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第五十話 マミとアゼルの、ある朝のこと。

朝の仕込みの時間。


ミクちゃんたちはまだ来ていない。


二人だけの静かな時間だった。


アゼルがスープを作っていた。


あたしがテーブルを拭いていた。


「アゼル」


「うん」


「最近、みんなが来てくれてよかったね」


「……そうだな」


「でも、最初は二人だったね」


「ああ」


「あの頃が懐かしい気もする」


アゼルが少し振り返った。


「……どういう意味だ」


「二人だけでバタバタしてた頃。ノーゲスの初日とか」


「……覚えてる」


「あたしが緊張しすぎて、ジャン様に『ようこそご主人様』って言い間違えた日とか」


「……覚えてる」


「恥ずかしかった」


「顔が真っ赤だった」


「見てたの?」


「見てた」


あたしは少し笑った。


「アゼルは、ずっと見てたんだね」


「……最初からそう言ってる」


「そうだね」


しばらく、二人で黙っていた。


「アゼル」


「うん」


「みんなが増えても、あたしにとっては、アゼルが一番大事だよ」


アゼルが動きを止めた。


「……マミ」


「恥ずかしいこと言ったかな」


「……いや」


「よかった」


アゼルが少し、耳を赤くして、スープに戻った。


あたしはそれを見て、また笑った。


今日も、いい朝だった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

二人だけの静かな朝の話でした。

「アゼルが一番大事だよ」……マミ、素直になりましたね。

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