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第17話 栗毛武道家、ダメージを与える。

 フワマルは実は弱くはない、その事に私が気がつくのは早かったです。


「なんで補正込みでSTR10を超えてるのに武道家でダメージが1なの!?」


 "星流"装備の頭、鎧、腕、足の部位は職業条件である聖職者のジョブから武道家に転職したため装備不可になりましたが、アクセサリーである"星流の指輪"のみは制限がないので装備しています。なので防御力としてはこの前と同じで受けるダメージ(被ダメ)はほぼないのですが問題は与えるダメージ(与ダメ)です。


「レベルアップの度にSTRに振っても振ってもダメージ1とかバグじゃないの?」

「気持ちはわかるけど、ラピスちゃんが問い合わせても"仕様です。"と返される予感しかしないんだよねー、バブルっと」


 アユちゃんが"バブル"を唱えて発動し、私の倒せないフワマルを一撃で屠ります。大人しく盾役をするメリットがないのでスキル"正拳突き"をショートカット登録で発動しながらダメージ1を通常攻撃と合わせて積み上げます。


「思ったんだけど、フワマルって風船(・・)だし打撃技からのダメージはどんなに強くなっても1なんじゃないかな?」

「⋯⋯それあるかもだね。変なことリアルだし」


 初めて遭遇して簡単に倒してしまえたので弱いと錯覚していただけで、もしかしたら周辺のモンスターは各種耐性をそれぞれ一つは持っているのかもしれません。


「それなりにレベルも上がって来たし、私も魔法に慣れて来たからそろそろ次の街に行きたいなー」

「そだね。そうしようか」


 私はアユちゃんの提案に賛成します。だってずっと同じことの繰り返しは飽きちゃいますからね。危険もなくて魔法を撃つだけの作業とかは特にね。


「ラピスちゃん、地図(MAP)って機能はないの?」

「あるにはあるけど、お店で周辺の地図を買うとその情報が反映される感じかな。詳細な地図は実際に足を運ばないと埋まらないけど」

「そうなんだ。お金も心許ないし⋯⋯じゃあ、あの風車目指して歩くってのはどうかな」

「うん、いいよ。道中のモンスターは倒しながら行こうか」


 次の街へと進む途中、フワマル以外のモンスターにはきちんと与ダメが5〜8出ることを確認できました。


「よかった〜。初心者向けモンスターで防御力がダメージ通らないくらい硬いわけないもんね」

「あ、新しいスキル出てきたよ」


 動かない岩のモンスター"イワマル"や芋虫型のモンスター"ヨウチュー"を倒しているとまずはアユちゃんが新スキルを覚えたようです。


「残念、もう到着でーす。試すのはまたの機会だね」

「そういう時に限ってモンスターが目的地まで現れないのはなんなんだろうね」


 少し不貞腐れながらアユちゃんはあるあるについて文句を言います。けど、世の中ってそんなものですよね。


「今日はいっぱい遊んだから明日はログインできないや。テストも近いし勉強するね」

「アユちゃんの家は厳しいんだっけ。遊べなくなると嫌だし分かったよ」

「そこは私も勉強するって言うところだよ」


『風車の街 カザグル に到着しました。 復活地点を変更しますか?』


 2人で笑いながら街の門を潜るとメッセージが流れました。


「復活地点の変更は"はい"を選んでおいてね」

「おっけー、もう時間だから私はログアウトするね」


 現実の時刻は22時45分、アユちゃんの平日の門限?というか親から言われているゲームをしてもいい時間は23時までです。ただ、友達と遊びたいという理由で22時までだった上限を引き延ばしてもらったようであまりゲームをやりすぎるのは気が引けるようでした。


「それじゃ、また」

「うん、またねー」


 こうして私の武道家としての初めての1日は幕を閉じたのでした。

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