第48話 栗毛武道家、夏の大半は乱獲で終わる。
ハナさんからの提案はトロピバードの乱獲でした。私たちは前に乱獲したと思っていましたが、今回は文字通りの巣を壊滅させる勢いでの乱獲です。
「水着が欲しい女性プレイヤーって多いけど、やっぱりトロピバードって飛んでいるから対策が必要だし面倒なのよね」
ハナさん曰く、私とミコさんで撃ち落としてくれるなら後はどうにでもなるとのことでした。
「なるほどのぅ。わっちらのアイテムは経費として引いた後に取り分は山分けじゃが、お主らが買い取ってくれると」
「ええ。私たちは今から対策スキルを取得するのは時間がかかるしね。それに、今はリアルが夏だから需要があるうちに一緒に荒稼ぎしない? ってこと」
「加護スキルの取得を手伝ってもらったんだ。俺たちからの恩返しと思ってくれ」
「トロピバードの巣もさっき見つけましたしね。まあ、突破は無理だと引き返しましたけど」
ハナさんからのありがたい誘いはアレスさんたちからの恩返しのようです。ヒューイさん曰く、巣を見つけたので素早く倒す手段さえ確立できたら狩り放題とのことです。
「お金。必要なんだろ?」
ガイさんもニヤッとしているので賛成のようです。前に防具屋で会った時にお金がないことも、適正レベルの装備が無いこともアレスさんたちは知っているのでありがたい申し出をしてくれたみたいで、ミコさんは二つ返事で話に乗りました。
『アッ! アッポ〜〜〜⋯⋯』
それから私たちは巣を何度も壊滅状態へと追い込みます。
「トロピバード(ママ)とトロピバード(パパ)には状態異常が効かないみたいだね」
「あの二匹は放置が一番だよ! 巣の他のトロピバードたちも一日経てば復活するんだから私たちにはありがたいよね!」
そして、"トロピバードの羽"は飛ぶように売れたようで私たちが上陸した浜辺"ミナミノハマ"は水着プレイヤーたちで大賑わいとなりました。
『『『カニッ! カニーーーッ!』』』
プレイヤーが浜に増えた事でカニッパーたちは生き生きとプレイヤーを襲っています。
「ねえ、ラピスちゃん」
「アユちゃんも同じ気持ちかな?」
「多分。せーのでいい?」
その光景を見て私たちは顔を見合わせて気持ちが一つなのを確認します。
「「カニッパーってもしかして強かったのかな⋯⋯」」
トロピバードの後にカニッパーもアレスさんたちと乱獲しました。何でも"トロピバードの羽"を売ったプレイヤーたちから"カニッパーのハサミ"も売って欲しいと多くの連絡が来たようです。
「アレスたちはヒューイがおるからのぅ。砂を風魔法で巻き上げて見つけられる分、わっちらと同じで脅威に感じておらんかったのじゃろう」
私たちの夏休みは水着材料集めでほとんどが消えてしまいましたが、懐は温まりました。
「さ、ラピスちゃん! VRで水に慣れる特訓始めるよ!」
「あ、アユちゃんずるい! 私もラピスちゃんに泳ぎ方を教えてあげる!」
私はゲームの中でも友達に泳ぎ方の練習を習う事になりました。
「二人が教えてくれるのは嬉しいんだけど⋯⋯、こんなはずじゃなかったかなっ!」




