第95話 栗毛聖女、メンバー集めのため二手に別れる。
アレスさんたちにミコさんがメールを送ってギルドに誘うのとは別に、ギルドメンバー集めを行うことにした私たちは、二手に分かれてスカウトしていくことを決めました。
「ギルドの結成は初期メンバーが10人になったらで、気が合いそうな人とかバンバン誘っていこう!」
あと5人は最低でも集めたい理由として、せっかく入ってくれたのだから色々な人とパーティを組めるようにしたいですし、私たちのような半固定パーティになってくれたら嬉しいという側面もありました。
「アユちゃん、チーム分けはどうするの?」
「それはもう決まっておる。わっちとラピスで二人旅、アユとプリア、ミナツで三人旅じゃ!」
「え? そうなの!?」
「そうなんだ!」「なぜですの?」
私は初耳なのですけど……、アユちゃんだけが頷いていますのでプリアちゃんとミナツちゃんの反応を見るに二人も知らなかったようです。
「理由はいくつかあるのじゃが、わっちらはAGI型で被弾が少なく前衛として安定しておる。それにネットゲーム歴も長いのじゃから見知らぬ人との即席パーティにも対応できよう」
「けど回復役や後衛火力に不安あるよね?」
私はまずミコさんとのパーティの問題点についてどう考えているか尋ねてみました。
「その通りじゃな。じゃが……、むしろ分かりが良い! ならばパーティに勧誘すべき人材も絞れようて」
「なるほど。そういう考え方もできるんだ」
ミコさんの説明は一理あると私は納得しました。しかし、アユちゃんも感心していますが理由までは聞いてなかったのでしょうか。
「それにじゃ、回復はまたお主がすればよかろう?」
そういって私に渡してきたは懐かしい巾着袋でした。
「その〝次元の巾着袋〟があれば問題なかろう? もともとわっちらはヒーラーなしで【厄災】フワマリンネを倒したのじゃからな」
「私とミコさんが組むのはわかったよ。そういうことならまた巾着袋借りるね」
中身を確認すると回復アイテムで容量が埋め尽くされており最初からそのつもりだったのが窺えました。
「ありがとう、だけど……何を企んでるのかな?」
「はて、なんのことじゃろうな?」
当然答えてくれるわけがないですね。ですが、ミコさんは私たちのことを考えてくれているのは分かっているので追求はもうしません。
「それじゃ、よろしくね。ミコさん」
「ラピスよ、こちらこそよろしくなのじゃ」
翌日から二手に分かれてノドカナ村を中心にして私たちは東、アユちゃんたちが西へと旅立ちました。ちなみに、あちらが三人の理由は前衛と後衛の火力、回復のバランスがいいためなのと、プリアちゃんが初心者二人の保護者的な役割もあるそうです。
「それじゃ、またね!」
「うん。私たちもがんばるから、ラピスちゃんまたね」
「ミナツはほんとがんばらないとね」
バコッ
あ、いじってきたアユちゃんが剣の鞘で「うっさい」という声と共に軽く殴られていました。ちょっと羨ましいです……、私もあんな風に接したらもっと友達としての距離を詰められるのかなっと思いました。
「とりあえず今日は落ちるね。明日の時間はいつも通りで大丈夫?」
「うむ。問題ないのじゃ」
――――――
翌日、学校では茉実ちゃんも奈津美ちゃんもいつも通りで安心しました。そして休み時間に、私は勇気を出して聞きたかったことを尋ねてみることにしました。
「実はね、二人と別々に遊ぶことになって嫌われちゃったのかなって心配になったの……」
「ラピスちゃん、そんなことは絶対にないから!」
「そうですわ。あなたを不安にさせてしまったのなら謝ります。元はといえば茉実さんが―――」
「ちょーっとあっちでお話しようか。ね」
茉実ちゃんに連れられて奈津美ちゃんが廊下へと消えていき……、そしてすぐに戻ってきました。
「ごめんね。この馬鹿美が―――」
「あなただって馬鹿実でしょうが!」
馬鹿美と馬鹿実になって。
「あはは、そういえば二人の名前って茉実と奈津美で似てるよね」
そんな二人を見ていたら馬鹿らしくて、二人に見捨てられたかもという不安なんてどうでもよくなっちゃいました。
「んっとね、今は言えないけどさ。絶対に私も奈津美もラピスちゃんを嫌いになんかならない。ずっと友達でいるから安心して……、なんて言えないか~」
「……信じるよ。だって、二人ともいつも通りなんだもん」
「それはいいのか悪いのかわかりませんね」
二人は約束してくれました。ギルドに入ってくれる人を必ず見つけて今月中には私と合流すること。そして、一緒にギルドを作るんだってことを。あと、何か茉実ちゃんが企んでいる秘密がありそうですけど、ミコさんも絡んでいそうなので変なことじゃないと思うので楽しみにしておくことにします。
「ね。帰りにパンケーキ食べて帰らない?」
「いいね! 正直、お餅の食べ過ぎでそういう洋菓子が恋しくなってた」
「実は私も……。ラピスちゃん、ナイスアイデアですわ」
奈津美ちゃんが「ですわ」になってることを茉実ちゃんがいじって、今度は背中に強めのビンタをされたのを見て私も笑って、二人も笑って、学校にきてよかったなと思い、今という時間を噛みしめました。




