第49話 ラピス、日記で夏休みを振り返る。
「夏休みが終わっちゃった……。だけど」
私はこの夏を忘れない。森永先生に出された宿題である"友達との思い出作り"は、私の日記に刻まれていて、登校前の朝早くに目が覚めて私はそれを広げます。
「ぷかぷかするのって気持ち良かったし、来年こそはリアルでも⋯⋯、だね」
恐らくは"海龍神の加護"によるゲーム内効果だと思いますが、初めて水に浮く感覚は私に衝撃を与えました。
「あんなに水は重くて体を持っていかれるような気がして怖かったのにね」
水面が揺れて体が自分意思とは違う動きで波に飲まれるような感覚、地に足がついていないようで簡単に私なんか水に引き込まれるような気がして、茉実ちゃんが手を握ってくれていたけど何回挑戦しても腰以上の深さのプールには入れませんでした。ページをめくると海に行った日の事が書いてありました。
「それに私があんなに可愛い水着を着るなんて⋯⋯って、それよりもエミルさんってゲーム内でギルドマスターしてた時より押し強いよ〜〜〜」
森永先生に直前になっても泳げないと伝えたところ、まさかのエミルさんをリアルで紹介されて私は着せ替え人形と化しました。最終的に私はピンクのフリルが可愛い水着で砂浜で茉実ちゃんたちと遊んだり、バーベキューをしたり、男の子から可愛いと初めて言われて恥ずかしくなって喋れなくなったり、なんだかんだで楽しかったなと色々な思い出が蘇ります。
「先生の彼女さんとは聞いていたけど、急なリアルでの出会いはダメだよ〜。エミルさんはリアルでもいい人だったけどさ」
海での思い出も濃いですが、エミルさんとの思い出が印象に残るのは、オンラインゲーム内ですけどエミルさんは長い時間を一緒に遊んだ"友達"だからでしょうか。
「あはは⋯⋯。海に行って泳げなかったって話したらガイさんが実は水泳教室の先生でゲーム内の海で個人レッスンが始まるとは思わなかったな」
加護による恐怖心の緩和と魚たちの綺麗な光景によって、私はゲーム内なら肩まで入れるようになり、そこから泳げるまではガイさんの教え方が良く、早かったです。って、これもゲームでの思い出ですね。
「私にとってはリアルもゲームも同じで、大切な友人との時間なんだって、改めて思った夏休みだったかな」
夏休みのゲーム内でやった事はカニッパーとトロピバード狩りでの金策とレベル上げばかりでしたけど、みんなと狩りに出掛けるのは毎回楽しかったです。
「さて、そろそろ行こうかな」
夏休みを経て少しだけ変化した日常、私たちの新学期が始まります。




