第四十八話 シロちゃんが、初めて笑いました。
シロちゃんは無口だった。
でも、いつも静かにそこにいた。
重い荷物を運んで、テーブルを拭いて、閉店後は椅子を重ねた。
何を頼んでも「はい」と答えて、黙ってやってくれた。
ある日、常連のおじさんが大きな荷物を持ってきた。
「マミちゃん、いつもお世話になってるから、食材を差し入れてきた。重いけど……」
シロちゃんが、すっと横に来た。
「持ちます」
「え、でも重いぞ?」
シロちゃんが荷物を片手で軽々と持ち上げた。
おじさんが目を丸くした。
「……すごいな」
「どこに置きますか」
「厨房に頼む」
「わかりました」
シロちゃんが厨房に消えた。
おじさんがあたしに言った。
「あの子、強いな」
「はい。頼もしいんですよ」
「でも、なんか笑わないよな」
「……そうなんですよね」
その夜の閉店後。
ミクちゃんがシロちゃんにパフェを作ってあげた。
「シロちゃん、これ食べてくださいっ。今日もありがとうございましたっ」
シロちゃんがパフェを見た。
しばらく見ていた。
それから、ゆっくりと一口食べた。
少しの沈黙。
「……おいしい」
「よかったですっ!」
シロちゃんが、ほんの少し、口角を上げた。
笑顔だった。
小さかったけど、確かな笑顔だった。
ミクちゃんが「シロちゃんが笑いましたっ!」と声を上げた。
レイちゃんが「珍しいですね」と冷静に言った。
あたしはそれを見て、少し目が熱くなった。
今夜のオスティウムに、また一つ、温かいものが増えた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
シロちゃんの初笑顔、来ました!
ミクちゃんのパフェがきっかけというのが、またいいですよね。
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