第38話 栗毛武道家、元魔女っ子と再会する。
「今日は楽しかったね〜」
「うん! 帰りに見つけた隠れた名店っぽいおしゃれな喫茶店、今日は時間なかったから今度行こうね」
「ラピスちゃん、落ち着いた雰囲気のお店が好きなんだね。あ⋯⋯、ちょっと遠いけどね、私の知ってるお店も今度連れてってあげる」
「ありがとう。楽しみにしてる!」
「お、さすがに早いのぅ。二人ともお待たせなのじゃ」
「「ミコさん、お仕事お疲れ様です」」
「ありがとうなのじゃ」
夜、私はゲームにログインしてアユちゃんと今日のお出掛けや、ゲーム内の方針についてアレコレとおしゃべりをしているとミコさんもログインしてきました。
「して、今日は納品クエストで良かったかのぅ?」
「⋯⋯そのことで、アユちゃんとさっき話していたんですけど」
「グランサバス王国へ一度行ってみるのはどうかな?って」
「ふむ。それはなぜか聞いても良いかのぅ?」
私たちは圧倒的にお金が不足していて、クエストをクリアしながらでないと回復アイテムすら買えない事態に陥る可能性があること。また、そうなるとカザグルに戻らないとならず、結果的に正規ルートを遠回りするハメになること。などを考えた結果だと伝えます。
「なるほどのぅ。確かに聖職者がおらず、回復手段が初心者回復薬だけのわっちらがドロップアイテムだけで狩りを続けられる保証はないのぅ」
「カニッパーやトロピバードと戦ってさ、ここの島は襲ってくるモンスターが多いのも分かったからねー、回復アイテム買って装備を買うお金が貯まらないとか本末転倒だよー」
なら一度、大陸を船で渡りグランサバス王国に行くのも手だと思い、ミコさんに話すと納得してもらえたようで一度ナミノを離れることにしました。
「チケット売り場はここじゃな 」
「⋯⋯ねえ、本当に船に乗る?」
グランサバス行き 3,000G、私たちの所持金はおよそ一人 5,000G、移動だけでお金がかなり飛んでしまう事実にアユちゃんが不安になっています。
「一度移動すればフワマリンネが使えると思うから先行投資ということで⋯⋯。うん、よしっ! アユちゃん、ミコさん、買うよっ!」
私としてもかなり痛い出費ですが、ここでカザグルに戻るしか選択肢がなくなるよりはマシだと思い、お金への未練を振り払います。
「ちょうどグランサバスからの船も来たようじゃな」
ミコさんが見ている視線の先には黒煙を吐きながら海を渡ってきている黒船が入港してきたところでした。
「待ち時間もそんななさそうだし、ラピスちゃんお願いね」
「うん。すみません〜、グランサバス王国行きの乗船チケット 3枚下さい」
「⋯⋯ラ───ス───ちゃ───」
「グランサバス行き 3枚ね、 9,000Gだよ」
「はい。これでおねが⋯⋯」
「ちょっと待つのじゃ!」
「い」する直前でミコさんに会計ボタンを押す直前の腕を掴まれながら止められました。
「ミコさん、どうし⋯⋯」
「ラーピースーちゃーんーっ!」
「わっ!」
私はミコさんに理由を訊ねようとして、すぐにその理由を私は友達に抱きつかれて理解します。
「え? プリアちゃん!?」
「うんっ! ラピスちゃんの友達、プリアだよっ!」
私の記憶の中では、黒色の大きなとんがり帽子に魔術師ローブを着て大きな杖を両手で抱えた赤毛ロングの女の子だったはずなのですが、目の前にいるのは白色と金色を基調としたチュニックとスカプラリオ、頭にはベールかぶった修道女風の赤毛ロングの女の子でした。ただ、修道女に似合わない大きな杖を抱えて持っていますけど。
「えっと⋯⋯、その格好はもしかして」
「ラピスちゃんに憧れて聖女目指して修道女してるの! って言っても私は極大消滅魔法使いだけどね」
プリアちゃんは私から離れて杖を構えて、いつもの大魔法を使う時のポージングだけします。
「プリアとやら、わっちは小倉 ミコ、今はラピスと固定パーティを組んでおる。よろしく頼むのじゃ」
「私はアユだよ。プリアちゃんと同じでラピスちゃんの友達。よろしくね」
「二人ともありがとう。私はプリアです。ラピスちゃんとは月影オンラインでの友達とギルドメンバーかな。ラピスちゃんが好きで追っかけて来ちゃいました」
そう言ってプリアちゃんは、私に少し舌を出してお茶目な仕草をしました。




