第153話 栗毛聖女、大地主に湖の話を聞く。
「待たせてすまぬのじゃ!」
「私からもごめんね! 仕事の方も期末までのは全部終わったから私も参加だよー!」
のじゃと元気な声が別荘に響いて文字通りの全員集合が完了しました。
「二人ともお仕事だったんだから仕方がないよ、お疲れ様」
「じゃが、主にわっちの我が儘じゃからのぅ」
「まぁ、ミコさんが大火精霊との戦闘をラピスちゃんたちと初見で挑めなかった時、凄い悔しがってたの知ってるからねー」
「そりゃ人間じゃからのぅ。わくわくすることは共に分かち合いたいと思うじゃろ」
ミコさんの言ってることもわかるので今回は大地主様への面会をミコさんとプリアちゃんが待っててという希望に応えてサブクエストをしながら待っていたのでした。
「お二人の気持ちがわからない人はここにはいませんよ」
「そうでござるな! マヤ殿などイベントがあると言われても釣りをしていたでござるしな!」
「ちょ、なんであーしの話になるっすか! 別にそんなこと言わなくてもいいっすよね!?」
「ヤスナガさんもマヤっちの扱いがわかってきたわね~。このマヤっちも、なんかお父さんに反抗する娘のようで可愛いかも~」
リョウさんの言う通り結局はみんなそれぞれにしたいように遊んで時間を潰していたので誰も本当に不満なんかいだいてないのです。
「ミコさん、プリアちゃん。大丈夫だよ、リョウさんの言う通りみんなもわかってるから」
「そういってもらえると助かるのじゃ」
「これまでの分も私がんばるね!」
別荘で騒いだ後、私たちは改めて大地主様の待つ屋敷へと向かいました。
「……よくぞ参られた。湖の主について聞きたいそうだな」
「御託はいいのでさっさと戦い方を話すっす!」
「マヤさんステイ! はい、ラピスちゃん頑張って!」
「アユちゃんがそっち側にいるの斬新かも……」
暴走しているマヤさんを止めて大地主様との会話は私が行うことになりました。
「はい。知っている事を教えてもらえたらと思いこちらに参りました」
「―――そこの小娘と比べて会話になるようだ」
「NPCの癖に生意気っす! それに、ラピスちゃんよりあーしの方が年上っすよ!?」
「私からみても年上には見えないですわね……。まるで狂犬」
「ミナツちゃんまで!? アユちゃんもこれ、わりとマジっすか?」
「そうっすよー? 私も遊ぶ時間が限られているので本気になる時があるっすからーってね」
確かに最近のアユちゃんは勉強をとてもがんばっているようで、私がログインする時間以外はあんまりいないようでした。
「湖の主、その存在はこの避暑地である山奈河町を作った理由にも関わる。様々な経験が心身の強化に繋がるというのはお主たちもあの書物で見て知っているであろう?」
「地底湖のあれですね。それと何か関係が?」
「あの書物に書かれていることはその昔、グランサバスの国王が【厄災】と戦う際に自信を鍛える中で見つけたものらしい」
「つまり内部ステータスを上げていないと【厄災】とは戦えない?」
大地主さんは大きく頷きます。私たちはそれを単純に戦闘力の問題と捉えようとし、大地主さんに止められます。
「ちがう、そうではない。人は本来は地上でしか戦えぬ。しかし超人と呼ばれたグランサバス王は地を駆け、空を飛び、水中を泳ぎながら戦ったという」
「あ、ピタヤ様の時とか空を飛ばれたら私たちは見てるだけだったけど……」
「そうじゃな。あの状態になっても戦える方法を身に付ける必要があるということじゃ」
「あ! てことは地底湖ってもしかして水中で戦えるようになるための修行場!?」
プリアちゃんの想像通りだったようで、湖の主とは水中戦になるようです。そして、湖の主は【厄災】の一体であるということもわかりました。
「あ。てことは地底湖で遊んでない人はまともに動けない系?」
「まあ、行ってみればどれほどの影響があるかわかるじゃろ。ただの水じゃ、まったく動けないわけでもあるまい」
大地主さんとの面会も終わり、私たちは湖に入るためのアイテムを受け取りました。
「酸素ボンベくらいはいるよねー」
「私の信仰心が違いますって時もそうだけど、変なところでリアルにこだわりがあるよね」
水中の動きを知るためにいつもの装備でひとまず挑んでみることにします。




