第154話 栗毛聖女、水中ダンジョンに挑もうとする。
「大地主さんの言ってた入り口ってここだよね?」
「そーっぽいぜ? ほら、なんかそれっぽい鍵穴あるし」
私たちは湖の底へと移動するためのダンジョンへ挑むために教えられた大地主さまの別荘裏にある階段を降り、大扉の前までたどり着き最初に近寄ったコータが鍵穴の位置を教えてくれます。
「ありがとう、コータ。とりあえず、ダンジョンっていうことだからいきなりボス戦じゃないと思うし、まずは地上用の防具で挑もうか」
「そうじゃな。水着ならという仕様も考えられるが、わざわざ内部ステータスというものを持ち出しておるのじゃ、そう単純ではあるまい」
「そうだね。プリアちゃんとマリアさんがいるからやられはしないと思うけど、私も危なそうなら回復に回るね」
私たちは遊んでいましたけど、この世界はゲームです。少しは周辺のフィールドへ狩りへ出たり、遊びながらでもレジャーでの報酬でお金は少しづつ溜まり、水着以外の装備を全員が新調しています。そして二人分のは私が用意しました。
「ラピスちゃん! 私たちの分も買ってくれてありがとう! それにしてもみんなお揃いなんて楽しいね!」
「二人と遊びたかったからね。ミコさん、引き継ぎ装備の制限解除はまだわからないみたい。いつのも和服じゃないけど大丈夫そう?」
「AGIのステータスが大幅に変わらなければ同じじゃと思うが……」
「ラピスちゃんが言いたいのは! 気分の問題だと思うよ?!」
ミコさん以外が新しい防具に身を包みました。プリアちゃんが捕捉してくれたように、装備の見た目というのはモチベーションに関わります。それは、戦闘時の動きにも影響を及ぼすので他のみんなはとりあえず慣れたということで大丈夫ですが、ミコさんがまだ着てくれたことがないので聞いてみたのですが、―――鼻で笑われました。
「ふんっ。鹿の角を付けて戦っておったお主らを見てわっちも吹っ切れたわ。あの時は功を奏したが―――、楽しんだもの勝ちじゃとな!」
ミコさんも装備を着替え、全員がキャンパー装備になります。この防具は防御力がこれまでより一段と高く、全ステータス・スキル威力が微増と全職業に恩恵がある装備なので職業ごとの専用装備以上に今は強い装備なのです。
「リョウさん、占術をお願いできる?」
「もうかけてありますよ。今回はDEX上昇ですね」
「リョウ~、目に見えないし感覚としてわかりづらいー」
「占いなんですから文句言わないでくださいよー」
「あはは、ごめん冗談! まあ、だからいつもひっそりと掛けてくれてるんだよね」
リョウさんのスキルは占いなのでランダム性が強く、効果は確かにでてると思うのですがこの補助占術は気持ち程度ですので、いつも口に出してスキルを使ってくれないのです。
「アユちゃん、からかわないの! ありがとね、リョウさん」
「いえいえ。―――そうやって気にかけてもらえるだけで嬉しいですから」
「―――そじゃ、いこっか!」
私は大地主さんから受け取った鍵を鍵穴に差し込んでグイっと回しました。
「あははっ! ラピスちゃん! 水! 水!」
「みんな! とりあえず酸素袋を取り出して落ち着くまで待機!」
「おっけーっす!」
「了解でござる」
地下へと降りてから湖への扉を開けば向こう側の水が押し寄せてくるのは考えればわかることでしたが、そこまで考えていなくて結局、奔流に押し流されてしまいました。
「さて、湖までの距離が遠くなったようじゃが……」
「もちろん進むよ。の前に、一度外に戻って酸素袋に空気補充しておこうか」
「賛成ですけど、ラピスちゃんはいつも慎重ですね」
「何が起こるかわからないからね。酸素袋が一人一つしかもてない仕様なんだから水中で補充はできるとは思うけど、どこでどうやるのか最初は探すのに時間がかかると思うし」
私の説明にみんなが納得してくれて、私たちは使用時間が経過していく酸素袋の時間をリセットするために一度地上で空気を補充し、再び水中へ潜るためにダンジョンの入り口手前まで戻ってきました。
「ほう、見てくだされ、魚が泳いでおりますぞ!」
「あーしらが釣り尽くして―――」
「マヤっち~。ここはレジャーじゃなくてダンジョンなんだから普通に倒せるんじゃないかな~?」
「っは! そうっすね! マリアもたまにはいいことを言うっす! じゃあ、これまでの恨みを込めて焼き尽くすっす!!!」
マヤさんが水没した水路に魔法を放とうと詠唱を開始しました。―――私たちのダンジョン攻略はマヤさん無双から始まるのでした。




