、マリアさんはハナさんのファンで私たちのこと知ってるみたいだし大丈夫だよ」


 二人が私の話にのってくれた最大の理由はハナさんでした。なんでも【厄災】トロピドラゴン戦の動画を見て私たちをしっていたとか。


「―――移動速度増加(スピードインクリーズ)ッ! サブスキルじゃない本家本元、効果時間の長いウチの聖職者のスキルがあれば早く帰れるでしょ?」

「そのハナとかいう人もあんたらのこともよく知らないけどさ。ま、あーしもサンダーのこと気になるし一緒に戻らせてよ」


 この二人も誘っていいかなっと、私は思いました。そしてカソッタ村に残ってもらっているサンダーさんも。


「改めて、ウチはマリア、Flowerさんのフォロワーをやってる聖職者でーす。スキル構成とかはハナさんと同じ感じだと思ってもらえれば大丈夫です」

「その紹介いる? まあ、いいや。あーしは南雲(なぐも) マヤ、魔法使いで実は呪術も使える。ま、札がないから使えないんだけどね。───小倉 ミコ、あなたの腕が落ちてなくて安心した」


 癖のありそうな二人を私たちのパーティに引き入れて来た道を戻ります。


「破魔矢で呪術ってアリなの!?」


 同じ元・呪術師として、ミコさんと私のコンボにマヤさんは衝撃を覚え、マリアさんがこれ見たことある!と興奮してました。

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