第128話 栗毛聖女、火山ダンジョンに入る。
GWが終わり、最初はギクシャクしていた涼子ちゃんとの学校生活も落ち着いてきました。二人の時間を取り戻すように私たちはいっぱい遊びましたが、VRMMORPGだけは一緒にやってくれないまま、だんだんと日照りが厳しく暑さを感じるような初夏になってきました。
「それにしてもモンスターの強さおかしくない?」
「武器を新調してもこれでござるか。さすがは火山のダンジョンでござるな」
タンレンの町で受けられるクエストのうち火山周辺のものはクリアしてしまい、受けられるのは新しいクエストとして出てきた火山のモンスター討伐や溶岩石納品といった難易度の高そうなクエストばかりになりました。
「で、ダンジョン攻略に僕らはなんで水着なんだい?」
「えっと、防具を買うより安上がりだからかな」
リアルの暑さなんかよりもずっと熱く感じる火山ダンジョンを、リョウさんが言うように私たちは水着で進みます。この約一ヶ月、GWにプリアちゃんとVR異空間で遊ぶために私たちはナミノに戻った時に、恐らくアップデートで追加された新しいクエストを見つけてしまったのです。
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『久しぶりだな! ―――なるほど、その水着でよく戦ってくれた。しかし、次の大陸は強いモンスターがウロウロしていると聞く。今から言うアイテムを持ってきてくれたら強化して渡り合えるようにしてやるぞ』
プリアちゃんと再会した時に入った懐かしい喫茶店でお茶した後、思い出巡り的に防具屋へ寄ると元店主がそんなことを言い出したのです。武器を買うのにお金を使い切っていた私たちには渡りに船なクエストで、大金を集めて全部位の装備更新するよりも安上がりで早い気がするということで、私たちは火山大陸以外の既存マップを飛び回り水着を強化したのでした。
――――――
「それにしても珍しい組み合わせのパーティーでござるな」
「だねー。けど、いつもの水びしゃーよりも補助よりの動きで私は面白いかも!」
「アユさんの水縛陣は本当に助かります。戦闘時間はどうしても伸びますから、おかわりを止めておいていただけるだけでどれだけ戦いやすいか」
私たちは、火山ダンジョン4Fにあるという溶岩浴場で〝灼熱温泉水〟を専用容器に入れて持ち替えるクエストを受けてダンジョンに潜っています。できる限り戦闘は回避する方向で、パーティーメンバーはアユちゃん、ヤスナガさん、リョウさん、そして聖職者の私です。
「新年度が始まってみんな忙しくなっちゃったけど、装備のおかげでそれなりに戦えるようになってきたしね。それにヤスナガさんやリョウさんとももっと狩りに行きたいからね」
前衛を忍者スキルも使う大剣使いのヤスナガさん、占術スキルで補助しながら戦う武道家のリョウさん、そして私の物理寄り火力で殴っていきます。アユちゃんも火山モンスターの大半が弱点である水魔法で火力は十分に足りています。
『ヒィイイイイイッ!』
『カゲカゲ? カゲェエエエエエッ!』
溶岩の上を飛びながら襲ってきたのは火精霊、それと同時に溶岩から顔を出し、私たちを発見して襲ってきたのがモエトカゲです。接近される前に見た目は前と同じ競泳水着のアユちゃんがマーライオンの杖を掲げます。
「───放水 ッ! からの水縛陣ッ! 火精霊は私が止めとくからラピスちゃんたちはモエトカゲを先にお願い!」
「うん! ありがとね、アユちゃん!」
ナミノで新しく増えたクエストは防具屋での防御力上昇だけでなく、海龍神様から水着に水属性攻撃強化の効果が水着に付与されたのです。火には水、安易な発想ですけど恐らくはそういうことで火山マップ追加に合わせてクエストも追加されたのだと思いました。
「ヒール! ていっ! やぁ! 正拳突きっ!」
『カゲェ~~~~……』
「お疲れ様でのざる」
「あれ? 火精霊は?」
「僕らがモエトカゲと戦っている間にアユさんが、足止めがてら放水していたら倒してしまわれたようです」
INT極振りで弱点属性への攻撃はジャブだろうが全部が右ストレートのような威力になっていたようで、とても心強いと感じました。目の前の階段を降りたら3Fです。私たちは順調に火山を進んでいくことができているようでした。




