第45話 栗毛武道家、トロピバードを乱獲する。
次に現れたのはパパイヤ型のトロピバードで、"果汁の酸"を魔法として飛ばしてきました。
「不意打ちでなければ避けれん魔法ではないが、降りてこぬのがやっかいじゃのぅ」
『パッパイーヤッ!』
それを避けるとさらに高度をあげて旋回します。前回同様にすぐにまた攻撃してこないので、モンスターのMPと消費MP的に一度撃つと時間経過が必要なようです。
「うん、矢筒変更完了だよ。ミコさん、やろう」
「うむ。では頼む」
一体目を倒してから再使用までの時間である30秒は既に経過しているため、私は"矢筒(破魔矢)"を装備して弓を再び空へと構えます。
「───"天穹・始導"ッ!」
私の矢が空へと消えていき、光と共に反転してトロピバードへと向かいます。
「わくわく」
「ほら、アユちゃんは落ちたら即攻撃のために準備だよ!」
二人は後ろで待機し、ミコさんを見守ります。私の前に一歩出たミコさんの狐耳がピクピクと動き、金色の長い髪が広がりました。
「───付与呪術・反転金縛ッ!」
破魔矢にかけられた悪い効果を無効にする特性"破邪"、それが付与呪術により性質が反転して金縛りを付与する矢へと変化しました。
『パ、パ、パパ、パ⋯⋯イヤ』
トロピバードは金縛りという麻痺の状態異常にかかり落下してきました。
「 まずは私からだね! 放水 ッ! ホーリーアドオンッ!」
『パッ!?』
落下途中のトロピバードにアユちゃんの魔法が命中し、鳴き声をあげますが私たちの攻撃は終わりません。
「───正拳突きッ! えいっ、えいっ、正拳突きッ!」
「っふ、っふん! やぁ! ───刺突・一点ッ!」
待機しながら"溜め"の動作をしていた私の正拳突きはクリティカル判定での大きなダメージを与えます。そのまま私は連続攻撃をし、ミコさんもすぐに攻撃に加わりました。
『パ⋯⋯パパイヤ〜〜〜⋯⋯』
落ちた後は一気にHPを削られたことによる気絶状態となり、そのままトロピバードは力尽きました。
「HPは流石に低めの設定なんだー」
「月影オンラインでもそうだったよ! 空飛ぶモンスターはめんどくさいからね」
正直、ミコさんが呪術師のスキルを使えなければパパイヤ型のトロピバードはスルーして他のタイプだけで羽を集めるのが正攻法な気もします。
「でも、よく破魔矢を呪符代わりにしようと思ったね」
「だよね!」
「そうじゃな。何故に出来ると思ったのじゃ」
アユちゃんの言葉にプリアちゃんとミコさんも興味があるようで私に詰め寄ってきました。
「えっと、カゲミツさんが⋯⋯」
呪符とは、霊符などと同じ動きを持つものすべて呪物の一種として捉えた考え方で、それは紙のみを意味しません。石や竹、木の他に縄や魚などでもあると教えてくれました。そして、霊符とは御守りなど神の加護が宿ったアイテムであり、呪術とは他者を害する邪な願いにより穢れた術であると。
「初めてミコさんに会った時に呪術に必要な護符の持ち込み分しか使えないって言っていたのに、カゲミツさんとの戦いでは呪符結界ってスキル名だったから気になって後で聞いてみたんだよ。そしたら神の力が宿るアイテムは媒体になるって教えてくれたんだよ」
祝福の加護を反転させたのが呪術であるなら神に由来するものがあればミコさんなら媒体に出来ると。妖仙世界で対人戦主体のプレイをしていたなら呪術対策の護符の対策で、その護符への呪付与くらいはやってのけるだろうとのことでした。
「なるほどのぅ。わっちは確かに相手の護符に付与して金縛りにする戦法もとっておったが破魔矢や御守りを代わりにする発想はなかった故、さすがカゲミツ殿じゃな」
『アッポォーーーッ!』
「次、来たよ! ラピスちゃん、ミコさんお願いね!」
「うん! 任せて! ───"天穹・始導"ッ!」
「うむ。 ───付与呪術・反転金縛ッ!」
『アッ⋯⋯、アッ、アッポォ〜〜〜⋯⋯』
それからの私たちはトロピバードの通り道であろうこの場所で何日かかけて狩りを行いました。通りかかるトロピバードを撃ち落としては倒しての繰り返しで"トロピバードの羽" 40枚を集め終えました。




