第五十七話 女王様が、もう一度来ました。
王太子様の訪問から一週間後。
女王様が、また来た。
今回は護衛を少なくして、静かに来た。
「ようこそメイド喫茶オスティウムへ。お嬢様、おかえりなさいませ」
女王様が少し笑った。
「……また来た」
「お待ちしておりました」
「前回と同じ席でいいか」
「かしこまりました」
女王様がミルクティーを飲みながら、静かに言った。
「隣国の王太子が、このお店を気に入ったらしいな」
「はい、光栄です」
「他国の王族が認めた。それは、このお店が本物だということだ」
「ありがとうございます」
「……マリーから聞いた。黒のコアのことを」
あたしは少し、背筋を伸ばした。
「はい」
「アゼルが封じたそうだな」
「はい」
「それについては、礼を言わないといけない」
「アゼルに直接、おっしゃっていただけますか」
女王様が少し目を細めた。
「……お前は、礼をアゼルに向けるのか」
「アゼルがやったことですので」
「普通は自分の功績にするものだが」
「あたしは側にいただけです」
女王様がしばらく、あたしを見ていた。
「……マリーが変わった理由が、わかる気がする」
「はい?」
「お前のようなものが側にいれば、人は変わる」
「マリー様が変わったのは、マリー様自身の力です」
「そうかもしれない。でも、きっかけは必要だ」
女王様がアゼルを呼んだ。
アゼルが来た。
女王様が静かに言った。
「……黒のコアを封じてくれたこと、感謝する」
アゼルが静かに頭を下げた。
「……いえ」
「お前は昔、マリーを傷つけた。でも、今のマリーを見れば、お前がどういう人間かはわかる」
「……ありがとうございます」
「これからも、マリーを頼む」
「はい」
女王様がミルクティーをもう一杯飲んで、立ち上がった。
「マミ」
「はい」
「このお店、続けなさい」
「はい」
「負けないように」
「リリウムにですか?」
「全てにだ」
女王様が出ていった。
扉が閉まった。
マリー様がいつもの席から言った。
「……母上が二度も来るなんて、珍しいわね」
「マリー様に似て、素直じゃないんですね」
「誰が素直じゃないのよ」
「どちらも素直じゃないけど、好きなものには正直です」
マリー様が少し笑った。
「……そうね」
今夜のオスティウムに、女王様からの認定が来た夜だった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
女王様が二度来てくれました!
「このお店、続けなさい」という言葉、最高の認定ですね。
次回、いよいよ物語が大きな転換点を迎えます。
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