↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/184

第34話 栗毛武道家、新大陸の洗礼を受ける。

「着いたのじゃ」


 ミコさんの掛け声とともに私たちは新たな大陸(ドラヌート)の浜辺へと降りました。


「でさ、このフワマリンネってどうするの?」

「少し待っておれ。これをこうして⋯⋯こうじゃ!」

「わっ! これって"新風の証"が進化したのかな」


 ミコさんが何かボタン操作のようなことを行うと、私たち全員の"新風の証(アクセサリー)"が変化して"友風の証"に名前も変わりました。


【友風の証】素早さ(AGI) +12、空にいるフワマリンネを呼び出す事が可能(戦闘中や一部地域を除く)、バッジ(重鎧装備時は装備不可)


 AGIの上昇値が +8から +12になり、好きな場所でフワマリンネを呼び出して移動できるようになったようです。


「ふむ、フワマリよ、また頼むぞ」

「え? あっ!いつの間にか[個体名:フワマリ]になってるんだけど!?」

「わっちが名付けた。可愛かろう」

「フワマリンネなんだから、ふつーにリンネちゃんじゃないの!?」


 ミコさんがフワマリンネに命名を行ったようで、アユちゃんが騒いでます。まあ、フワマリンネに関してはミコさんに任せてあるので私は構いませんし、アユちゃんの"リンネ"は私も私の事情で申し訳ありませんけど却下したいので助かりました。


「リンネとリンネ、両方ともアクセサリーから呼び出せるとかややこしいもんね」


 "星流の指輪"は妖精リンネの加護が付与されており、今は効果を失っていますがアシストモンスターとして"リンネ"を呼び出す事もできます。まあ、それがいつの話かはわかりませんが。


「あ、フワマリが空に昇っていくよ」

「ラピスちゃんまでフワマリ呼びなら、もうそれでいいや⋯⋯」


 私もフワマリ呼びをすると、アユちゃんが少し悲しそうですが渋々ながらも納得してくれたようです。


「して、空から見えていた一番近い街はあっちじゃったな」

「ですね。とりあえず歩きましょうか」


 私たちは内陸へと伸びた道へ進むために砂浜をあるいていると第一モンスターに遭遇しました。


『カニッ、カッニーッ!』

「カニッパ⋯⋯、可愛い姿の割には刃物のハサミはなかなか殺意を感じない?」

「ハサミだから、間に挟まらなければ大丈夫だし、そこまでじゃないと思いたいけど」


 蟹型のモンスターである"カニッパ"はハサミをカチンと鳴らしながら横を向いて私たちへと跳んできました。


『カニーッ!』

「っ! アユよ、さがるのじゃ」

「わかった!」


 パーティの突撃隊長と化したミコさんがアクセサリー"友風の証"から"狐月の慶祝・凛鈴"へと切り替えて、鈴を鳴らしながら長槍で叩き落とします。


「刺突・一点ッ! 急所突きッ!」

「放水 (アクアディスチャージ)ッ! ホーリーアドオン(聖属性追加)ッ!」


 ミコさんは渾身の一撃でカニッパーの小さな顔部分を突き、アユちゃんも魔法で援護します。ミコさんの攻撃が装備によるLuk(運)上昇効果を高めて弱点部位に的確に攻撃を当てたためかクリティカル(通常より多く)ダメージが入り、カニッパーの名前が赤色に変わりました。


「もう一押しじゃな。アユはMPを温存、後はわっちに任せるのじゃ」

『『カニカニー』』


 ミコさんがカニッパーに攻撃を仕掛けると同時に小さいながらもカニッパの鳴き声が聞こえたので、周囲を警戒します。けれどカニッパーの姿は見えません。


「アユちゃん、近くにまだいるから気をつけて」

「私も聞こえたよ。あと二匹いるよね」

「アユちゃん、ミコさんの近くへ逃げてっ!」

『『カニッ!カニーッ!』』


 砂が盛り上がり、私たち二人に対してカニッパー二匹が跳んできました。私はそれを躱わして背面から殴って叩きつけ、追撃を行います。


「えいっ、えいっ、えいっ、───正拳突きッ!」


 小型のカニッパーに攻撃を当てるためにタメのいる正拳突きは隙ができるまで取っておいて通常攻撃を繰り出しましたが、思った以上にダメージが出たためカニッパーが気絶(スタン)状態になったので、トドメとして正拳突きを放つと赤色だった名前が消えて泡を吹いてひっくり返りました。


パリンッ!


「アユちゃん、ごめんね」


 初心者用回復薬を使用してアユちゃんのHPを回復させます。ちなみにまだミコさんが二体目と戦闘中です。


「ミコさん、ありがとう。打撃属性が弱点みたいだからあとは私がやるよ」

「おう、すまんな。では頼むぞ」


 私はさっきので戦い方がわかったのでサクッとカニッパーを倒します。


「砂に隠れておるとは厄介じゃな」

「ねえ、私に考えがあるんだけど⋯⋯」

「嫌な予感しかせんが、なんぞ?」

「ふっふっふ。いい魔法があるんだよね」


 アユちゃんは範囲魔法で炙り出す作戦を提案します。アユちゃんが襲われる前提で動くため、ミコさんはアユちゃんを守るのに専念し、私が今回は火力要員です。


「じゃ、行くよー。───熱砂に埋まりし蟹たちよ、地獄へ誘うは捕食者なり、沈め。泥沼(クァグマイアー)」


 ショートカットに登録していない詠唱付きの魔法をアユちゃんが発動させます。


「これって⋯⋯」

「いやー、いつも同じスキルばかり使ってたから忘れてたよー。とりあえず水属性魔法と、効かなそうなモンスターには聖属性付与みたいな? 私、見習いジョブで複合魔法(・・・・)も覚えてたんだよね」


 そういえば初日に見習いジョブでのスキル集めをしていたことを思い出しました。ということはこの魔法はあれですね。


「水と土の複合魔法かな?」

「ラピスちゃん、正解だよ!」

「ほう、そんなスキルもこの世界にあるのじゃな」


 コンバートしてきたミコさんも知らないスキル、ジョブを決めるまでの短い期間にVR MMO RPG初心者しか取得できないスキルを取得しているアユちゃんは実は凄いレアなのでは? と思いました。


「あそこと、あそこ、それとあそこにいるよ」

「任せてっ!」


 カニッパーが息をする気泡が見えたことで潜んでいる場所を特定し、息ができなくなって地上に飛び出してきたところを私たちは倒していきました。


「ふー。やっと浜辺を出れたねー」

「そうじゃな。ここのモンスターは前の大陸とは違って奇襲に気を付けねばのぅ」


 もしかしたら、フワマリの移動中にアクティブモンスターが襲ってきたのはそういう大陸だと知らせる意図もあったかもしれません。


「よし。それじゃいこー!」

「だね!」

「こら、アユは先に行くでないわ! まったく。寄り道なしで街までまっすぐ歩くんじゃぞ」


 それから空から襲ってくるトロピバード(果実鳥)や、のっそり歩く巨大豚(トロトン)といったモンスターを倒して街に着きました。


『湾岸都市 ナミノ に到着しました。 復活地点を変更しますか?』


[〉はい ・  いいえ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。