第27話 栗毛武道家、岬地下ダンジョンと宝玉。
ミコさんとパーティを組んで私たち3人は岬地下ダンジョンを奥へと進み始めました。しばらくするとフワマルが3体ほど浮かんでいるのが視界に入りました。
「そういえばさ、ミコさんがフワマルを倒した時の爆ぜる音を聞いて近くに見えないけど誰かいるって思って私は岬から叫んだんだけどさ〜」
「ああ、これかのぅ」
アユちゃんが言い終わる前にミコさんは察して手に持った長槍を構えてフワマルの一体に突撃していきました。
「っふ、っふん! やぁ! ───刺突・一点ッ!」
長槍で突いて、薙ぎ払い、スキルを使いフワマルを倒すとパーンッ!という音と共にフワマルが弾けます。
「⋯⋯ふう。カザグルの街でクエストを全てこなした主らは知っておると思うが攻撃属性に対する耐性持ちへの対応でスキルは拳術、槍術の二つを上げておる」
「ほえ〜、ねっ! ねっ! ラピスちゃんっ! ミコさん、すっごくかっこよかったよねっ!」
「うん。VRであそこまで動けるって本当に凄いよ」
カザグルの街で買ったであろうレザー装備から、コンバートで持ってきたであろう薄紫の羽織りに朱色の袴を着て、大きな鈴を狐耳の横から垂らした姿で舞う姿は美しく、その金色の長い髪が宙を舞いました。
「そうじゃろそうじゃろ、わっちの槍術は妖仙世界からの技術じゃからな。一丁一席に身につく動きではないぞよ。⋯⋯まあ、呪術師としてコンバートした故にスキルは引き継いでおらんがな」
「なるほどー。だから武道家なのに長槍で戦えるんだ〜。それに突撃属性の攻撃だとフワマルが弾けるんだね」
「そういう事じゃ。しかしラピスよ、お主は驚きが薄いのう」
ミコさんの動きにダブって見えたのはMSOでのカゲミツさんの動き、和調の道着に同じ長槍使いの洗礼された動きは無駄なく当たり判定をクリティカル距離で積み重ね、最小限の動きで単体攻撃は躱わす。私がカゲミツさんの支援をする時は補助のみで、回復は避けれない範囲攻撃の時に周りと一緒に回復魔法を唱えるくらいでした。
「ミコさんと同じくらい凄い動きの人を近くで見てきましたから」
「ふむ。そやつと一度手合わせしてみたいものじゃな」
ミコさんは少しだけソワソワしたようですがすぐに平常心に戻ったようでした。それからアユちゃんとミコさんが主火力となって何体ものフワマルを倒しながら奥へと進むと、行き止まりの扉に辿り着きました。
「うーん、行き止まりだね。ミコさん、この先にはどうやって行くんですか?」
「これじゃ。この"フワマルの宝玉"が50個必要なのじゃが⋯⋯ふむ、今日は5個か。いつもよりは多く集まったな」
私が聞くと、扉にある"フワマルの宝玉"の嵌め込み穴を指差しながらミコさんが開き方を教えてくれました。
「その"フワマルの宝玉"って、持ち込みありかな?」
「ありじゃな。試しにわっちが前に嵌めたらカウントされたからのぅ」
「ちなみにミコさんって今、何個集めたの?」
「さっきの5個を入れて23個じゃ、あと1週間ほどはフワマル狩りかのぉ」
アユちゃんが個数を聞いくとミコさんは遠い目をしながらフワマル狩りがまだまだ続くと答えました。しかし、今は私たちがいます。
「アユちゃん、いいよね?」
「もちろんっ!」
私が確認するとアユちゃんも同じ事を考えていたようで親指を立てながら笑っています。
「なんじゃ、お主ら。もしや少しでも手伝ってくれるのかや?」
「私たちは"パーティ"なんだよ。一緒にこのダンジョンを攻略しようよ」
「ミコさん、はい。これを使って下さい」
私が手渡した"フワマルの宝玉"、その数40個。不足分の27個だけでは一人でそこまで集めて、ダンジョンを見つけてここの入り口を教えてくれたミコさんに悪いのでミコさん10個、私たちが20個づつの合計50個を使用して扉を開くように渡しました。個数までアユちゃんと決めてないけどあの子ならきっと同じようにすると思います。
「⋯⋯は?ちょ、ちょっと待つのじゃ。"フワマルの宝玉"はそこそこレアなドロップアイテムでわっちの体感的に5%くらいのドロップ率じゃと思うんじゃが、お主たち本当によいのか?」
「あはは⋯⋯、ネタバレするとね、私たちにとっては全然レアじゃないんだよ」
「なん⋯⋯じゃと⋯⋯」
アユちゃんがミコさんに実演込みでフワマルを何匹かバブルのスキルで倒します。
「と、こんな感じで窒息死? させると割と高確率で落とすんだよね」
「あと、拳術でも落としやすいと思います。私は毎晩フワマル狩りしてますけど30%くらいのドロップ率はあるように思っていたので」
「なんと⋯⋯、突撃属性でフワマルを破裂させると落ちにくいアイテムであったとは」
モンスターの倒し方でドロップアイテムやドロップ確率が変わるのに気付いたのはたまたまでした。私たちはペア狩りなので弱点属性を全て突けるわけではないです。なので討伐クエストをこなしていると明らかにドロップ率が高いモンスターがいることに気がついたのです。それからは倒し方を試しながらクエストをこなしていきました。
「それじゃあボス戦といきましょうか」
「ミコさん、お願いします」
私たちが先を急かすと少しだけ恥ずかしそうにしながら。
「それでは、ゆくぞっ!」
そんな掛け声とともに最後の宝玉を穴に嵌め込み、扉が自動で開いていきました。




