第14話 栗毛修道女、ステータスについて説明する。②
と言うわけで、前衛の定義は様々ですが基本的な役割は同じです。素早さに振って避けながら戦うか、体力に振って耐えながら戦うか。
筋力極振りの変人もいますけど、前には出れないので実質後衛ですね。逆にVIT極振りの場合は壁やタンクと呼ばれ、火力は期待できませんし回復アイテムが大量に必要なので聖職者とセットになるケースが多いです。
「その事を考えながら私の転職先は何がいいと思う?魔法使いと聖職者以外で」
「つまり、現時点までINTにしか振ってないラピスちゃんは前衛として戦えないってこと?って剣士と武道家の二択じゃん」
「そんなとこー。だから転職に悩んでるんだよね」
今、実装されている基本職は剣士、武道家、魔法使い、聖職者の四つです。他職で覚えたスキルは使用することは可能ですけど、威力、効果時間など8割減になり基本的に実用性はありません。と言う事もアユちゃんに伝えながらふと思いました。
「あー、なるほど。だから見習いジョブで取得できる隠しスキルは汎用性が高いのか」
「どうしたのいきなり」
「なんでもないー、ただアユちゃんが羨ましいし、使いこなしてて凄いなって思っただけ」
複合属性魔法はダンジョンのギミック解除に使えますし、魔法への聖属性追加は効果時間が短いためタイミングはシビアですけどアユちゃんは使いこなしていました。モンスターの注意を引くための遠当ても用途を考えれば威力はそこまで必要ではありません。
「けどラピスちゃんって、昨日はモンスターからダメージ受けてるように見えなかったし何になっても問題なくない?」
アユちゃんは昨日の私のHPが減らないことを指摘しますがダメなのです。どのゲームにおいても"聖女"の職業は"聖職者として一途に神に祈る事"が前提としてあるため聖職者から転職した瞬間に聖女の上位職は転職リストから消えてしまいます。けれど、それを言うとアユちゃんが気にすると思うので黙ってはぐらかすことにしました。
「うーん、この装備って前の世界から引き継いできたもので性能はいいんだけど、聖職者限定なんだよ」
「じゃあ、そのままで良くない?」
「良くないから悩んでる。今は初心者向けMAPだからいいけどすぐにダメージを受けるようになると思うし、ジョブレベルが上がってもスキルが使えないとか、それってもう"寄生"と変わらないもん」
正当な労働の対価が経験値とアイテム、お金だと私は思うので、スキルが使えなく寄生と変わらい状況は私のプライドと、私のしてきた役割を認めてくれた第六天明王のギルドマスターであるエミルさんの想いが許さないのです。
「うーん、器用さは命中率補正って聞いたけど運もステータスにあるし生産職の実装を待つのはどう?私、ラノベとか好きで良く読んでたけどそういう話多いからさ」
「それも手なんだけど、転職は自由なんだしいつになるか分からない職業のためにステータス振らないのもどうかと思うんだよ」
「それもそっか」
スキルは使用回数が一定に達するとそのスキル系統から新たなスキルが習得できます。これは聖職者になるときに神父さんが言っていたのでMSOと仕様は同じです。なので早めに転職してスキル使用回数を稼いだ方がいいことを伝えました。
ピコン
[すまないが話は聞かせてもらった。ラピス、武道家にならないか?]
その時、短い文面のメールがセピアさんから届きました。




