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第112話 栗毛聖女、エルオヴィー先生と戦う①

 ダンジョン最下層、そこで待ち受けていたのは……。


『よく来たな! 恋愛は戦いだー! 青春も戦いだー! 私を一歩でも動かしたらダンジョンクリアだ! ―――それじゃ青春と行こうか!』


「……エルオヴィー先生と戦うのでしょうか」

「とりあえずやるしかないんじゃない? くるよっ!」


 〝恋愛は青春だー!〟のエルオヴィー先生、黒縁の眼鏡をくいっとあげて眼鏡位置を治して杖を構えます。先生の実技授業は存在しておらず、どのような攻撃をしかけてくるか全く私たちにはわかりません。


「とりあえず私とコータさんで前衛を受け持ちます。ラピスさんは補助と弓での牽制をお願いしてもよろしいでしょうか」

「わかった! ―――詠唱省略《スペルアブリビエーション》ッ!」

「ありがとっ! 押し潰せっ! ウォーターブロック(水塊)ッ!」

「移動速度増加(スピードインクリーズ)だよ!」


 私たちは先手を取るべくアユちゃんのスキルで様子を伺います。それと同時に前衛の二人が走り出し、コータにプリアちゃんが移動速度増加をかけます。


『っく! 詠唱中断狙いか。だがモンスターの詠唱は止められないのだよ。―――ファイアウォール(火炎壁)ッ!』


「回復(ヒール)ッ! コータ! 一歩引いて!」

「感謝します!」

「りょーかいっ!」


 エルオヴィー先生の前方、杖を振るった横の軌道をなぞる様に火属性魔法の炎の壁が立ち上り、間近にいた二人はダメージを受けます。即座にミナツちゃんへとプリアちゃんが回復を飛ばして、コータは後回しにしますが火炎壁は消えず残り続けミナツちゃんも継続ダメージにより一旦引きます。


「これ、私が先生の魔法を相殺する感じで動いた方がいいかな?」

「そうだな。アユが栗毛聖女の眼(ラピス・アイ)で相殺狙いだとダメージが稼げないけど仕方がない」

「詠唱が止まらないなら私が前に出るからミナツちゃんは援護をお願い」

「わかりました。踊らさせていただきますわ」


 さきほどの魔法を見て、杖を振る動作から魔法の発動範囲が予測でき、私のAGI(素早さ)なら避けられると感じたのでミナツちゃんとポジションを交代し仕切り直します。


『どうした! 早く私を動かしてみろ! 火炎球(ファイアボール)ッ!』


「―――放水 (アクアディスチャージ)ッ! にっしっしっし! トロピドラゴンのブレスに合わせるよりも楽だね!」


 エルオヴィー先生は杖を縦に振ると火の玉が私たち目掛けて飛んできます。それをアユちゃんが水属性魔法で消し止めます。


「それじゃ、行くよ! 気功法・集中妙技ッ!」

「刹那の輪舞(ロンド)ッ! ラピスちゃん、頼みましたよ!」


 私はDEX(器用さ)増加のアクティブスキルをかけて確実にエルオヴィー先生の隙を突いて急所を狙えるようにしておき、ミナツちゃんの踊りによるクリティカル率上昇の効果を最大限に活かします。


「ていっ! やぁ! ―――そこだよ! 正拳突きッ!」

「精神刀一、―――喰らえ、一閃ッ!」


『っく! 二人ともいい一撃だ。だが、私は動かせないぞ』


 私がジャブを放ちながら周りを駆け回り、隙を見て正拳突きを放ちます。そこにコータも追撃しました。⋯⋯戦闘開始時の台詞から察していましたけど、やはりこのエルオヴィー先生は特殊ボスでノックバックスキルによって何度か動かすことで倒せるモンスターな気がします。


「ミコさんがいないの痛いね。刺突・推飛が私にも使えれば……」

「ないものねだりだろ? ボクらは邪道な正攻法で突破しようぜ」


 このパーティーにノックバックスキルを持っているプレイヤーはいないので恐らくは本来の方法でクリアはできません。そうなるといくつあるかわかりませんけどHPを削りきる。正攻法のように感じる邪道、言ってしまえば力押しの攻略法を選択し、エルオヴィー先生に対して攻撃を加えていくのでした。

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