第44話 栗毛武道家、トロピバードを撃ち落とす。
翌日、海龍神社に集合し、参拝をしてから御守りを含めたアイテムを大量に授かりました。
「海龍神って現金な神さまだったね〜」
「あんなの普通わかんないよ! それにミコさんがいなかったら無理! 私たちが最初の隠し"加護"スキルの保有者かもしれないよ!」
「そうじゃな。よもや、あのような条件があるとは思わんじゃろ」
皆が口々に先ほどの出来事について語ります。神社で御守りなどを大量に授かったら信仰心が高いと判断されたようで、授与所で対応してくれていた巫女さんに神楽殿に通され、舞を奉納して欲しいと頼まれ、ミコさんの神楽に感銘を受けた水龍神が本殿に降臨されたので謁見し、そこで"加護"スキルを授かったのでした。
「私も意味わからなすぎて頭痛いかもだけど、とりあえずは目的は果たせてオマケも付いてきたと思えばいいのかな」
「加護をオマケなんて聖女らしくないよ〜」
「私は職業:聖女じゃないからいいんだよ」
「昨日の聖女とは一体なんじゃったのか⋯⋯」
『アッポー! アッポー!』
アユちゃんたちとそんなやりとりをしていると生息域に着いたようでトロピバードが襲ってきました。
「あのリンゴ型はわっちの攻撃の当たる位置まで降りてくるゆえ、わっちとアユにまかせるがよいぞ。例の矢は温存でラピスは弓の練習じゃ。ではゆくぞ!」
『アッポォー!』
「いまぞ! ───刺突・一点ッ!」
「 放水 ッ! ホーリーアドオンッ!」
『アッ! アッ、アッポォーーー!』
二人の攻撃を受けてアッポーバード⋯⋯ではなく、トロピバードは空へと舞い上がります。しかし、私はまだ何も出来ていません。なぜなら装備を素手から"見習いの弓"と"矢筒(木の矢)"へと切り替え、背負った矢筒から矢を取り出すのに苦労していたからです。
「弓ってこんな感じで矢を放ってたよね」
一番安い"木の矢"は弓を引く動作後、システムのアシストによって真っ直ぐに飛んで行きました。
「なるほど〜、弓ってこんな感じなんだね。まだ戦力外だけど矢を射ることは出来そうかな」
「ラピスちゃん凄い! その調子で当てちゃえ!」
「よし。次は当てるからプリアちゃん、見ていてね!」
それを見ていたプリアちゃんが褒めてくれて私は調子に乗り、今度は空飛ぶトロピバードに狙いをつけて矢を放ちます。⋯⋯しかしヒョイッと避けられました。
『アポォ、アポォ』
「くぅ〜〜〜っ!」
「なんかラピスちゃんバカにされてない?」
「いや、間違いなくされとるじゃろ」
「ラピスちゃん、ドンマイ!」
モンスターにバカにされて悔しく、私はそれからも何本か矢を放ちます。ミコさんとアユちゃんの攻撃を受けながらも私の攻撃だけは避けていくので余計に腹が立ちます。
「ヒールッ!」
「あと一撃といったところかのぅ」
既にトロピバードの名前は赤に変化して、それなりのダメージも与えられているので私もミコさんと同意見ですが、そこにはミコさんの通常攻撃以上のダメージの話だと注釈が付きます。
⋯⋯しかし、それからトロピバードは空を飛び回るだけで降りてこなくなりました。
「ねえ、ラピスちゃんの必中スキルを使う?」
「確かにありじゃな。開幕しか使えんわけでもないし、ここまで戦って勿体無い気もするがアレをやるかのぅ」
そんな会話がされてる中で私は閃きました。弓での攻撃力はDEXに左右されますが、もう一つの要素でダメージが上がることがあります。
「待って。私一人にやらせて」
「⋯⋯お主の必中スキルだけでは倒せぬじゃろ」
「考えがあるの。決めるから」
私は空に向けて弓矢を構えて弓術スキルを発動します。
「───"天穹・始導"ッ!」
放たれた矢はトロピバードを越えて天高く飛んでいきました。その後、空が光トロピバード目掛けて矢が降ってくるのを確認して私は秘策を使います。
〔移動速度増加〕
私はショートカット登録したまま使うことのなかった移動速度増加の魔法をショートカット発動して"矢"に掛けます。クザッ! と、いい音が鳴り響き、私の一撃がリンゴの体を貫きます。
『ア、アッ⋯⋯ポ〜⋯⋯』
「⋯⋯ほぅ」
「「さすがラピスちゃん!」」
弓での攻撃力を上げる方法、それは器用さという技術を上げる以外に"矢の速度を何らかの方法で上げる"といういたってシンプルなもので、よくアユちゃんが行うスキル連携が私に可能性を示してくれたものでした。
「私やったよ! 勝利っ、Vッ!」
「あははっ! Vッ!」
「Vじゃな」
「Vッ!」
やっぱりゲームはこういう新しい発見をした時が一番楽しいと私は感じます。とても気分良くトロピバードに勝利しました。
「今のでトロピバードの羽は 3枚目じゃな。あと 37枚、出し惜しみなしでここからはアレをしようではないか」
「はい!」
『パッ! パッ! パパァーーーイヤッ!』
ぶっつけ本番ですがミコさんとの連携スキルによる秘策、ここから私たちの乱獲は始まるのです。




