第131話 栗毛聖女、裸の付き合い?をする。
私は少し白色のチェックが入った水色と紺色のタンキニ水着の装備を着て入浴します。VRとはいえ男性と、いえ女性ともなので家族以外の誰かと一緒に湯船に浸かるのは初めてでドキドキしました。
「で、ラピスちゃんが温泉入りたいなんてどうしたの?」
「うん。さっきも言ったけど、こんな温泉部分が広いマップだし何か隠し要素があるような気がしたんだ。―――それに、アユちゃんみたいに私もこのゲームをめいっぱい楽しみたいって気持ちで温泉に入りたくなりました。って、こんな理由じゃダメかな?」
後半、言葉に出しながら恥ずかしさから顔が湯に沈んでいく私ですけど、VRですから苦しくはなく、けれど恥ずかしさで温泉の演出効果以上に体温が上がっていくのを感じました。
「あはは。ラピスちゃんもブレないね~。ラピスちゃんはゲームをゲームとしてじゃなくてリアルとしてなんだから私とは違った楽しみ方を十分にしていると思うけどな~」
「そうですぞ。ラピス殿はラピス殿で楽しんでいる。装備やスキル、戦闘時の動きなどを極めようとする姿勢を楽しんでいると言わずになんという。それでよいではないでござろうか」
アユちゃんとヤスナガさん、二人の言葉が胸に染み渡ります。
(―――そっか。リアルから逃げてゲームをしてただけだと思ってたけど、私ってVRMMORPGを楽しんでたんだ……)
そう思うとこれまでの日々がより一段と愛おしく感じられて、このGFOやMSOで出会った人たちにまた会いたくなってきました。
「……ありがとう、なんかスッキリしたかも。―――そういえばさ、もう6月に入ったけど来月は七夕だよね? 今度はどこの世界に行こっか」
「え? 町じゃなくて世界って、ラピスさんは何を言ってるんですか?」
「え?」
本気で何を言ってるかわからないような顔をしたリョウさんを見て私も一瞬固まりましたけど、すぐにあの七夕直前にフワマリンネを利用したプレイヤーしか知らない情報だったかもと理由に思い当たり説明を始めました。
「リョウ殿は最初の大陸を北に進まなかったのですな」
「ええ。僕は剣術スキルメインですけど、拳術スキルも取得した器用貧乏の武道家ですから。高い攻撃力でゴリ押す戦いに向いていないとおもって高難易度と聞く北ではなく装備を整えるために西へと進んだんです」
剣士と道家の剣術スキル。この職業による違いは剣を使って戦う人と強さを追い求める人、その違いは攻撃方法の違いにあります。剣士は剣で攻撃する事を第一としたスキルですが、武闘家は受け流しや自身の行動によりダメージが変化する攻撃スキルを習得していきます。
「うん、たしかに他の職業から武道家になると大変だよね。特に剣術スキルとか剣を使う動きに慣れていないとダメージ出ないし。無理しないのもリョウさんらしいね」
「ラピスさんは拳術を使いますけど戦い方はどこで?」
「私はMSOでカゲミツさんから他の職業の動きも覚えるのも支援職の仕事だって色々と叩き込まれただけだけどね」
「あははっ。カゲミツさんなかなかなストイックな人だったもんねー。けどラピスちゃんも正拳突きとか最初はぎこちなかったよー? 今は様なってるからかっこいいけどね」
武道家談義から剣術談義、ここにいるのは武道家のリョウさんとヤスナガさん、それにアユちゃんなのでそういう方面でも話が弾んで凄く楽しい温泉となりました。ヤスナガさんの習得している忍術スキルがほとんど自分のHPを削る、いわゆる自傷効果付きのスキルはびっくりしましたし、リョウさんの占術スキルは戦闘開始前にいつもこっそり使っていてくれたことも知れてよかったです。
「で、話は戻るけど七夕はどうしよっか。私はミコさんやマヤさん、ヤスナガさんのいた妖仙世界に行ってみたいなって思うけど」
「私は賛成するよー。また輝夜世界に行くのもいいけど前の感じだと何かのイベントでまた行くことができる気もするからね」
「怖いもの見たさは僕もあります。その御三方、凄く《《濃い》》ですけどどんな世界なんですかね」
「ワシが今、語ってもよいが見に行く機会があるのならお主の目で見るのが一番でござろう。ゆえに語らぬですぞ」
他のメンバーにも聞いてみてですけど、みんなで行けるといいなーと七夕がとても楽しみになりました。




