↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/184

第80話 栗毛聖女、坩堝蜜竜と戦う③

「やぁっ! ―――正拳突きッ!?! みんな退避っ!」

「ちょっと、ラピスちゃん! アレってもしかして―――」


 私たちが攻撃に加わり少し経ったころ、坩堝蜜竜に異変が始まりました。それは地面から吹き上げる【厄災】で、坩堝蜜竜を包み込んで同化し、体に黒い渦のような模様を発現させました。


「なんで【厄災】が坩堝蜜竜に……」

「なんでもなにもアレが【厄災】ってんなら好都合じゃねーか!」

「そうだな。元々の予定だったサギノウンより大人数で挑めるんだ。ここで仕留めるとしよう」


 私はジャスターさんとカゲミツさんの言葉にハッとして周りを見るとみんなのやる気に満ちてる姿が目に入りました。


「このままやろうよラピスちゃん! いまさら一時撤退とか誰もしないと思うよ」

「そうですわ! わたくしにとっては初めての【厄災】戦ですもの。これを共に乗り越えて初めて本当の仲間になれるような気がしますわ」


 アユちゃんの言葉にこの中で一番レベルの低いミナツさんさんが同意します。


「―――みんな、あの黒い帯も攻撃してくるし、トロピドラゴンのような形態変化もありえるから注意して。ここからはもっと定石は通じないよ」


 ただでさえ天海の噴火竜《スピラ・ブレッド・ドラゴン》の特性も引き継いでいるのです。私の見立てでは、このレイドバトル・フルメンバーで勝率は50%といったところでしょうか。


「情報の出し惜しみはなし。予備動作で何か気づいたらすぐに共有するよ!」

「おっけー! 【厄災】戦は私たちが一番多く場数踏んでるからね!」

「そうじゃの。おんぶに抱っこでレベル上げを手伝ってもらったのじゃ。わっちらも恩返しをせねばな」

「わたくしは踊りますわ! 神秘の輪舞(ミステリアス・ロンド)ッ! 相手が分からない以上、クリティカル率より状態異常無効の方がよろしくってよ」


 文字通り、全力全開での戦いです。みんなに楽しんでもらおうとかそういうのもなしです。全力でやらないと勝てない戦いですから、それだけで楽しい戦いになることはわかりましたから。


 ヴヴヴヴヴヴ……

『ゼリィイイイイイイッ!』


「ちょ、3分ルールは!?」

「リセットされたんじゃね? みてみろよ、HPも全回復してやがるぜ」

「移動速度増加(スピードインクリーズ)ッ!」

「あーーーもうっ! 私の番じゃん! 断絶の盾(ゼロシールド)ッ!」


 予備動作短く突進を始めた【厄災】坩堝蜜竜〝ロイヤルゼリードラッゴ〟は羽を高速で振動させ、そのまま商攻快の後衛が集まっている場所へと再び突っ込んできました。


「アユちゃん! 詠唱省略《スペルアブリビエーション》ッ!」

「おっけー! 略! ―――砂よ、視界を奪えっ! サンドストーム(砂嵐)ッ!」


 急な行動変化に対応しきれていないターゲットにされた聖職者さんのフォローをするために、アユちゃんが土+風の複属性魔法を放ち坩堝蜜竜の視界を奪います。


「え? え?」

「早く離脱して! ボスに弱体化効果(デバフ)は相性が悪いのは分かるでしょ」

「ほら! ぼさっとすんな移動速度増加ッ!」


 アユちゃんの叫びに反応してミリンさんに守られた聖職者さんは別の方に魔法をもらって高速で攻撃範囲から離脱しました。


『ドドラッゴゴゴゴゴゴッ!』


「なんか怒ってるね! 楽しくなってきたよ!」

「じゃな。 移動速度増加ッ! 掌打・神通発勁(じんつうはっけい)ッ!」

「んじゃ、オレも真似てっと、移動速度増加ッ! 掌打・神通発勁ッ!」


 ミコさんとガイさんが使ったスキルは聖職者が使える衝撃属性スキルで、聖属性を掌に付与して相手の防御力を逆に倍率として上乗せして攻撃を行うスキルです。


『ロギャアアアアアアッ!』


「こいつぁ格上との戦闘にはもってこいだな!」

「うむ。確かに効いておるのじゃ!」


 今回の件で、武器破壊や武器の装備不可という条件での戦いになった場合に備えて、近接職の全員が取得した聖職者スキル〝掌打・神通発勁〟が右往左往から叩き込まれていきます。


「やるじゃねーか! 斧(おの)・バスターッ!」

「全員が頼りになる私たちの仲間だからねっ!」

「ラピスちゃんの言う通りだよ!」

「なるほどね、いい交友関係を順調に築いてるようで安心したよ」


 私とプリアちゃんはジャスターさんやエミルさんたちに対してドヤ顔で改めて仲間を紹介しながら戦います。


「さ、ばんばん魔法を使ってね! 私が聖属性を付与するから」

「けど聖属性は効かないんじゃ……」

「さっきのメアリーの魔法を見てたよね? 私たちの聖属性付与は陽光神の聖属性なんだよね。信仰神が違うからむしろ弱点の聖属性ってわけ」


 闇属性、聖属性(夜)は効かないモンスターですが、逆に私たちは特異な存在として今、この場でこの坩堝蜜竜の天敵として存在しています。


「アユさん。さきほどの魔法、わたくしも使えましてよ?」

「ミナツ……、使ったこともない魔法でタイミング合わせるの難しいけど大丈夫?」

「あなたができて、わたくしができない理由はございません。ここからみて左半分、5人の魔法使いへの付与を引き受けます」

「ありがとっ! よーしっ、ラピスちゃーん! ミナツのおかげで私も付与しながら攻撃していくからよろしくー!」


 合流した時から剣士でしたので忘れていましたけど、ミナツさんも新規のVRMMORPGプレイヤーでアユちゃんと同じスキルを使えるようです。


「頼もしいね! よし、ここから一気に削っていくよ!」

「―――我が呼びかけに応じて解放せよ。―――闇調律刃(ヤミノシラベ)ッ!」

「見ててくださいまし! ―――ホーリーアドオン(聖属性追加)ッ!」


『ドリャアアアアアアッ!!!』


 アユちゃんのスキルを何度も見ていたためか、タイミングも完璧にミナツさんが聖属性付与を成功させてメアリーさんの上級闇属性魔法(聖)が坩堝蜜竜に叩き込まれます。ダメージが大きく入ったことで厄災の渦が苦しそうに蠢きます。


「ふふん。いかがです? ―――見ていてくださいましたか? エミルお姉さま」


 もうミナツさんは頼もしい立派な仲間ですね。その後も連携を取りながらHPを順調に削っていき、【厄災】坩堝蜜竜〝ロイヤルゼリードラッゴ〟の名前が橙色へと変化しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。