第六十二話 ミクちゃんの恋が、進みました。
ミクちゃんが付き合い始めた冒険者の青年、ケイは、毎週オスティウムに来るようになった。
ミクちゃんが接客する時だけ、少し声が上ずった。
「い、いらっしゃいませっ……ど、どうぞぅ」
「ありがとう、ミク」
「け、ケイさんっ、お客様の時は敬語でっ」
「え、でも付き合ってるし」
「お、お店の中では関係ないですっ」
常連のおじさんが横で笑った。
「若いな、お前ら」
閉店後、ミクちゃんがあたしに相談してきた。
「マミさん、仕事中に彼氏が来たらどうすればいいですかぁ」
「いつも通りにすればいいよ」
「でもっ、意識してしまってっ」
「それは仕方ない。でも、ミクちゃんはお客様を大事にするから、彼氏のことも大事にできるよ」
「どういうことですかぁ?」
「お客様を笑顔にしたいって気持ちが、ケイさんを笑顔にしたいって気持ちと同じだから」
ミクちゃんが少し考えてから、言った。
「……なんか、マミさんって、すごいですっ」
「そんなことないよ」
「すごいですっ!」
次の日、ミクちゃんはケイさんに「お客様として来てくださるなら、精一杯おもてなしします」と言ったらしい。
ケイさんが「じゃあ毎日来る」と言って、ミクちゃんが真っ赤になった。
今夜のオスティウムに、また幸せな話が生まれた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
ミクちゃんとケイさんの恋、進んでいますね。
「精一杯おもてなしします」というミクちゃん、立派になりましたよね。
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