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第123話 栗毛聖女、大型アップデートを楽しむ。

 私たちの春休みはあっという間に終わりに近づきました。お昼はリアルで2人に会って遊んで、たまに宿題を終えるために勉強会をしたり、夜にはゲーム内で遊ぶ。いつも通りと言えばいつも通りの長期休みでしたが⋯⋯。


「みんな久しぶり! 引っ越しの準備が終わりました!」

「プリアちゃん、お疲れ様だよ。それじゃ、さっそくアプデで変わったこと試してみる?」

「うん! 情報はさっとしか目を通してないから色々教えてね!」


 引っ越しの準備も終わり、久しぶりにログインしたプリアちゃんはアプデ後、初ログインなので新マップへの移動は最後にして仕様や既存のマップで変わった事を確認していくことにしました。


「それじゃアイテム関係からいくね。先行実装していた〝契約の指輪〟が正式にボスを除く全モンスターからドロップするようになったらしいよ」

「それに放し飼いモードも実装だよー。はい、ニーニャおいで」

「リンネも出てきて」


『ににゃ~~~ぁ~~~』

『―――っ♪』


 私はリンネを、アユちゃんはニーニャを召喚し、2匹を放し飼いにします。ニーニャは眠そうに丸まって動かなくなり、その周囲をリンネが飛び回ります。


「それにスキルが覚えれないけど、放し飼いモードにしておくとログアウト中も自動で狩りしてくれるみたい」

「モンスターは好き勝手にマップ移動するし、戦闘で負けちゃうとログインした時にHP回復中とかあるけどねー」

「そうなんだ! 私には嬉しい機能だね!」


 スキルは行動を共にすることで貯まる親密度の上昇で覚えていくので新たにスキルを覚えることはないですが、契約モンスターのレベル上げと拾ってくるドロップアイテムはログイン時間の短いユーザーにとっては微々たるものでも大変助かる機能となっています。


「それと、色々と契約モンスター用のアクセもドロップするようになったよ。私のリンネは〝幻惑の粉〟っていう回避率上昇装備を着けてみたんだ」

「ニーニャは〝黄金の鈴〟だよ~。経験値の入りが良くなるんだって」


 飛び回るリンネの羽根から銀色の粉のようなエフェクトが発生し、妖精の神秘っぽさを引き立ててくれていました。ニーニャに関しては……本来はシャランと鈴の音が鳴るはずですが動かないのでただの首輪のようになっています。


「そういえば! ミコさんとミナツちゃんは契約モンスターどうするの?!」

「ふふっ、すでにいますよ」

「わっちらは《《買った》》のじゃ。ほれ〝林檎飴〟よ、出てまいれ」

「では私も―――〝シィバス〟っ! 放し飼いモードがあるのに契約していないのはもったいないですから」


『あっぽぉおおお~~~!!!』

『ぱっ、ぱぁああいやぁ~!!』


 二人の契約モンスターはドロピバード、ミコさんがアップル型でミナツちゃんがパパイヤ型です。指輪から出てきた二匹は気持ちよさそうに空を飛び回ります。


「え!? 〝契約の指輪〟って低確率のドロップで高くないの!?」

「あははは……、私たちの感覚だとそうだよねー。MSOと違ってまだモンスターの種類って少ないし、移動手段も【厄災】倒さないと徒歩だから通常沸きのモンスターに関しては《《ダブり》》は多いんだよ」

「それにのぅ、此度のアップデートで《《スイカニッパーが新大陸にいくのに必要》》なのじゃ。わっちらもカニッパーとトロピバードはクエストで大量に狩ったであろう」


 私とミコさんの説明を聞いて、というかミコさんの言った乱獲時の記憶をプリアちゃんも思い出してお手頃価格でトロピバードの指輪が買えた理由に納得してくれました。


「じゃあ! 私! カニッパーの指輪買いたい!」

「プリアちゃん、契約モンスターって魔法補助系じゃなくていいの?」

「うん! だってラピスちゃんたちと初めて倒したモンスターだもん! 私はカニッパーがいい!」


 感情を素直に表現してくれるプリアちゃんって本当に可愛いです……。そんなこと言われたら嬉しくて言葉を失っちゃいますね。


「……うん! それじゃさっそくナミノで指輪を買おう!」

「ほれ、スイカニッパーよ出番じゃぞ」


『はいはい。それじゃ乗って……って、ナミノなの? え? 新大陸行かないの?』


 スイカニッパーからそんな心の声が聞こえた気がしました。私たちはそれから指輪を買い、プリアちゃんのカニッパー〝ラプアミミ〟と名付けたラーちゃんを新たな仲間に加えて5人で新大陸へと向かいます。ちなみにラーちゃんは私たちの頭文字から名前を付けたそうです。ラーちゃんって略すとほとんど私しか残ってないですけど。


「それでね。アイテムを使う時の射程距離も筋力(STR)で変わる様になちゃったんだ。私はもう武道家としてSTRに振ってるからそんな影響はないんだけど、プリアちゃんは気を付けてね?」

「わかった! 教えてくれてありがとう!」


 それから他のアプデ内容について色々なお話をしました。私たちの話を楽しそうにプリアちゃんは聞いてくれました。



「到着だね! お疲れ様、スイカニッパー」

「うむ。ご苦労じゃった」


 ミコさんが送還すると、ようやく正式な役割を果たせたといった感じでスイカニッパーは満足そうに空へと還っていきました。


「南国の次は火山地帯なんだ! あっ! アユちゃん!」

「やっと私の出番だよね~! 長かったー……。本当に水属性になんの恨みがあるんだー!って感じだったけどようやく報われるよ!」


 前回は砂浜に到着しましたが、今回は火山の麓にある町に直接降り立ちました。


『鍛冶屋の町 タンレン に到着しました。 復活地点を変更しますか?』


[〉はい ・ いいえ




「それじゃ! 私はここまでだね! いよいよ明日、引っ越しします!」

「プリアちゃん、頑張ってきてね!」

「うん! ありがとう! ラピスちゃん! それにみんな!」

「うむ。期待しておるぞ」

「また遊ぼうね! 余裕ができたらいつでも連絡してくれていいから!」

「夢への一歩、応援しています」


 プリアちゃんが〝休止〟という状態に入ります。また遊べる日が必ず来ると信じて私たちはプリアちゃんを見送ります。そのままログアウトする空気になったところでアユちゃんが何かを思いつきました。


「ちょっとまったー! ラピスちゃん、ラピスちゃん。契約モンスターのパーティー機能忘れてる!」

「あっ! プリアちゃん、リンネやニーニャたちとラーちゃん、パーティー組んでおかない? 全員がログアウトした状態でないと放し飼いモードにならないんだけど、その代わりに契約モンスター同士で連携を取ってソロの時より効率いいらしんだ」


 私は詳しく仕様に関して説明するとプリアちゃんは快く承諾してくれました。


「これでいいのかな?! えっと! スキルは〝大切断〟だけだけどラーちゃん! がんばってね!」


 攻撃のラーちゃん、守りのニーニャ、回復のリンネ、補助の林檎飴とシィバスという契約モンスターパーティーはとてもバランスが良いように感じました。


「またね! みんな!」

「「「「いってらっしゃい!」」」なのじゃ」

「いってきます!」


 プリアちゃんはログアウトしていきました。生活が変わって大変だと思いますが、落ち着いたらまた遊ぼうねという約束を信じて私たちはプリアちゃん抜きで新大陸の攻略を始めるのでした。

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