第124話 栗毛聖女、装備更新を指示する。
プリアちゃんを見送ってリトル・ア・コポのメンバー全員集合を待ってから鍛冶屋の町〝タンレン〟の探索をみんなで観光がてら行い、集めてきた情報整理を始めました。
「鍛冶屋の町っていうだけあるね。武器屋と防具屋が何十件もあったし装備の種類も豊富で魔法使い用も充実してたからアユちゃんとマリアさんの装備はここで整えようか」
「ラピスちゃ~ん。ミナツはいいの?」
「ミナツちゃんは必要なら自分で装備更新しそうだもん。それにずっと初期装備じゃさすがにそろそろ厳しいと思うよ?」
初期装備でここまできた初心者の二人にちゃんと装備を整えるのを念押しするために私は名指しで行動指針を示します。
「初期装備でいけるところまで!」
「ふふっ。逆にプロプレイヤー感があってそれもいいですね~」
「あの……お二人とも、それは周りのプレイヤーに迷惑掛かりますのでやめていただけると助かります」
普段は口数の少なく、アユちゃんに甘いリョウさんもさすがに苦言を呈しました。それは武器屋で売っている装備の攻撃力が大幅に増加し、値段と共に桁が二つほど増えていたからでした。
「あはは……。リョウにそこまでいわれたらさすがの私も装備を何とかするよ」
「言ってみただけですよ~? 私だって防具屋で見たローブの防御力くらい確認していますから~」
まぁ、あそこまで数値で装備のインフレを見たらさすがにこのままではいけないと二人も思っていたようで冗談だったようで……いえ、私たちみんなで言わなければあの二人なら戦力外になるという現実に襲われるまで挑戦しそうですね。
「大型アップデートの一つにコンバート装備の性能解放もあったでござる。それなりの装備をここからは要求してくると思われますですぞ」
「あー、そういえば装備の上限解放って何かヒント見つけたっすか?」
「それっぽい会話はなかったと思う。さすがにすぐには解放させてくれないんじゃないかな?」
大型アップデートのもう一つの目玉にコンバート組の持ち込んだ装備の性能解放がありました。ただし詳細は伏せられていてコンバートしてきたプレイヤーたちがそのクエストを必死に探してますが、アップデートから一週間近く経った今も見つかっておらず簡単には行えない雰囲気が漂っています。
「ボクらもコンバート装備以外も更新していかないとさすがに型落ち感あるよね」
「とりあえずはお使いクエストだけでも受けてお金を稼いで、武器だけ買ってゴリ押しでどうでしょうか?」
「うん。リョウさんのその流れでいいと思う」
私たちは見つけた採取系や代理購入のクエストをまずはクリアしていきました。時に|岩石のようなモンスター《ゴロゴロック》に襲われたりもしましたが、斬撃耐性があり防御力も魔法防御力も高くて苦労しました。
『ゴロゴ……ゴフッ!?』
「てい! ―――正拳突きっ! やっぱり全然ダメージ通らないね~」
「数の暴力感があってこういうのも楽しいっすね!」
「ラピスちゃんとリョウさんが主火力ですわね。私たち剣士は残念ながらあまりお役にたてないマップのようですし」
棲息しているモンスターは色違いの岩系モンスターばかりで、アユちゃんの水属性魔法と、私と武道家のリョウさんが弱点の打撃属性で攻撃できるのでなんとかなりましたが……。
「このマップ、ボクが一番ダメかも」
「コータは剣士特化だから仕方がないけど、斬鉄剣みたいな硬い敵に効果的なスキルってないの?」
「ないんだよね。それってボクの目指している聖騎士に必要なスキル系統と違うから」
このゲームのスキルは系統スキルを上げると上位スキルが出てきます。言われてみたらコータもミナツちゃんも聖騎士を目指してますし高防御力対策の剣士スキルを所持していないですし、リョウさんは武闘家の剣術スキルを上げていますが素手で殴ったほうが弱点でダメージがでる始末です。唯一、ヤスナガさんがSTR特化の大剣使いなので無理矢理ダメージを通していましたが例外として考えます。
「うん。しばらくはギルドメンバー全員揃った時だけフィールドに出るようにしよっか。ミコさんもプリアちゃんもしばらく来れないし、回復役がマリアさん一人っていうのは大変だもんね」
思った以上に新大陸のモンスターが強かったので、私たちは装備が整い4人程度で動けるようになるまでは8人という数の暴力に頼る戦い方でクエストを乗り切っていきます。しかし、新たな問題として出てきたヒーラー不足をどうするか私は頭を抱えるのでした。




