第13話 栗毛修道女、ステータスについて説明する。①
翌日、学校で茉実ちゃんにプリアちゃんの事をいっぱい聞かれました。恥ずかしかったけど"夜天の宝玉"を渡した時のことから、一緒にパーティを組むようになってエミルさんが立ち上げたギルドの初期メンバーとしてその時にパーティを組んでいた6人で"第六天明王"を作ったこと、それから色々な出来事を話すのに休み時間だけじゃ時間が足りなくて、帰りに街の喫茶店でお喋りしてから帰宅しました。
「もう、茉実ちゃんも大切な友達なのに」
少し羨ましいな。と言われて私はあたふたしたのを思い出し、憧れてた高校生活が出来ている事に胸をいっぱいにしながらVRヘッドを装着して友達の待つ世界にログインします。
「このアバターは、もう聖女には戻れないけど、思い出を捨てる事は私には出来ないから」
前に進む。少なくないMSOでのみんなとの思い出、GFOでアユちゃんの初めてのVR体験を共有したこのアバターはもう削除できません。
「やっほー。ラピスちゃん、今日は焼いちゃってごめんね」
アユちゃんがログインそうそうにそう言うのは反則だと思います。まだ今日で3日目だけどアユちゃんとの思い出は私の中にしっかりと残っているから。
「うん、ほんとだよ。私はアユちゃんも大切な友達なのに⋯⋯ぐすん」
「わかったから、ほら」
「⋯⋯ありがとう」
「どういたしまして」
アユちゃんが私を抱きしめて見習いローブで包み込みます。嘘泣きなんて分かってるだろうけど私のして欲しいことをしてくれる優しさに今は甘えます。
「正直、このゲームでも聖女を目指して聖職者になるって決めてたから、最初に振れる分とアユちゃんと狩りに出掛けてレベルアップした分のステータスポイントを全部INTに振っちゃって、目指す職がわからなくなっているんだ」
昔のネトゲと呼ばれるMMORPGが世に出た時からステータスの扱いは大半コピペです。例に漏れず、VRになってもそこは変わりませんでした。どうして私がそんな事を知っているかって?MSOの時にカゲミツさんが教えてくれたんです。仕様を調べるのが好きとかでこれまでにプレイしてきたゲームについては大体把握していて、ステータスポイントシステムは昔から変わらないとか。緑髪のエルフ耳で道着を着たアバターでしたけどエルフは長命って言いますし、本当は幾つなんでしょうね。と、脱線しましたがステータスについてアユちゃんに改めて説明します。
Strength、筋力
Agility、素早さ
Vitality、体力
|Intelligence《INT》、知力
Dexterity、器用さ
Luck、運
この6種類のステータスにポイントを振り分けて自分だけのアバターに成長させます。他に装備補正、職業補正、スキル補正で能力が変化します。ステータスによる恩恵はゲームによって少しづつ違いはありますけど概ね同じようです。
「で、聖職者や魔法使いはINTに振って知力を高める事でスキルの威力と魔力を増やして魔法の使用回数を増やしたり、消費MPの大きい大魔法を撃てるようになるから最優先に上げるのは教えたよね」
「うん。それで魔法使いになりたいって学校で話した時にINTに全部振ってねってラピスちゃんが言ってたからちゃんと極振りしてるよ」
そう、この状態なら私は魔法使いに転職すれば問題ないのだけど、それだと後衛が2人になります。大規模なパーティを組むなら問題ないのだけど、少人数で組む場合に後衛が多いバランスのパーティは前衛と聖職者がしっかりとモンスターのターゲット固定をして耐えてくれないと簡単に決壊して全滅してしまいます。なので私がヒーラーを務めてどんなパーティ構成だろうと安定させるつもりだったのですがそれが出来なくなってしまったのです。
「でね、前衛に求められるステータスって何だと思う?」
「STRとVITかな?」
「ごめん、意地悪しちゃった。"前衛"って括りだと正解はないの。アユちゃんの答えは前衛としては及第点かな」
これに答えはありません。雑魚を蹴散らして活路を開く剣士なら正解です。ただ、小さかったり早かったりで攻撃が当たらないモンスターもいるのでDEXに振ってシステム補正も必要ですね。




