第五十一話 ミクちゃんと、お話しました。
ある日の閉店後。
ミクちゃんがあたしの隣に来た。
「マミさん、少しいいですかぁ?」
「もちろん。どうしたの?」
ミクちゃんが少し考えてから、言った。
「マミさんって、どうしてこんなに接客が上手なんですかぁ?」
「上手かな」
「上手ですっ。お客様の顔を見て、何が必要かわかって、自然に声をかけて。あたし、全然できなくてぇ」
「ミクちゃんは上手だよ」
「どうぞぅしか言えないですっ」
あたしは少し笑った。
「でも、みんな笑顔になるじゃない」
「そ、それは……」
「接客って、正しい言葉より、相手を見ることの方が大事だと思う。ミクちゃんはちゃんと見てる」
「見てる、ですか?」
「うん。グラスが空いているお客様に気づいて、料理を待っているお客様に声をかけてる。それができてる」
ミクちゃんが少し、目を丸くした。
「……あたし、そんなことしてましたかぁ?」
「してるよ。意識してないからこそ、自然にできてる」
ミクちゃんがしばらく黙っていた。
「……マミさん」
「うん」
「ここに来てよかったですっ」
「あたしもミクちゃんが来てくれてよかったよ」
ミクちゃんが笑った。
天然だけど、温かい笑顔だった。
今夜もオスティウムは温かかった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
ミクちゃんとの会話、よかったでしょうか。
「意識してないからこそ自然にできてる」という言葉、マミらしいですよね。
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