第68話 栗毛武道家、聖女になる。
「そなたに聖女の称号を授ける!」
なんで!? 意味も分からず国王陛下から私は聖女にされた。
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私たちはグランサバスの王城を去り、城下町のカフェで先ほど授かった称号についてあれこれ言い合いを始めました。
「あははっ! ミコさんが"巫女"で、ラピスちゃんが"聖女"、プリアちゃんが"薬草娘"、そして私が"鮎"かー。あの国王、過去のプレイヤーデータとかから適当に称号作って任命してるよね!」
「かもね。私が聖女って⋯⋯、この世界では武道家だもん」
「私の薬草娘もまさか公式称号になるなんてね! "ヒール"の使い過ぎと自称してた会話データから拾ったのかな!?」
恐らくですが、ミコさんの巫女はプレイヤーネームとナミノでの舞の奉納からで、私のは月影オンラインの時からの実績から付けてそうです。ちなみにアレスさんが"勇者"で、ガイさんが"守護盾"、ヒューイくんは"風詠み"、ハナさんは"輪花"とかなんかそれっぽい感じのを当てられました。
「皆さんが羨ましいです! 私はどうして"踊り子"なんですの!?」
「むしろ完全な初心者が舞踏会に出てるのじゃ。それ自体が称号になるのは理解できると思うのじゃがな⋯⋯」
ミナツさんも称号を貰いました。しかし、なんの役に立つのかさっぱりわかりません。
「称号なんて基本的に何の意味もないんだから置いておいて本題に入らない?」
ハナさんの一言で会話の内容をメインクエストへと移行させます。ちなみに今いるのは私たちのパーティとアレスさんたちのパーティ、それとミナツさんの9人です。
「そうじゃの。国王が話していた事は皆覚えておるな?」
「ああ、【厄災】ってのは夜の世界からの侵略者だろ?」
「世界の成り立ち的に恐らくラピスちゃんやプリアちゃんがいた世界ね」
私たちの遊んでいた月影オンラインは数あるVR MMO RPGの中でも初期にリリースされたタイトルなので、プレイヤーのアバターは一つという性質上、そこから物語が派生するのはありえると思います。現に私はコンバート後に加護がなくスキルが使えない時の神父さんとの会話を思い出しました。
『───それだと輝夜世界の聖職者スキルとしてスキルが発動するはずですよね?』
『はい。本来であれば発動しますが、ここは陽光神様の世界です。夜天の女神様の力は例外的に昼と夜が同時に来ないように力が及ばない仕様となっています』
「⋯⋯もしかして皆既日食か?」
「確かにあれは一時的に太陽の光を遮って夜のように暗くなるな。その時が世界が繋がる時なのか?」
「かもね。僕たちは日御子として太陽の力で入り込んだ夜の力を祓えばいいんだと思う」
アレスさんたちの当たり前のような会話。その中に違和感を私は感じます。
「けど、そんなことゲームの設定情報に書いてあるじゃん」
「そうですわ」
アユちゃんがズバっとぶった斬りますが、そう。わざわざトロピバードたちが向かえと言ったこの国でそれだけの情報で終わるわけがないと思いました。
「夜の世界と明言した? アレスさんは皆既日食と言ったけど、ピタヤ様も世界が闇に覆われたって言ってたし⋯⋯。あ、七夕!」
私はフワマリンネの世界を渡る力を思い出しました。
「ミコさん! フワマリの移動先指定に輝夜世界って出ていないか確認して!」
「なんじゃ⋯⋯、これは⋯⋯! 確かに出ておるのじゃ!」
仮にピタヤ様や国王の言葉が正しいとしたら、私以外の⋯⋯正確に言えば"夜天女神の加護"を取得した輝夜世界の聖職者以外は陽の光が届かず、皆既日食イベント発生時に大幅な弱体化してクリアできないクエストが発生すると思われます。
「ラピスちゃん凄い! あっ! じゃあエミルさんたちにまた会えるんだね!」
「そうなのですか!? ラピスさん! 私も連れて行って下さい!」
「そうだね。数ヶ月ぶりだくどみんな元気かなー? もちろん! ミナツさんも一緒に会いに行こうね」
フワマリンネは世界を越えられる。次の目的地が提示されなかったのなら、可能性として次は輝夜世界というあり得ないような目的地が選択肢に入ると私は予想を立て、当たったことに安堵します。
「じゃあ、次の目標地は輝夜世界で!」
私たちは"夜天女神の加護"を取りに再び世界を渡りました。
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「あ、フワマリでの移動はコンバートじゃないから基本的に特定のフィールドしかいけないから注意してね」
七夕でのことを思い出して、初めて世界を渡る人たちに他にもあれこれと注意喚起をします。
・コンバートではないのでレベル、ステータス、スキル、職業などプレイヤーデータは引き継ぎ
・レベルアップと転職も可能で転移先の世界のスキルも習得可能
・通貨は共通だが、元の世界へのアイテムの持ち出しは不可
・転移先のゲームがインストール済みなら全マップ移動可能、されていなくてもパーティメンバーにインストールした人がいる場合は同マップ+ 1まで移動可能
私たちの目的は全員が聖職者に転職し、加護を取得することです。恐らくは|GOD・F・オンライン《GFO》用のクエストも発生すると思うので私やプリアちゃんには慣れた世界でも気を抜かずに頑張ろうと思います。




