第62話 栗毛武道家、【厄災】トロピドラゴンと戦う③
『ピタッ! ヤ⋯⋯⋯⋯、ピッ』
ピタっとトロピドラゴンが動きを止めると、纏わりつくように帯状の模様となっていた【厄災】が体であるドラゴンフルーツに取り込まれました。
「全員、今のうちに攻撃なのじゃ!」
「何が始まるのかな!」
多くのゲームでは敵の硬直時に動ける場合、攻撃するか距離を取り様子を見るのどちらですが、ミコさんは攻撃を選択しました。プリアちゃんは更に離れて見守ります。
「【厄災】が表面から消えてドラゴンフルーツ感があるよね。───正拳突きッ!」
「だね! ラピスちゃんも食べたいよね〜。ってふざけたいけどさ、聖属性が弱点にもうならないだろうから私の火力は落ちるかな〜? ウォーターブロック《水塊》ッ! っと」
停止したままトロピドラゴンは私たちの攻撃を受けますがHPが減った感じはしません。
「これは無敵時間じゃな。すぐに退避じゃ!」
『ピッ、ピッ、ピッ! ピタヤァアアアア!』
ゴオオオォッ!
ミコさんが叫ぶとトロピドラゴンは赤紫色の体が真っ赤に燃えあがり悲鳴をあげて炎を吐いてきました。
「風よ、吹き飛ばせっ! 風の⋯⋯」
「シールドフリップッ!───おいっ! 炎に風魔法撃つんじゃねーぞ!」
「うわわ〜〜〜! 何するんですか!?」
ヒューイ君が一人立ち向かおうとしますがガイさんは盾を投げ、ヒューイ君にぶつけて弾き飛ばします。
「風で消せるのは小さな火だけだ! 半端な風魔法は燃え広がると覚えとけっ!」
ヒューイ君が悔しそうに下がります。しかし、風魔法はここから役に立たないのもわかっているため余計に辛そうです。
「ヒューイ君、風の助勢お願いね」
「⋯⋯はい」
私は素早さ増加効果のある魔法の付与を頼み、再びトロピドラゴンに近づきます。
「───放水 ッ!」
「刺突・───乱れ霰ッ!」
「剣舞・───明羽連っ!」
弱点部位を探るため、燃えている体を手数のスキルでみんなが攻撃します。その間、私は"空波拳"を顔に当ててタゲ取りをし翼や足蹴り、ブレスといった攻撃を避け続けます。
【連続回避 10回達成、1分間 STR+2】
"夜会のドレス"一式の装備効果が発動していきますが、燃えている体を素手で殴れないため攻撃手段は"空波拳"のみです。なのであまりダメージは与えられていません。
「左翼の付け根だ! 逆鱗が見えた!」
「おっけー! ───放水 ッ!」
「見えたのじゃ! ───刺突・一点ッ!」
「ありがとう! ───神明斬ッ!」
アレスさんの言葉に即座にアユちゃんが放水し、全員が逆鱗の位置を確認して集中攻撃をします。
『ピィーーーッ!』
トロピドラゴンは雄叫びをあげ、翼を広げます。
『タァアッ!』
「おいおい⋯⋯、麻痺で落とせない火を吐くトロピバードとか冗談だろ⋯⋯。 盾球場」
トロピドラゴンは鎖を伸ばしながら空を飛びました。それに反応してガイさんは後衛を集めて上空からの攻撃も防げる盾スキルを展開します。
『ピタヤァアアアア!』
ゴオオオォッ!
「くっ!」
「───放水 ッ!」
地上全てを焼き尽くすようなブレスを私たちはガイさんの盾スキルとアユちゃんの水魔法で耐えます。
「ラピスちゃん! 色が戻った!」
「あ、ほんとだ」
炎を吐き終えたためかドラゴンフルーツのトロピバードに戻り、【厄災】も表面に現れます。
「ヤツが降りてこないと話にならんのじゃ」
攻撃チャンスではあるのでしょうが、私たちには一気に削る手段がありません。
「───押し潰せっ! ウォーターブロック《水塊》ッ!」
「─── 風よ、空を翔け敵を切り裂け! ───疾風刃ッ!」
魔法使いの二人が攻撃しますが、距離があるため避けられています。それに、魔法に反応して突っ込んできていたのに無視をしているようで降りてきません。
「フワマリンネを呼んでみるのじゃ!」
ミコさんが頭の鈴である"狐月の慶祝・凛鈴"からバッジの"友風の証"にアクセサリーを変更して口笛をピーっと吹きます。
「フワマリンネって戦闘中は呼び出せないって掲示板にあったけど? そういえばスイカニッパーの時にも呼べたんだっけ」
「あはは⋯⋯、あの時はダメ元で呼んだんだけど来てくれたんです。特定のイベント戦は例外で助けてくれるみたいで」
ハナさんの質問に私が答えているとフワマリがフワフワと姿を現しました。




