第41話 栗毛武道家、手も足も出ない(物理的に)。
防具屋の先代店主へと"カニッパーのハサミ"を納品した私たちはクエスト報酬の装備を楽しみにしていました。
「依頼主はあの防具屋さんの引退した先代店主だよ? 量産品でなくオーダーメイドで利益度外視の防具を作ってたらしいからきっと凄い防具をくれるって!」
アユちゃんはそれはもうワクワクしています。ちなみに風車の街カザグルでも毎回そう言っていましたが、少額のお金とステータス(極小)、消費アイテムの報酬ばかりで、町長クエストの時にようやく貰えた装備が"新風の証"素早さ +8だったため、あの時はテンションは微妙でした。
「待たせたな。たしかにモノは間違いなく"カニッパーのハサミ" 20個で間違いなかった。お前たちのおかげで良い布切りバサミが出来そうだ」
「「「「・・・・・・」」」」
見事に四人の気持ちが一致しました。まさかの展開に言葉もありません。
「アユちゃんのフラグ回収能力って何なのかな?」
「ちょ、ちょっとラピスちゃんがひどいこと言ってきた!?」
「ありがとう。お前たち、トロピバードを知っているか?」
「⋯⋯アユよ、お主はこのクエストが終わるまで報酬について話すのはなしじゃ」
「ミコさんまでっ!?」
「ラピスちゃん! 楽しいパーティだね!」
「あはは⋯⋯」
いけません、つい心の声が漏れてしまいました。そういえばミコさんはカザグル後にパーティに加わったので知らなかったのでした。何はともあれ、幸いなことに先代店主の話はまだ続くようで、連続クエストは報酬に期待が持てます。
「防具に使う布地はある。後は性能面を強化するためにトロピバードの羽を取って来てくれ。そうだな、 40枚あれば足りるはずだ。集め終わるまでに布切りバサミも完成するだろう」
「わかりました。集めてくるので報酬の方、よろしくお願いします」
クエストを受けた私たちは次の標的であるトロピバードを探し始めました。
「たしか、前はこの辺りで空から襲ってきたんだよね」
ナミノから砂浜へと続く街道を再び歩きます。ただ、カニッパー狩りの往復時に遭遇しませんでしたのではぐれモンスターであった可能性も捨てきれませんが杞憂だったようです。
『アッポー! アッポー!』
「きよったぞ! ───刺突・一点ッ!」
「いくよ! 放水 ッ! ホーリーアドオンッ!」
トロピバードとミコさんの長槍が激突します。さらに聖属性を付与した放水を浴びてトロピバードのHPは半分以下を示す名前を橙色に変化します。ちなみにアユちゃんが聖属性を付与したのは果実鳥の名の如く、果物の鳥なので水属性は前に戦った時に効果が薄かったからです。
「ねえ、ラピスちゃん!」
「うん?」
「言いづらいんだけどね、空飛ぶモンスターが相手だとラピスちゃんって何も出来なくないかな!」
「⋯⋯だね」
プリアちゃんの指摘に何も言い返せませんでした。前まではアイテムによる回復役をしていましたがヒーラーがパーティに入ったことで前衛としての役割を求められますが、遠距離攻撃スキルを取得していませんので戦闘に参加できないのです。
『ア、アッ⋯⋯ポ〜⋯⋯』
そんなことを考えているとトロピバードの小さな鳴き声が聞こえて戦闘が終わっていました。




