第134話 栗毛聖女、【厄災】大火精霊と戦う②
「よし。次は―――占術! 〝スプレッド・大三角の秘宝〟ッ! 過去は『月』の正位置!」
「ふんっ! リョウ殿の準備が終わるまではワシの方を向くでござるよ」
「───放水ッ! ───放水ッ!」
リョウさんが動きながら大火精霊の正面、お腹の辺りに触れると『月』のカードが出現し張り付きました。接近したリョウさんにターゲットが切り替わったのを見逃さずにヤスナガさんが大剣で頭から叩き斬るような攻撃して大火精霊のターゲットを自分に戻します。その間も放水でアユちゃんがダメージを稼いでいました。
「アルカナって聞いてもしかしてと思ったんですけど、それってタロット占いかな?」
「―――はい、そうです。大三角の秘宝は時間の流れから物事の全体像、解決策を占えるんです。占術ってようは占いですけど、弱点や行動の隙を知るのに凄く役立つんですよ」
その隙に一度離脱したリョウさんへ気になっていたことを尋ねると知りたかったこと以上の答えが返ってきました。それに、占いについて凄く詳しそうなので今度、スキルとか抜きにいろいろ教えてもらいたいなとも思いました。
「そうなんだ! 占術って凄いんだね! はい、―――移動速度増加ッ!」
「そこまでのスキルじゃありませんよ。あくまで〝知る〟ことしかできませんから。けど……、ありがとうございます。ラピスさん。―――次、いってきますね!」
リョウさんの〝知る〟というその言葉には何か深い悲しみが込められていました。けれど、戦闘において〝知る〟ことは凄く大事だと私は《《知っています》》。
「―――ヤスナガさん! 忍者スキルはまだ温存しててくださーい!!!」
「うむ。―――心得たでござる!」
HPを消費する忍者スキルは私のヒールによるHP回復量の都合でむやみに使用しないようにしてもらっていますが、チャンスがあれば使っていくことは決めていました。私がリョウさんを見送って大声で叫んだのをちらりと見てヤスナガさんは返事と共に頷いてくれました。
「ねね、ラピスちゃん。―――リョウのことちゃんとわかってくれてありがと」
「―――えっと、何がかな? アユちゃんほどリョウさんのこと知らないし、私は私の思ったことを口にしただけだよ?」
たぶんアユちゃんはリョウさんの過去も知っているんでしょうね。私は察しただけですけど、占術という特に強敵と戦う場面でなければ役に立ちづらいスキルで色々とパーティーメンバーに言われてきたんだと思いました。
「そういえばアユちゃんって、リョウさんと青春アカデミーで知り合ったんだよね」
「……ラピスちゃん、絶対わかってて言ってるよね~!」
「あははっ! なんのことかな~? ―――ただ、リョウさんは凄い人だなって思っただけだよー」
青春アカデミーは学校です。学び舎です。―――きっとリョウさんは知りたいのでしょう。知らないことを、過去も、未来も、今も、知っている事すらも。―――だから、人からどう言われようと占術スキルのレベルを上げてきた。
「そこっ! ―――占術! 現在は『隠者』の逆位置! ―――そうだよなっ!」
「リョウさんのおかげできっと勝てるから。だから、楽しみにしてるよ。―――見せてくれる未来を」
だんだんとテンションが上がっていくリョウさんが凄く楽しそうで、やっぱり好きなことをして遊ぶのは楽しいんだと、温泉に浸かりながら自分の中で見つけた〝楽しい〟と重ねながら背中を見つめます。
「よしっ! クールタイム終わりっ! ラピスちゃん、もっかいアレいくね」
「りょーかい! 詠唱省略ッ!」
アユちゃんの〝|バブルプラネット・シューティングスター《泡惑星流星群》+ホーリーアドオンが再び炸裂し、HPが半分を切ったところでリョウさんの占術〝大三角の秘宝〟が発動するのでした。




